文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

要塞建設

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「集結!!これより各部隊は事前に与えられた任務に着きなさい!!」
『ゴロンッ!!』
「期限は3日です!!材料班は建物を解体し、材料の確保!!建設班は建物の敷地を確保!!護衛班はこれより私がマスターの護衛を行うので他の二つの班を手伝いなさい!!」
『ゴロッ!!ゴロッ!!ゴロッ!!』


3部隊に分けられた100体の機械人形が動き出し、まずは街の中心部に存在する建物の解体を行う。元々長年の間、人間が住んでいなかったので建物の老朽化も激しく、解体作業は順調に進む。解体の際に確保した素材の加工も材料班が行い、建設班が加工済みの材料を利用してまずは要塞を取り囲む防壁の製作を開始する。


『ゴロロロロッ!!』


無数の機械人形が建物の解体作業に移り、その様子を見守りながらレアとイリスも手伝いを行う。まずは不足分の材料を確保するため、レアは文字変換の能力を駆使して新たな材料を作り出す。


「レアさん、追加分の材料の素材を持ってきましたよ」
「ああ、ありがとう。ならそこの机の上に置いてくれる?」
「申し訳ありません。マスターに手伝いをさせるなど……」
「しょうがないよ。この世界では用意できない代物もあるんだし、気にしなくていいよ」


イリスが大量の小石を積んだ籠を持ち込み、その小石を利用してレアは解析と文字変換の能力を利用してシルフィアに頼まれた材料を製作する。生み出された材料は即座に機械人形の元へ運び込まれ、急速的な速度で建物が建設されていく。


「レア様、ドローンの報告によると街に近づくコボルトを確認しました」
「あ、そうなの?追い返せる?」
「問題はありません。この場から撃ち抜きます」
「あんまり目立たないように気を付けてね」


ドローン街の周辺には無数のドローンが配備され、街に近づく存在を監視する。魔物の場合はシルフィアが撃退を行うため、機械人形は建物の建設に集中出来る。


『ゴロロッ!!』
「分かりました。レア様、どうやらこの街には水脈が流れているようです。水道工事を行えばより生活しやすい環境になります」
「あ、本当に?そういえば井戸とかもあったな……工事はどれくらいかかる?」
「新しい機械人形を追加すれば短期間で終了すると思われますが、どうしますか?」
「追加ね。なら、ちょっと待っててね」


レアはアイテムボックスの画面を開き、リストの画面の文章を文字変換の能力で改竄し、新しい機械人形を量産する。即座に異空間から十数体の機械人形が出現し、シルフィアが支配下に収める。


「貴方達はこれより我が主に仕える忠実な僕です。このゴレムを指揮官として働きなさい」
『ゴロロッ!!』


出現した機械人形にシルフィアは命令を下すと、ゴレムを先頭に彼等は水道工事に取り組む。その様子を確認していたイリスはある事に気付く。


「あのレアさん……私、気付いた事があるんですけど」
「何?」
「わざわざ建物を作り出さずとも、レアさんの能力で建物を作り出したり出来ないんですか?あの不思議な乗り物みたいに……」
「ああ、うん……それは俺も考えたんだけどね。そんなに上手くはいかないみたい」


レアもイリスの言葉通りに実は自分の知識の中の建物を作り出そうとした事がある。前に一度だけ、レアは自分の家を文字変換の能力で作り出せないのかを試した事があるが、結果としては見せかけだけの建物が誕生してしまう。



――文字変換の能力で作り出された物体は自動車のような乗物の類ならば問題ないが、建物に関しては外見だけが酷似した物体しか生み出せない。例えば一軒家を作り出したとしても電気やガスや水道も通っておらず、家具の類だけしか存在しない。これは乗物と違い、外部から供給される代物に関してまでは再現できず、建物を作り出してもガスや水道を通していなければ何も意味はない。



「普通に住む分だけなら問題ないんだけど、やっぱり電気もガスも水道も使えないと不便だからな……」
「よく分からないんですけど、レアさんでも作り出せない物があるんですね」
「そういう事。まあ、文字変換の能力で改竄すればどうにかなるかもしれないけど……」


作り出した建物を解析の能力で詳細画面を開き、文字変換の能力を使えば電気やガス等も扱えるだろうが、レアとしては龍殺しの物語の建物というのが気にかかり、漫画の中でしか見たことがない建物に自分が住めるという事に内心期待も抱いていた。


(それにしても凄い勢いだな。これなら3日も立たないうちに出来上がるんじゃないか?)


大量の機械人形が要塞を取り囲む防壁の建設を行い、既に敷地内の建物は全て解体されていた。まだ建設を開始してから1時間足らずで数十の建物を解体し、材料へと加工する姿にレアは圧倒される。
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