2 / 25
02.収拾つけるのは誰
しおりを挟む
「ぶふっ!」
思いのほか、大きな音が口から出てしまった。
見物君と第二王子殿下がどちらも譲らずお互いに目を逸らさない、誰もが息をするのも憚られる緊張の中やってしまった。
「ゴホッ……ゴホッ……」
必殺むせました、これは咳ですと誤魔化してみる。
「すっすみません……空気に耐えられずむせてしまいました……こほっ」
苦し紛れに最後にも咳をつけとく。苦しい。
ピリピリとした目線を交わしていた2人もこっちを見てきてしまったので、これは俺が口を開かなければならない空気かも。
「あの……えーと……さっき言った通り俺は逃げませんので、とりあえず両親にも先に伝えないと卒倒しちゃうと困るので帰りますね」
先に伝えようが後から伝えようが卒倒するだろうけどな。
伝えたから良しと二度目の踵を返すと、行こうとした方向のドアが勢いよく開いた。
「兄上ーーー!!!!!!!!!」
あにうえーうえーぅぇーぅぇー…………
こんなどデカい部屋でエコーが掛かるほど大きな声出せる肺活量どうなってんだ。俺の弟。俺達は兄弟ですと言われなければ体格の差で兄弟には見えないであろう恵まれた体格に鍛え上げた筋肉と共に弟がすぐさま俺の姿を見つけて走り寄りながら口を動かしている。
「兄上が犯人ってどういう事ですか!?!?」
声量を抑えていただきたい。耳を手で塞ぐ。うるさいぞアピール。
「なんでここに?」
「知り合いが兄上が大変な事になっていると知らせてくれたので駆けつけました。それで犯人とは!?!?」
「犯人にされてる、仕立て上げられたって感じ」
「それは分かってます!!」
分かってんのかよ……じゃあ聞くなよ。
「だから俺はやってないけど罰は受けるから後で知らせてねって解散ってとこかな」
「やってないのに罰ってどういう事ですかーーーー!?!?!?!?」
もう声量だけでいったら某スーパー金髪人になりそう。声量でマイク壊した伝説の……
「お前が兄上を犯人に仕立て上げたやつか!?」
見物君に食ってかかる弟を必死で止めに入る。
「違う違う違う!その人は俺の話を聞いて第二王子殿下に事実確認をするべきだって掛け合ってくれてる人だよ!失礼なことするな!」
虫の時に抱きついて落ち着かせてもらったので、相当な好印象を勝手に持っている俺。
俺の言葉に弟の体が動きを止めて第二王子殿下を見つめる。
「第二王子……殿下」
いや今 “殿下” 後付けしただろ。
弟は第二王子殿下の正面に向き直り、じろっとした視線を送った。
「兄上を愚弄したのは第二王子殿下ですか?」
「事実を言ったまでだ。その者が聖女に嫉妬し、悪質な嫌がらせをしていた。だから制裁を下しているところだ」
「……このような場で晒し者にし、制裁ですか?」
「嫌がらせなどする者はちょこまかネズミのように逃げるのが得意な卑怯者だからな。皆の前で逃げられないよう罪を認めさせなければならない。こいつがやったと皆が証人だ」
いや、認めないって言いましたけども。どこまでも自分に有利な頭でしかないんだなこの第二王子殿下は。
ゲンナリして息を吐くと第二王子殿下の横にいた聖女の様子が違っていた。
下を向いて口元に手を当てて、よく見ると震えているように見える。
思わず少しだけ近寄り、声を掛ける。
「聖女様、ご気分でも悪いですか?大丈夫ですか?」
聖女がハッとして顔を上げた瞬間、第二王子殿下の腕が俺の方へ伸びて突き飛ばされた。
「聖女に近寄るな!!」
何の身構えもしてなかったので、そのまま後ろにひっくり返った。と思ったけど衝撃を感じなかった。瞬時に弟が俺を倒れないように受け止めてくれたらしい。
「兄上!大丈夫ですか!?」
弟の顔が覗き、少しホッとするも、未だに胸の辺りに衝撃を感じると、体が硬直してしまう。これは前の体の後遺症。この身体になって三年が経ったけど前の体で生きた時間の方が今の俺には長いから……。
自分の胸に少し震える手を当ててドクドクと元気に動いているのを確認する。
「ごめん、ありがとう……大丈夫」
微笑むのは得意なんだ。心配そうな顔を向ける人に自分が大丈夫だと伝える手取り早い方法。
「兄上に手を上げた事、後悔させてやる……っ」
ようやく声量が下がったと思ったら低音ダークボイスは不穏なものほどよく通る。
「違う!違うぞ!手は上げられていない!強いて言うなら手を前に出しただけだ!」
慌てて宥めるように、宥められてないが止めに入る。
「同じ事です!」
弟の手が剣に手をかけ始めたので剣と手ごと止められるように左側から抱きつく。
「俺が悪いんだって!俺が犯人だと思ってる二人に不用意に近付いちゃったんだから!これは俺が考えなしだったの!」
「兄上、危ないのでどいててください……これは我が家を貶められ傷付けられたのも同然ですので……」
絶対に離さない、剣は抜かせない。弟に力で敵わないって分かってるけど俺が引っ付いてる限り無理やり剣を出すようなことは、この弟はできないから!
