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五章 毎日、毎日、貴方を好きになる。
七話 彼は真相を語る(4)
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「本当に、あんたは自己評価が低い」
何だか呆れたように、彼はため息を吐いた。
「あんたがどう自分を評価しようが、俺の中の評価は覆らない。諦めろ」
そう言って、ぐいっと白銀の腕の中に抱き込まれてしまえば否定の言葉など無くす。
暖かい腕の中、伊都は羞恥と困惑と、多分の幸福感を覚えつつ彼の言葉を聞く。
「あんたが夢に現れて、とうとう妄想の中まであんたを連れ込んじまったかと自分に呆れた」
大きな手で髪を梳きながら、彼はゆっくりと話す。
「俺の本性である、あの絵本の狼を好いてくれて、大好きだと力一杯力説してくれるあんたが、本当に可愛くて」
白銀の言葉は乱暴だけれど、その声は艶やかで色気があるから、伊都は何だかうっとりとしてしまう。
「言葉に詰まると、あんたはよく絵本の話をしてくれただろう。何時だって本性の俺に告白されているみたいで、くすぐったかった」
大好きな人の体温と、低く響く声を聞きながら、まるで、以前から好きだったような言い方だわ……と、伊都は我知れず呟いていた。
髪を撫でる手が、ぴたりと止まった。
「……あんたまさか、俺が一目惚れして、ずっとあんたにちょっかいかけてたのに気づいてなかったのか」
何だか、ありえない事を聞いた気がして、伊都は彼を仰ぎ見る。
「あの……?」
その割に、すごく紳士的に距離を置いていた気がすると、伊都は半信半疑である。
「ああ、何となく言いたい事は分かる。でもあんた、俺が強引に進めてたら逃げてただろう」
額をぶつけるぐらい近づいた顔が真顔で言う。
確かに、その通りだった。
確実に、祭り広報の後任を見つけた上で彼との繋がりを断ち、今頃フェイドアウトしていたに違いない。
彼はハイスペックな男だから、代役を探すのはそう難しい事ではない。
何せ、今だって祭り関連のメールでも、行事と何も関係のないファンレター擬きが週に数通は届くぐらいなのだ。
(白銀さんが始終紳士に振る舞ってくれたからこそ、今があるのよね……)
恐がりな伊都に逃げられないよう、常に確認を取りながら徐々に距離を詰めていった彼の戦略は、全く持って正しい。
つまり本来の彼の性格からして周りくどい事をさせたのは伊都の性質によるもので……何だか急に後ろめたくなり、伊都は視線を逸らす。
「兎に角、その脆そうでいて本当は強いところに、俺は惚れたんだ」
分かれよ、と彼は言う。
伊都はそこで首を振った。
「……それは難しい、です」
彼に好かれているだなど、伊都が自信を持てるような事は何もないのだから。
何だか呆れたように、彼はため息を吐いた。
「あんたがどう自分を評価しようが、俺の中の評価は覆らない。諦めろ」
そう言って、ぐいっと白銀の腕の中に抱き込まれてしまえば否定の言葉など無くす。
暖かい腕の中、伊都は羞恥と困惑と、多分の幸福感を覚えつつ彼の言葉を聞く。
「あんたが夢に現れて、とうとう妄想の中まであんたを連れ込んじまったかと自分に呆れた」
大きな手で髪を梳きながら、彼はゆっくりと話す。
「俺の本性である、あの絵本の狼を好いてくれて、大好きだと力一杯力説してくれるあんたが、本当に可愛くて」
白銀の言葉は乱暴だけれど、その声は艶やかで色気があるから、伊都は何だかうっとりとしてしまう。
「言葉に詰まると、あんたはよく絵本の話をしてくれただろう。何時だって本性の俺に告白されているみたいで、くすぐったかった」
大好きな人の体温と、低く響く声を聞きながら、まるで、以前から好きだったような言い方だわ……と、伊都は我知れず呟いていた。
髪を撫でる手が、ぴたりと止まった。
「……あんたまさか、俺が一目惚れして、ずっとあんたにちょっかいかけてたのに気づいてなかったのか」
何だか、ありえない事を聞いた気がして、伊都は彼を仰ぎ見る。
「あの……?」
その割に、すごく紳士的に距離を置いていた気がすると、伊都は半信半疑である。
「ああ、何となく言いたい事は分かる。でもあんた、俺が強引に進めてたら逃げてただろう」
額をぶつけるぐらい近づいた顔が真顔で言う。
確かに、その通りだった。
確実に、祭り広報の後任を見つけた上で彼との繋がりを断ち、今頃フェイドアウトしていたに違いない。
彼はハイスペックな男だから、代役を探すのはそう難しい事ではない。
何せ、今だって祭り関連のメールでも、行事と何も関係のないファンレター擬きが週に数通は届くぐらいなのだ。
(白銀さんが始終紳士に振る舞ってくれたからこそ、今があるのよね……)
恐がりな伊都に逃げられないよう、常に確認を取りながら徐々に距離を詰めていった彼の戦略は、全く持って正しい。
つまり本来の彼の性格からして周りくどい事をさせたのは伊都の性質によるもので……何だか急に後ろめたくなり、伊都は視線を逸らす。
「兎に角、その脆そうでいて本当は強いところに、俺は惚れたんだ」
分かれよ、と彼は言う。
伊都はそこで首を振った。
「……それは難しい、です」
彼に好かれているだなど、伊都が自信を持てるような事は何もないのだから。
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