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七章 間章 目を覚ませば、そこは見慣れた。
十五話 間話 賢者と魔女の問答
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「取材?」
伊都はぱちりと目を瞬いた。
……取材と言われて、想像力の乏しい伊都が真っ先に考えるのはマスコミの事だ。
それも、ゴシップ紛いな煽情的なタイトルで読者を釣る、新聞、雑誌などが真っ先に思い浮かぶ。
昼のワイドショーなどで見る吊り広告の派手なタイトルは、伊都からすると過激で、余り見たくもないような、誰かのプライベートな内容が暴露されている。
記者も稼ぎたいのか、常に有名人を追いかけ回しているイメージがあって、取材と言われるとちょっと腰が引ける感じがしてしまう。
いや、勿論、真面目な内容を地道に調べている人がいる事も知ってはいるのだが……。
(私に、取材って)
平凡なOL、いや、今は喫茶店の売店店員の、いったい何を取材するのだろうと、伊都は怪訝な顔をして木の上のフクロウを見上げてしまった。
「そう、取材。次作は魔女を大きく活躍させたいなと思うんだけど、身の回りに手芸上手な女性は居なくてねえ。なかなかこれといったエピソードが浮かばない」
どうせなら、ジルバーが求めた君に直接取材したいと、そう思ったんだ。
木の上で、ほうほうと鳴く彼は、いっそ陽気なぐらいの口調でそう言った。
(次作に、魔女、再登場……しかもジルバーの知人。思い当たる人は、一人しかいないわ……)
伊都はようやく、木の上にいるフクロウが誰なのかに気づいた。
「……貴方、は」
呆然と見上げる伊都の様子にも取り合わず、木の上の推定作者は、饒舌に話し続けている。
「色々聞きたい事があるのに、ジルバーの奴、ほんっとガードが固いんだ。君に近づかせてくれなくてねぇ。ようやく此処で会えて嬉しかったよ」
(こ、この人が、本当にあの素敵な作品の作者……?)
伊都の中の作者のイメージがガラガラと音を立て崩れていく。
伊都が、ひそかに傷心している間にも、フクロウは楽しげに話している。
「ああ、それに! 手先が器用な設定の為にも、君の作品とか見せて欲しいなぁ。出来れば、編んでいる所とかも見せてよ。少し描写にリアル感が足りないかなあと感じていたんだ」
フクロウの無表情な顔だから分からないが、きっと人間であれば彼の表情はくるくると豊かに変わっていた事だろう。
「あ、臨場感を出すには資料として写真も必要か。僕ってカメラはあんまり得意じゃないんだよなあ。ジルバーが手伝ってくれるだろうか? あいつ仕事柄写真とか得意な筈……いや、魔女を大事にし過ぎて未だに親友の僕に隠してるぐらいの友達甲斐の無い奴だぞ? 無理だな。という事は、カメラマンも連れてった方がいいかな……」
と、どんどん勝手に話を進めていく強引な感じ。
(うーん、どこかで見たような光景だけど)
━━この頭の回転が早すぎる者特有の、突っ込み不在なところ、すごく身近で見るわね? そう、サキさんとか悪友とか、あそこら辺よ。
身近な知人たちとの共通点に気づいたら、伊都はだんだん冷静になってきた。
伊都はぱちりと目を瞬いた。
……取材と言われて、想像力の乏しい伊都が真っ先に考えるのはマスコミの事だ。
それも、ゴシップ紛いな煽情的なタイトルで読者を釣る、新聞、雑誌などが真っ先に思い浮かぶ。
昼のワイドショーなどで見る吊り広告の派手なタイトルは、伊都からすると過激で、余り見たくもないような、誰かのプライベートな内容が暴露されている。
記者も稼ぎたいのか、常に有名人を追いかけ回しているイメージがあって、取材と言われるとちょっと腰が引ける感じがしてしまう。
いや、勿論、真面目な内容を地道に調べている人がいる事も知ってはいるのだが……。
(私に、取材って)
平凡なOL、いや、今は喫茶店の売店店員の、いったい何を取材するのだろうと、伊都は怪訝な顔をして木の上のフクロウを見上げてしまった。
「そう、取材。次作は魔女を大きく活躍させたいなと思うんだけど、身の回りに手芸上手な女性は居なくてねえ。なかなかこれといったエピソードが浮かばない」
どうせなら、ジルバーが求めた君に直接取材したいと、そう思ったんだ。
木の上で、ほうほうと鳴く彼は、いっそ陽気なぐらいの口調でそう言った。
(次作に、魔女、再登場……しかもジルバーの知人。思い当たる人は、一人しかいないわ……)
伊都はようやく、木の上にいるフクロウが誰なのかに気づいた。
「……貴方、は」
呆然と見上げる伊都の様子にも取り合わず、木の上の推定作者は、饒舌に話し続けている。
「色々聞きたい事があるのに、ジルバーの奴、ほんっとガードが固いんだ。君に近づかせてくれなくてねぇ。ようやく此処で会えて嬉しかったよ」
(こ、この人が、本当にあの素敵な作品の作者……?)
伊都の中の作者のイメージがガラガラと音を立て崩れていく。
伊都が、ひそかに傷心している間にも、フクロウは楽しげに話している。
「ああ、それに! 手先が器用な設定の為にも、君の作品とか見せて欲しいなぁ。出来れば、編んでいる所とかも見せてよ。少し描写にリアル感が足りないかなあと感じていたんだ」
フクロウの無表情な顔だから分からないが、きっと人間であれば彼の表情はくるくると豊かに変わっていた事だろう。
「あ、臨場感を出すには資料として写真も必要か。僕ってカメラはあんまり得意じゃないんだよなあ。ジルバーが手伝ってくれるだろうか? あいつ仕事柄写真とか得意な筈……いや、魔女を大事にし過ぎて未だに親友の僕に隠してるぐらいの友達甲斐の無い奴だぞ? 無理だな。という事は、カメラマンも連れてった方がいいかな……」
と、どんどん勝手に話を進めていく強引な感じ。
(うーん、どこかで見たような光景だけど)
━━この頭の回転が早すぎる者特有の、突っ込み不在なところ、すごく身近で見るわね? そう、サキさんとか悪友とか、あそこら辺よ。
身近な知人たちとの共通点に気づいたら、伊都はだんだん冷静になってきた。
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