「ごめんなさい!」
会場に響いた声に順番に発言していた人たちを見回す。見物君……違う方向を見てる。弟……こんな可愛い声質じゃない。第二王子殿下……は困惑した顔で隣を見てる。…………隣?聖女様?
「聖女様?」
俺の問いかけに聖女は顔を上げ、苦しそうな顔をしている。
「聖女の体調が悪いようだ、すぐに宮廷医を呼べ。聖女……移動しよう」
第二王子殿下が聖女の肩に手をかけると聖女はそれを振り払った。
「聖女?」
第二王子殿下は聖女の行動に戸惑いを隠せない様子だったが、聖女は第二王子殿下に目を向けることなく俺の前に出てきた。
「僕はあなたが犯人だと決め付けていました。第二王子殿下がそうだとおっしゃったから、何も考えずにそうなのだと思い込んで……あなたの今日のお話と僕を気遣ってくれる様子を見て、自分の判断は間違っていたかもしれないと……僕もきちんと事実確認をすべきだと思います」
最後に唇をきゅっと結んで決心した顔つきに変わる。
人が強くなる瞬間ってあるんだ……と思わず見とれてしまったほど聖女の顔付きは変化した。
「事実確認をしてもらえるのは助かります。よろしくお願いします」
俺の返事に静かに頷いた聖女の後ろで黙っていないのがこの人。
「聖女は騙されているんだ!心配してる素振りをして聖女を信用させて……その間に他に犯人を仕立て上げ、今度はもっと卑劣な方法であなたを傷付けにくる!」
第二王子殿下の言い分に剣に手をかけていた弟の腕に力が入り額には血管が浮き上がっている。
俺は弟が切れ出して動かないうちに声を出す。
「確かに、事実確認はこれからです。聖女様、謝るのはまだ早いですよ。それは事実確認後にしましょう」
お得意の微笑みを聖女に向ける。第二王子殿下、お前にじゃねえぞ。
「……あなたは自分に厳しすぎますね」
困った顔で少しだけ笑みを聖女は返してくれた。
「聖女を騙せても私は騙せないからな」
絶対にお前を裁いてやると目で睨みつけてくる。
「第二王子殿下、証言をしていた方達もこの場にいますよね?」
聖女が第二王子殿下の顔をしっかり見据える。
「今を逃したら犯人を仕立て上げられるとあなたが思っているなら、今この場でその方達の話をしっかり聞きましょう」
肩を抱かれて泣いていた姿はなかったかのようにしっかりとした口調で話す様子に第二王子殿下はたじろいでいた。
「……せっ聖女がそう言うなら……」
第二王子殿下が証言した者たちに声を掛ける。
前に出てきたのは伯爵家の者と子爵家の者が二人。
三人が前に出てきた時に弟の目付きが変わる。どうやら見覚えがあるらしい。
「あいつら……前に夜会で兄上に絡んできた連中ですよね……あいつらの父親も父上に胡麻を摺るくせに影ではあることないこと文句ばかり、評判も良くなければろくな連中じゃありませんよ。あんな者たちの証言が証拠?馬鹿げてる」
第二王子殿下に対して弟は呆れた目を向ける。
絡まれた?確かに話しかけられた事はある気はする。あんまり覚えてないけど、俺は今まで公爵家嫡男としてのボロが出たら困るので夜会もほぼ出席していないし、学校でも話し掛けられても何か答えて下手なことになっても困るので精一杯の微笑みと共に黙ってその場を去っていた。何を言ってもボロが出そうで……。なんか口を開いて “え?” と思われたらすぐに家に影響するのでは?と貴族社会は何がまずいのか分かりづらくて怖いので口を開かず過ごした。なんならこの世界の事を調べるために図書室に行くのはとても都合が良かった。だから、たぶん俺が覚醒後にこんなに口を開いている俺を見るのは初めての人も多いかもしれません。……そう俺はボッチが怖いんじゃない。貴族社会が怖いのだ!なんかあったら、家族ごと首チョッキンって印象じゃない?文字通りの……ギロチンとか容易に想像できちゃうから!だから断罪が回避できないのであれば首チョッキンされない方を取ろうと思ったんだよね。
