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第4章 Side 小泉
第8話 料理の特訓 後編 *
しおりを挟む彼女は自分で作ったサラダとオムレツ(俺が手伝ったが)を満面の笑みで完食すると、ココアを飲みながら思い出したように口を開いた。
「あのさ、この世界の言葉教えてくれないかな?小泉さんに迷惑かけずに一人で買い物とか出来るようになりたいの」
「別に構わない。教えるのは仕事から帰ってからでもいいか?」
「もちろん!」
「しかし……料理といい随分とやる気になってるな。どうした?」
すると、彼女はマグカップを一旦置き、優しい微笑みを浮かべながら言った。
「アタシね、小泉さんに恩返しがしたいの。見ず知らずのアタシにこんなにも優しくしてくれて……」
「それはお前が家に泊めろって言ったからだろ」
「そうだけど!でもさ、ホントに嫌だったら泊めないでしょ?それはアタシが同じ世界の人間だからなのかもしれないけど……それでも嬉しかったの。アタシ、小泉さんがいなかったら今頃どこかで死んでたかもしれない。死んでなくても何か良くないことに巻き込まれてたかもしれない。だから感謝してるの。何かアタシにできることないかなって考えて……それで……」
彼女はココアを一口飲み、再び話を続けた。
「自分でできることはしようって思ったの。それでまずは言葉と料理覚えて……家事は母を手伝ってたし一人暮らししてたからできる。でも料理は苦手で。家でも殆ど自炊なんてしたことなくて……。あと、国語と英語も苦手。だから言葉を覚えられる自信がない。でもね、苦手なことを避けてたら成長しないでしょ?それでやることにしたの」
こいつにこんなに素直な一面と向上心があるとは。少しだけ胸が熱くなった。が、それを悟られないように感情を顔には出さないようにした。
「分かった。じゃあ、お前が家にいる間は家事を任せることにする。洗濯は自分でやるから掃除を頼む。料理はどうする?」
「どうするって?」
「俺は日中いないから昼は各自として……朝と夜だ。分担するか?それとも一緒に作るか?」
「一緒に作って?慣れたら分担しよ!」
「分かった」
ふと先程の彼女の言葉を思い出した。
「そういえばさっき、良くないことに巻き込まれて……って言ったよな?」
「うん。言ったけど……それがどうしたの?」
「実はな、最近物騒な連続事件が起きてる。お前にも大いに関係あるから注意喚起の意味でも教えておくな」
彼女は途端に顔を強張らせた。が、すぐに覚悟を決めたような顔をすると、背筋をピンと伸ばして「分かった」と返事をした。
「単刀直入に言うぞ。この世界に迷い込んだ人間を甘い言葉で誘い出して暴行する奴らがいる」
「えっ……暴行ってもしかして……」
「ああ、お前が想像してる通り。奴らの狙いは女だ。それも何故か既婚者やパートナーがいる女が狙われてる。向こうの世界の日本語であっちに戻る方法を教えてやると言って近づき、誘いに乗った女を車に押し込んで人気のない場所に連れて行き、そこで襲う。警察の調べでは二人組の男だと言われている」
「まだ捕まってないの?」
「ああ、泣き寝入りする被害者が多いみたいでな。あと、訴えようにもこの世界の言葉が分からないという問題もあるようだな。だから、なかなかこれといった証拠が掴めないんだと」
「その人達も元の世界の人間なの?あっちの言葉が分かるってことはそうだよね?」
「恐らくな。だが、そうとも限らない。知り合いにあっちの世界の人間がいて教えてもらったのかもしれない。悪用するためにな」
「じゃあ、その人達はどうして相手の女の子が元の世界の人間だってことが分かるの?」
「それはまだ詳しいことは分かってない。手当たり次第じゃないかと思ったんだが、それにしては目撃証言が少ない。もしかしたら俺達の知らないところであっちの世界から来た人間を特定してリストにしてそういう連中に流す闇ルートみたいなのがあるのかもしれない」
「そんな……」
彼女はそう言いかけて絶句してしまった。こいつは間違いなく奴らに狙われるだろう。長年、女とはあえて距離を置いてきた俺でさえ、こいつが醸し出す色気に心と体がグラつくのだ。下心丸出しの連中が放っておくはずがない。俺はコーヒーを飲み干すと念を押すように強い口調で言った。
「外に出る時は十分に気をつけるんだぞ。少しでも不安になったら絶対に一人では外に出るな。何か用事があれば俺が一緒に出てやる」
「小泉さん……ありがとう」
彼女はそう言って安心したように微笑んだのだった。
朝食を終え、片付けを彼女に任せて(「アタシがやる!」と張り切っていたので)俺は家を出た。7時過ぎの満員電車に乗り、ドアの前に立つ。外を眺めていると不意に彼女のことを思い出した。