「お前達はこの者がやったところを見たと言っていたな、現場を目撃していると」
第二王子殿下の言葉にうちの弟が続ける。
「どのような現場を見たのか事細かに説明していただきましょうか」
威圧がすごいもんで一人はマナーモードですかって位に震えている。ん゙ーーん゙ーーって心の中でアテレコする。やばっ、また笑ってはいけないシリーズ突入か……誰かケツバット頼みます。たぶん俺もマナーモードになっている事だろう。
「……はい……確かに見ました……こちらの子爵家の者から説明を……おい説明しろ」
なんとも歯切れの悪い言い方をする伯爵家のやつは説明を他人に委ねる。
第二王子殿下の眉がピクッと動いた。様子のおかしさに気付かないわけないよね。
視線が集中された子爵がゆっくり重い口を開く。
「この者が聖女の……私物を取るところを確かに見ました!」
「確かにお前は私にそう証言した、それを見たのはいつと言っていた?」
「1週間前の休み時間です……」
「言っていたのは昼ではなく一校時目と二校時目の間の休み時間だったな。聖女のクラスが二校時目が実技講義で教室から居なくなる時を狙ってやっていたと」
「はい」
「第二王子殿下」
二人のやり取りに見物君が割って入る。
「必要になるかと思い、図書室の司書と管理人をここへ呼んでいます」
見物君すごい仕事が早い!仕事できそうな賢そうな顔と雰囲気してるもんな。対して浅はかな感想を並べる俺。
「二人には今の状況の説明は何もしていません」
見物君の言葉に第二王子殿下は軽く息を吐くと見物君に連れて来いと声を掛けた。
二人が見物君の侍従の人?に連れられて前に出てくる。
「……あの?私共に何か?」
二人共明らかに場の空気に動揺している。
「今は私の問いに嘘偽りなく答えてほしい。一週間前に図書を利用した者の中にこいつの名はあるか?」
第二王子殿下が指した先にいる俺を見て二人は何事かと驚いている。
「利用されています」
利用履歴書を開く前に管理人は答え、開いて第二王子殿下の方に見せる。
第二王子殿下は利用履歴を指でなぞる。
「……全ての休み時間に図書室に行っているようだ……改ざんしてるといった事はないのか」
「改ざん!?とんでもない!!図書室といっても貴族の方が利用する場所で持ち出し禁止の蔵書もございます。きちんと管理する事が私共の役目です」
王族に臆むことなく答える管理人さんの目は必殺仕事人に引けを取らない。
そうだよね、真面目に仕事してるのに改ざんとか言われると心外だよね。
「分かった……だが利用履歴を確認することなく、質問に答えていたが一週間前の事でも全員を記憶しているのか?」
「さすがに短時間に何人もだったり、あまり利用されたことのない人の顔と名前まですぐに一致できるとは言えませんが」と言いながら、チラリと俺の方を見る。
「休み時間毎に毎日来られる方はこちらの方だけなのですぐに分かりますよ。来られない日の方が記憶に残ります」
それを聞いた第二王子殿下は証言で聞いた日を履歴を見て調べて管理人に確認する。いずれも俺が図書室に行っていた時間だ。司書にも相違がないか確認をし、司書は間違いないと頷き口を開いた。
「この日は新書が入ってきた日で一番に読まれていました……ふふ」
話の途中に思い出し笑いをした様子に、なんか嫌な予感がする。
「いつも読まれながら百面相されてるんですが、この日は “きゃー” と悲鳴を上げて本を閉じておりまして……でも続きが気になるのか、またゆっくり開いて本を開きすぎないように読まれてる姿は本当にこちらも楽しませていただきました」
司書さんがほっこり笑う。いらん情報。
ほっこりすんな!公開処刑だぞ!
俺は恥ずかしさのあまり両手で顔を覆う。
この日の本は俺の苦手なギロチンシーンが描かれていて……思い出してブルリと震えが走る。
「兄上……そんな可愛い姿を図書室で……無防備にも程があります!!」
何言ってんのお前。
「これ以上の断罪やめて……本題のお話を続けてください……」
俺は顔を出せないまま話を続行させる。
第二王子殿下は一度、聖女の方へ顔を向ける。
聖女は第二王子殿下と目を合わせた後に証言者三人を一瞥し、視線を第二王子殿下に戻すと首を小さく振った。
第二王子殿下は唇をぐっと噛み、拳に力が入っていた。そして口を開く。
「お前達は現場を見たと言っていた……だが、この者が図書室にいたという証言と書類もそう記されている。この者に犯行は無理だ……お前達の証言が嘘なのだな」
「ち、違います!取ったところを見たのではなく人を使って指示しているところを目撃して……それで……言葉を間違えました!」
あまりの下手な嘘にドン引き。周りもだろう。
「なら、指示を出された者は誰だ?その者をここへ」
「……生徒ではなかったと……侍従を使ったのでは!?」
証言者が疑問でどうする。
第二王子殿下はため息を吐く。
「学園の中だぞ。侍従を使ったなら教室に制服でない者が入ってコソコソしていたら目立つだろう」
何も答えは返ってこなかった。それが答えなのだろう。
「一応聞くが他に言い分はあるか?」
三人共に真っ青な顔で立っている。
王族を欺いて聖女に嫌がらせ、さらに公爵家に罪を着せようとした事、罪数が多そうだ。
「連れて行け」
警備兵が三人を拘束する。観念したのか抵抗する素ぶりはなかったが俺の顔を見て舌打ちをする伯爵家のやつ。
「澄ました顔しやがって……そうやって守ってもらうしかない脳のないお坊ちゃんが!」
すかさず弟が剣を引き抜き剣先を首元に向ける。
「言いたいことはそれだけか?」
やめてやめて!ここで首切るのだけは見たくない!
そっと剣を握っている手に自分の手を添え、拘束されている真犯人に向かってニコッと微笑む。
「澄ました顔に見えていたなら良かったです」
お澄まし顔に見えるように過ごしていたからね!言質取れて嬉しいよ。俺は間違っていなかった!
そのまま三人は連行されていった。
思いのほか、大きな音が口から出てしまった。
見物君と第二王子殿下がどちらも譲らずお互いに目を逸らさない、誰もが息をするのも憚られる緊張の中やってしまった。
「ゴホッ……ゴホッ……」
必殺むせました、これは咳ですと誤魔化してみる。
「すっすみません……空気に耐えられずむせてしまいました……こほっ」
苦し紛れに最後にも咳をつけとく。苦しい。
ピリピリとした目線を交わしていた2人もこっちを見てきてしまったので、これは俺が口を開かなければならない空気かも。
「あの……えーと……さっき言った通り俺は逃げませんので、とりあえず両親にも先に伝えないと卒倒しちゃうと困るので帰りますね」
先に伝えようが後から伝えようが卒倒するだろうけどな。
伝えたから良しと二度目の踵を返すと、行こうとした方向のドアが勢いよく開いた。
「兄上ーーー!!!!!!!!!」
あにうえーうえーぅぇーぅぇー…………
こんなどデカい部屋でエコーが掛かるほど大きな声出せる肺活量どうなってんだ。俺の弟。俺達は兄弟ですと言われなければ体格の差で兄弟には見えないであろう恵まれた体格に鍛え上げた筋肉と共に弟がすぐさま俺の姿を見つけて走り寄りながら口を動かしている。
「兄上が犯人ってどういう事ですか!?!?」
声量を抑えていただきたい。耳を手で塞ぐ。うるさいぞアピール。
「なんでここに?」