何故、俺は出会ったばかりのよく分からない小娘にこんなに心を動かされているのだろう。連続事件のことも、彼女のことをどうでもいいと思っていたらわざわざ教えないはずだ。冷たいと思うかもしれないが、見知らぬ女が見知らぬ男二人組に騙されて暴行されたところで、俺には関係のない話だからだ。
(俺は彼女のことを……いや、そんなはずねえだろ)
思わず首を横に振った。だが、そんな気持ちとは裏腹に、彼女が纏う花の香りや触れた手の感触、まるで花が咲いたような明るい笑顔を鮮明に思い出してしまった。途端にどうしようもないぐらい愛おしさと切なさが込み上げて来た。堪らなくなり、俺は目を閉じた――。
***
キッチンカウンターの前、彼女は俺に背を向けている。俺は後ろからそっと近づき、彼女の腰に優しく手を回した。
「こ、小泉さん……?」
驚いた彼女が振り返る。耳まで真っ赤になっている。俺はその赤く染まった可愛らしい耳に唇を寄せて囁いた。
「……お前は不思議な奴だ。苛々させられたりもするが、こうして無性に触れたくなる時がある」
「な、何それ……どういう意味……?」
「さぁ?俺にも分からん。お前が度々誘って来るからじゃないのか?」
両腕に力を込めると、大きな胸がより目立った。俺は彼女の耳から首筋にかけて唇で優しくなぞった。
「はぁん……だ、だめぇ……」
「そんな声で駄目と言われても全く説得力ないぞ」
腰に回した腕を解き、スカート越しにくっきりと見えるヒップラインを両手で優しく撫でた。暖かく柔らかな感触に俺の気分は徐々に昂っていった。
「やん……そんなに撫でないで……あぁ」
「さっきから言葉と反応が合ってない。本当は気持ちいいんだろ?」
「ち、違うもん……」
「何故否定する?素直になればいいだろ」
俺は片方の手をゆっくりと後ろから前に移動させた。スカートから覗くふっくらとした内腿を撫でると、彼女は体をピクンと震わせた。
「あぁん」
「ほら、遠慮すんなよ……」
ゆっくりと手を移動させ、付け根に触れると彼女は更に体を震わせた。
「やっ、そ、そこは……!」
「……濡れてる」
熱く湿り気を帯びた感触が下着越しでも伝わってきて、俺の気分は更に昂った。だが、決して彼女に悟られてはいけない。俺は今にも溢れそうな性的な感覚を必死に抑えつけながら、大人の男の余裕を見せることにした。
ゆっくりと優しく中指でなぞると、彼女は甘い吐息を零しながら、恍惚の表情を浮かべ、快感に耐えていた。シンクの縁に置いた両手が小刻みに震えている。
「あ、あぁ……んんっ……っ」
「良い顔してるじゃねえか。じゃあ、これはどうだ?」
下着をずらし、熱く湿った花弁に直に触れた。そこはもう甘い蜜で溢れ返っており、俺は息を飲んだ。ゆっくりと花弁をなぞると、更に蜜が溢れ出した。中指をそっと中に潜り込ませる。程よく湿り気を帯びたそこは暖かくて柔らかく、すぐにでもその中に自分を捻じ込みたい衝動に駆られた。
(うっ……エロい……)
俺は一旦一息つくと、彼女の花弁の中心を優しくいやらしく掻き混ぜた。
「はぁん!だ、だめ、そんなにしたら……やぁん!」
「そんなにしたら?どうなるんだ?」
俺は片手で豊満な膨らみを揉みしだきながら、耳元でわざと囁いた。いつもからかわれている仕返し。そんな気持ちで彼女を思い切り攻め立てた。
「あぁん、も、もう……んんっ……わかってるくせに……いじわる……っ」
彼女は喘ぎながらやっとのことでそう絞り出すと、体を仰け反らせた。
「思い切りイっていい。俺が後ろから支えてやるから」
「あぁっ……もう……いっちゃう……ああんんん~~!」
俺は指の動きを早めながら、震える彼女の腰に片腕を回して力を込めた。果てた彼女の体を全身で受け止める為だ。
「どうだ?気持ち良かったか?」
肩で息をしている彼女を後ろから優しく抱き締めながら尋ねると、彼女は横に顔を向けてこくんと頷いた。その横顔は果てたばかりの熱で紅潮しており、とても可愛らしくまた妖艶だった。俺は彼女の顎に手を添えると、小さく開いている唇に優しくキスをしたのだった――。
***
聞き慣れた車内アナウンスで俺はハッとした。気が付くと、会社の最寄り駅に到着していた。目の前のドアが勢いよく開き、後ろの乗客に押し流されるようにホームに降りた。その時、俺はふと体に違和感を覚えた。咄嗟に視線を下に落として思わずギョッとした。
(うっ……俺としたことが……!)
持っていたバッグで慌てて箇所を隠しながら腕時計を見ると、始業までにまだ時間があった。何かあった時の為にと、いつも余裕を持って家を出ているが、まさかこんなしょうもないことに役立つとは。俺は急いで駅のトイレに駆け込んだのだった。
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