「知り合いが兄上が大変な事になっていると知らせてくれたので駆けつけました。それで犯人とは!?!?」
「犯人にされてる、仕立て上げられたって感じ」
「それは分かってます!!」
分かってんのかよ……じゃあ聞くなよ。
「だから俺はやってないけど罰は受けるから後で知らせてねって解散ってとこかな」
「やってないのに罰ってどういう事ですかーーーー!?!?!?!?」
もう声量だけでいったら某スーパー金髪人になりそう。声量でマイク壊した伝説の……
「お前が兄上を犯人に仕立て上げたやつか!?」
見物君に食ってかかる弟を必死で止めに入る。
「違う違う違う!その人は俺の話を聞いて第二王子殿下に事実確認をするべきだって掛け合ってくれてる人だよ!失礼なことするな!」
虫の時に抱きついて落ち着かせてもらったので、相当な好印象を勝手に持っている俺。
俺の言葉に弟の体が動きを止めて第二王子殿下を見つめる。
「第二王子……殿下」
いや今 “殿下” 後付けしただろ。
弟は第二王子殿下の正面に向き直り、じろっとした視線を送った。
「兄上を愚弄したのは第二王子殿下ですか?」
「事実を言ったまでだ。その者が聖女に嫉妬し、悪質な嫌がらせをしていた。だから制裁を下しているところだ」
「……このような場で晒し者にし、制裁ですか?」
「嫌がらせなどする者はちょこまかネズミのように逃げるのが得意な卑怯者だからな。皆の前で逃げられないよう罪を認めさせなければならない。こいつがやったと皆が証人だ」
いや、認めないって言いましたけども。どこまでも自分に有利な頭でしかないんだなこの第二王子殿下は。
ゲンナリして息を吐くと第二王子殿下の横にいた聖女の様子が違っていた。
下を向いて口元に手を当てて、よく見ると震えているように見える。
思わず少しだけ近寄り、声を掛ける。
「聖女様、ご気分でも悪いですか?大丈夫ですか?」
聖女がハッとして顔を上げた瞬間、第二王子殿下の腕が俺の方へ伸びて突き飛ばされた。
「聖女に近寄るな!!」
何の身構えもしてなかったので、そのまま後ろにひっくり返った。と思ったけど衝撃を感じなかった。瞬時に弟が俺を倒れないように受け止めてくれたらしい。
「兄上!大丈夫ですか!?」
弟の顔が覗き、少しホッとするも、未だに胸の辺りに衝撃を感じると、体が硬直してしまう。これは前の体の後遺症。この身体になって三年が経ったけど前の体で生きた時間の方が今の俺には長いから……。
自分の胸に少し震える手を当ててドクドクと元気に動いているのを確認する。
「ごめん、ありがとう……大丈夫」
微笑むのは得意なんだ。心配そうな顔を向ける人に自分が大丈夫だと伝える手取り早い方法。
「兄上に手を上げた事、後悔させてやる……っ」
ようやく声量が下がったと思ったら低音ダークボイスは不穏なものほどよく通る。
「違う!違うぞ!手は上げられていない!強いて言うなら手を前に出しただけだ!」
慌てて宥めるように、宥められてないが止めに入る。
「同じ事です!」
弟の手が剣に手をかけ始めたので剣と手ごと止められるように左側から抱きつく。
「俺が悪いんだって!俺が犯人だと思ってる二人に不用意に近付いちゃったんだから!これは俺が考えなしだったの!」
「兄上、危ないのでどいててください……これは我が家を貶められ傷付けられたのも同然ですので……」
絶対に離さない、剣は抜かせない。弟に力で敵わないって分かってるけど俺が引っ付いてる限り無理やり剣を出すようなことは、この弟はできないから!
「ごめんなさい!」
会場に響いた声に順番に発言していた人たちを見回す。見物君……違う方向を見てる。弟……こんな可愛い声質じゃない。第二王子殿下……は困惑した顔で隣を見てる。…………隣?聖女様?
「聖女様?」
俺の問いかけに聖女は顔を上げ、苦しそうな顔をしている。
「聖女の体調が悪いようだ、すぐに宮廷医を呼べ。聖女……移動しよう」
第二王子殿下が聖女の肩に手をかけると聖女はそれを振り払った。
「聖女?」
第二王子殿下は聖女の行動に戸惑いを隠せない様子だったが、聖女は第二王子殿下に目を向けることなく俺の前に出てきた。
「僕はあなたが犯人だと決め付けていました。第二王子殿下がそうだとおっしゃったから、何も考えずにそうなのだと思い込んで……あなたの今日のお話と僕を気遣ってくれる様子を見て、自分の判断は間違っていたかもしれないと……僕もきちんと事実確認をすべきだと思います」
最後に唇をきゅっと結んで決心した顔つきに変わる。
人が強くなる瞬間ってあるんだ……と思わず見とれてしまったほど聖女の顔付きは変化した。
「事実確認をしてもらえるのは助かります。よろしくお願いします」
俺の返事に静かに頷いた聖女の後ろで黙っていないのがこの人。
「聖女は騙されているんだ!心配してる素振りをして聖女を信用させて……その間に他に犯人を仕立て上げ、今度はもっと卑劣な方法であなたを傷付けにくる!」
第二王子殿下の言い分に剣に手をかけていた弟の腕に力が入り額には血管が浮き上がっている。
俺は弟が切れ出して動かないうちに声を出す。
「確かに、事実確認はこれからです。聖女様、謝るのはまだ早いですよ。それは事実確認後にしましょう」
お得意の微笑みを聖女に向ける。第二王子殿下、お前にじゃねえぞ。
「……あなたは自分に厳しすぎますね」
困った顔で少しだけ笑みを聖女は返してくれた。
「聖女を騙せても私は騙せないからな」
絶対にお前を裁いてやると目で睨みつけてくる。
「第二王子殿下、証言をしていた方達もこの場にいますよね?」
聖女が第二王子殿下の顔をしっかり見据える。
「今を逃したら犯人を仕立て上げられるとあなたが思っているなら、今この場でその方達の話をしっかり聞きましょう」
肩を抱かれて泣いていた姿はなかったかのようにしっかりとした口調で話す様子に第二王子殿下はたじろいでいた。
「……せっ聖女がそう言うなら……」
第二王子殿下が証言した者たちに声を掛ける。
前に出てきたのは伯爵家の者と子爵家の者が二人。
三人が前に出てきた時に弟の目付きが変わる。どうやら見覚えがあるらしい。
「あいつら……前に夜会で兄上に絡んできた連中ですよね……あいつらの父親も父上に胡麻を摺るくせに影ではあることないこと文句ばかり、評判も良くなければろくな連中じゃありませんよ。あんな者たちの証言が証拠?馬鹿げてる」
第二王子殿下に対して弟は呆れた目を向ける。
絡まれた?確かに話しかけられた事はある気はする。あんまり覚えてないけど、俺は今まで公爵家嫡男としてのボロが出たら困るので夜会もほぼ出席していないし、学校でも話し掛けられても何か答えて下手なことになっても困るので精一杯の微笑みと共に黙ってその場を去っていた。何を言ってもボロが出そうで……。なんか口を開いて “え?” と思われたらすぐに家に影響するのでは?と貴族社会は何がまずいのか分かりづらくて怖いので口を開かず過ごした。なんならこの世界の事を調べるために図書室に行くのはとても都合が良かった。だから、たぶん俺が覚醒後にこんなに口を開いている俺を見るのは初めての人も多いかもしれません。……そう俺はボッチが怖いんじゃない。貴族社会が怖いのだ!なんかあったら、家族ごと首チョッキンって印象じゃない?文字通りの……ギロチンとか容易に想像できちゃうから!だから断罪が回避できないのであれば首チョッキンされない方を取ろうと思ったんだよね。
「お前達はこの者がやったところを見たと言っていたな、現場を目撃していると」
第二王子殿下の言葉にうちの弟が続ける。
「どのような現場を見たのか事細かに説明していただきましょうか」
威圧がすごいもんで一人はマナーモードですかって位に震えている。ん゙ーーん゙ーーって心の中でアテレコする。やばっ、また笑ってはいけないシリーズ突入か……誰かケツバット頼みます。たぶん俺もマナーモードになっている事だろう。
「……はい……確かに見ました……こちらの子爵家の者から説明を……おい説明しろ」
なんとも歯切れの悪い言い方をする伯爵家のやつは説明を他人に委ねる。
第二王子殿下の眉がピクッと動いた。様子のおかしさに気付かないわけないよね。
視線が集中された子爵がゆっくり重い口を開く。
「この者が聖女の……私物を取るところを確かに見ました!」
「確かにお前は私にそう証言した、それを見たのはいつと言っていた?」
「1週間前の休み時間です……」
「言っていたのは昼ではなく一校時目と二校時目の間の休み時間だったな。聖女のクラスが二校時目が実技講義で教室から居なくなる時を狙ってやっていたと」
「はい」
「第二王子殿下」
二人のやり取りに見物君が割って入る。
「必要になるかと思い、図書室の司書と管理人をここへ呼んでいます」
見物君すごい仕事が早い!仕事できそうな賢そうな顔と雰囲気してるもんな。対して浅はかな感想を並べる俺。
「二人には今の状況の説明は何もしていません」
見物君の言葉に第二王子殿下は軽く息を吐くと見物君に連れて来いと声を掛けた。
二人が見物君の侍従の人?に連れられて前に出てくる。
「……あの?私共に何か?」
二人共明らかに場の空気に動揺している。
「今は私の問いに嘘偽りなく答えてほしい。一週間前に図書を利用した者の中にこいつの名はあるか?」
第二王子殿下が指した先にいる俺を見て二人は何事かと驚いている。
「利用されています」
利用履歴書を開く前に管理人は答え、開いて第二王子殿下の方に見せる。
第二王子殿下は利用履歴を指でなぞる。
「……全ての休み時間に図書室に行っているようだ……改ざんしてるといった事はないのか」
「改ざん!?とんでもない!!図書室といっても貴族の方が利用する場所で持ち出し禁止の蔵書もございます。きちんと管理する事が私共の役目です」
王族に臆むことなく答える管理人さんの目は必殺仕事人に引けを取らない。
そうだよね、真面目に仕事してるのに改ざんとか言われると心外だよね。
「分かった……だが利用履歴を確認することなく、質問に答えていたが一週間前の事でも全員を記憶しているのか?」
「さすがに短時間に何人もだったり、あまり利用されたことのない人の顔と名前まですぐに一致できるとは言えませんが」と言いながら、チラリと俺の方を見る。
「休み時間毎に毎日来られる方はこちらの方だけなのですぐに分かりますよ。来られない日の方が記憶に残ります」
それを聞いた第二王子殿下は証言で聞いた日を履歴を見て調べて管理人に確認する。いずれも俺が図書室に行っていた時間だ。司書にも相違がないか確認をし、司書は間違いないと頷き口を開いた。
「この日は新書が入ってきた日で一番に読まれていました……ふふ」
話の途中に思い出し笑いをした様子に、なんか嫌な予感がする。
「いつも読まれながら百面相されてるんですが、この日は “きゃー” と悲鳴を上げて本を閉じておりまして……でも続きが気になるのか、またゆっくり開いて本を開きすぎないように読まれてる姿は本当にこちらも楽しませていただきました」
司書さんがほっこり笑う。いらん情報。
ほっこりすんな!公開処刑だぞ!
俺は恥ずかしさのあまり両手で顔を覆う。
この日の本は俺の苦手なギロチンシーンが描かれていて……思い出してブルリと震えが走る。
「兄上……そんな可愛い姿を図書室で……無防備にも程があります!!」
何言ってんのお前。
「これ以上の断罪やめて……本題のお話を続けてください……」
俺は顔を出せないまま話を続行させる。
第二王子殿下は一度、聖女の方へ顔を向ける。
聖女は第二王子殿下と目を合わせた後に証言者三人を一瞥し、視線を第二王子殿下に戻すと首を小さく振った。
第二王子殿下は唇をぐっと噛み、拳に力が入っていた。そして口を開く。
「お前達は現場を見たと言っていた……だが、この者が図書室にいたという証言と書類もそう記されている。この者に犯行は無理だ……お前達の証言が嘘なのだな」
「ち、違います!取ったところを見たのではなく人を使って指示しているところを目撃して……それで……言葉を間違えました!」
あまりの下手な嘘にドン引き。周りもだろう。
「なら、指示を出された者は誰だ?その者をここへ」
「……生徒ではなかったと……侍従を使ったのでは!?」
証言者が疑問でどうする。
第二王子殿下はため息を吐く。
「学園の中だぞ。侍従を使ったなら教室に制服でない者が入ってコソコソしていたら目立つだろう」
何も答えは返ってこなかった。それが答えなのだろう。
「一応聞くが他に言い分はあるか?」
三人共に真っ青な顔で立っている。
王族を欺いて聖女に嫌がらせ、さらに公爵家に罪を着せようとした事、罪数が多そうだ。
「連れて行け」
警備兵が三人を拘束する。観念したのか抵抗する素ぶりはなかったが俺の顔を見て舌打ちをする伯爵家のやつ。
「澄ました顔しやがって……そうやって守ってもらうしかない脳のないお坊ちゃんが!」
すかさず弟が剣を引き抜き剣先を首元に向ける。
「言いたいことはそれだけか?」
やめてやめて!ここで首切るのだけは見たくない!
そっと剣を握っている手に自分の手を添え、拘束されている真犯人に向かってニコッと微笑む。
「澄ました顔に見えていたなら良かったです」
お澄まし顔に見えるように過ごしていたからね!言質取れて嬉しいよ。俺は間違っていなかった!
そのまま三人は連行されていった。
166
あなたにおすすめの小説
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
王子に彼女を奪われましたが、俺は異世界で竜人に愛されるみたいです?
キノア9g
BL
高校生カップル、突然の異世界召喚――…でも待っていたのは、まさかの「おまけ」扱い!?
平凡な高校生・日当悠真は、人生初の彼女・美咲とともに、ある日いきなり異世界へと召喚される。
しかし「聖女」として歓迎されたのは美咲だけで、悠真はただの「付属品」扱い。あっさりと王宮を追い出されてしまう。
「君、私のコレクションにならないかい?」
そんな声をかけてきたのは、妙にキザで掴みどころのない男――竜人・セレスティンだった。
勢いに巻き込まれるまま、悠真は彼に連れられ、竜人の国へと旅立つことになる。
「コレクション」。その奇妙な言葉の裏にあったのは、セレスティンの不器用で、けれどまっすぐな想い。
触れるたび、悠真の中で何かが静かに、確かに変わり始めていく。
裏切られ、置き去りにされた少年が、異世界で見つける――本当の居場所と、愛のかたち。
【8話完結】効率厨の転生魔導師は、あふれ出る魔力を持て余す騎士団長を「自律型・魔力炉」として利用したいだけ
キノア9g
BL
「貴方は私の『生命維持基盤』です。壊れたら困ります」
「ああ、俺もお前なしでは生きていけない……愛している」
(※会話は噛み合っていません)
あらすじ
王宮魔導師レイ・オルコットには、前世の記憶がある。
彼の目的はただ一つ。前世の知識(エアコン・冷蔵庫・温水洗浄便座)を再現し、快適な引きこもりライフを送ること。
しかし、それらを動かすには自身の魔力が絶望的に足りなかった。
そんなある日、レイは出会う。
王国の騎士団長にして「歩く天変地異」と恐れられる男、ジークハルトを。
常に魔力暴走の激痛に苦しむ彼を見て、レイは歓喜した。
「なんて燃費の悪い……いや、素晴らしい『自律型・高濃度魔力炉(バッテリー)』だ!」
レイは「治療」と称して彼に触れ、溢れ出る魔力を吸い取って家電を動かすことに成功する。
一方、長年の痛みから解放されたジークハルトは、レイの事務的な接触を「熱烈な求愛」と勘違いし、重すぎる執着を向け始めて――?
【ドライな効率厨魔導師(受) × 愛が重たい魔力過多な騎士団長(攻)】
利害の一致から始まる、勘違いと共依存のハッピーエンドBL。
※主人公は攻めを「発電所」だと思っていますが、攻めは結婚する気満々です。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
【8話完結】いじめられっ子だった僕が、覚醒したら騎士団長に求愛されました
キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。
けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。
そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。
なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」
それが、すべての始まりだった。
あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。
僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。
だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。
過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。
これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。
全8話。
生まれ変わったら俺のことを嫌いなはずの元生徒からの溺愛がとまらない
いいはな
BL
田舎にある小さな町で魔術を教えている平民のサン。
ひょんなことから貴族の子供に魔術を教えることとなったサンは魔術の天才でありながらも人間味の薄い生徒であるルナに嫌われながらも少しづつ信頼を築いていた。
そんなある日、ルナを狙った暗殺者から身を挺して庇ったサンはそのまま死んでしまうが、目を覚ますと全く違う人物へと生まれ変わっていた。
月日は流れ、15歳となったサンは前世からの夢であった魔術学園へと入学を果たし、そこで国でも随一の魔術師となった元生徒であるルナと再会する。
ルナとは関わらないことを選び、学園生活を謳歌していたサンだったが、次第に人嫌いだと言われていたルナが何故かサンにだけ構ってくるようになりーーー?
魔術の天才だが、受け以外に興味がない攻めと魔術の才能は無いが、人たらしな受けのお話。
※お話の展開上、一度人が死ぬ描写が含まれます。
※ハッピーエンドです。
※基本的に2日に一回のペースで更新予定です。
今連載中の作品が完結したら更新ペースを見直す予定ではありますが、気長に付き合っていただけますと嬉しいです。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる