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第5話 崩れゆく理性 *
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彗はイオと処置室に移動していた。ベッドの上に仰向けで横たわり、様々な管に繋がれた彼女の姿に、彗は胸の高鳴りを抑え切れないでいた。
(ブルーのニットワンピースって……あの夢のままじゃないか……なんだ、これ。正夢?)
彗はなるべく彼女のことを見ないようにしていた。しかし、見ないようにすればするほど気になって仕方がない。パソコンの画面から視線を外し、ちらっと見ると彼女は視線を上に向けたまま、何かをずっと考え込んでいるようだった。こんなことは初めてだった。何故ならメンテナンス中のイオはいつも眠っているか、雄飛とシリウスの話をしているかのどちらかだったからだ。
(やっぱり元気がない……雄飛くんがいないからかな……)
彼女の切ない表情に彗は胸が張り裂けそうだった。彗は笑っている彼女が好きだった。例えそれが雄飛とシリウスの話をしている時であっても幸せそうな笑顔を浮かべている彼女を見ていると、自分の心も何だか温まるような気がしたからだ。
(僕だったら……こんな顔させない)
彗はそこまで考えてハッとした。雄飛に対する黒い感情が微かに表れたような気がしたからだ。と、その時。パソコンの画面からアラーム音が鳴った。メンテナンスが終了したのだ。
「……イオ、終わりましたよ」
彗は遠慮がちに彼女に声を掛けた。イオはしばらくの間、上の空だった。が、やがてハッとすると彗の顔を見てニコリと笑った。
「あっ、もう終わったんだ?ごめんね、気付かなくて……」
「い、いえ。大丈夫ですよ。じゃあ、これ外しますね」
彗は彼女の手足や額から管をそっと外しながら口を開いた。
「イオ、元気ないですね」
イオは少し驚いたような顔をすると笑みを浮かべた。その笑顔はどこか寂しそうだった。
「……バレちゃった?」
「分かりますよ。だって、いつもは雄飛くんとシリウスの話を楽しそうにするのに今日は……」
彗が言いかけた、その時。イオのブルーの瞳から涙が溢れた。
「えっ?イ、イオ……?」
「ご、ごめんね。だって、雄飛……出張先で女の子と一緒にいたの。雄飛がホテルの部屋にいる時、ウォッチで話してたら部屋にいきなり女の子が入ってきて……そうしたら、ちょっとごめん!また掛け直すからって慌てて切ったの。おかしいよね?絶対浮気してるのよ……!」
イオは体を起こして、顔を手で覆った。彗は信じられない思いでイオの話を聞いていた。彗にとって雄飛は幼い頃からの親友である。それにイオのことを大切にしていることも分かっていた。だから、雄飛がそんなことをする筈がない、そう思っていた。
「イ、イオ……考え過ぎですよ。雄飛くんが君を裏切るはずがありません」
「どうして……どうして、そう断言できるの?」
イオのブルーの瞳には雄飛に対する怒りや憎しみ、寂しさ、あらゆる感情が入り混じっていた。彗は躊躇った。
「……雄飛くんは親友だからです」
「親友って何?親友だから裏切らないって言い切れるの?」
彗は何も言えなかった。「親友だから裏切らない」そう言い切れない自分がもどかしかった。すると、次の瞬間。突然、イオが彗の体に抱き付いた。彗は驚きのあまり心臓が飛び出そうになった。
「イ、イオ?!」
「アタシ……ずっと一人で悩んでた。ベネラ姉さんは子育てで忙しいし、暁子先生はちょっと厳しいから怒られるかもって思ったら言えなくて……っ」
イオはそう言ってまた涙を流した。背中に回された彼女の腕の強さ、自分の胸に押し当てられている彼女のふくよかな膨らみの感触に徐々に体が熱くなってきて彗は激しく戸惑った。
(待って……どうしよう……これ、絶対ダメな状況……!)
すると、イオが顔を上げ、彗の顔をじっと見つめて言った。
「……彗、お願い。アタシの寂しさ、埋めてくれない……?」
ずっと恋焦がれていた彼女の潤んだ瞳に、寸前で止まっていた彗の理性は崩れた。彗は眼鏡を外して床に投げ捨てると、彼女の唇に自身の唇を重ねた。
「んっ……彗……」
そして、一旦唇を離すと彼女の頬を両手で包み込んで言った。
「……イオ、僕はずっと前から君のことが好きなんだ。僕だったら……君をこんな風に悲しませたりしない。だって僕は笑ってる君が好きなんだから……」
「彗……っ」
イオは彗の首筋に腕を回した。彗は彼女の体を強く抱きしめると、再び彼女の唇に自身の唇を重ねた。それは酷く深く、甘いキスでイオは自分の体が火照るのが分かった。舌先で彼の舌を絡め取ると、一旦唇を離して言った。
「紅茶の味……」
「ご、ごめん!さっき飲んだから……嫌だった?」
「ううん。全然嫌じゃない」
イオはそう言って唇をぺろりと舐めると、再び彗の唇にキスをした。熱い吐息と紅茶の味が混ざり合い、二人はお互いの体が熱を帯びていくのを感じた。彗はイオをベッドに押し倒して、彼女の唇に何度もキスを重ねた。
「んんっ……イオ……っ」
彗は彼女の白い首筋に唇で触れた。そして、くっきりと出ている膨らみをニットワンピース越しにゆっくりと揉みしだいた。雄飛とは違う少しぎこちなくも優しい手の感触に、イオは自身の体がいつも以上に高揚するのを感じた。
「あぁん……彗、もっと触って……」
恋焦がれている彼女に甘く上ずった声でそう求められ、彗は胸の高鳴りを抑え切れなかった。夢の中で何度も触れた彼女の肌を目の前にした興奮と緊張に彗の手は微かに震えていた。が、無我夢中で彼女の膨らみを愛撫した。
「イオ、ごめんね……下手で……僕の手じゃ、君を満足させてあげられないかもしれない……」
「んん……そんなことないよ、彗の手、気持ちいいよ……っ」
イオは優しく微笑んでそう言った。彗は彼女の唇にキスをした後、イオのニットワンピースをたくし上げた。そして、下着を外して直に膨らみに触れた。手の平には収まり切れないその膨らみをやんわりと揉みながら彗は夢見心地に思った。
(……これがイオの……柔らかくて大きい……)
そして、先端にある桃色の突起を口に含み、舌先で優しく転がした。突然の刺激にイオが思わず嬌声を上げる。
「ぁん……!」
その声に反応した彗は舌先の動きを早めた。片方は先端の突起を、もう片方は膨らみを、それぞれ激しく愛撫され、体中に激しくも甘い刺激が広がる。イオは彗の頭を抱きしめながら喘ぎ、果てた。
「はぁん、気持ちいい、ダ、ダメ……イッちゃ……あああっ!」
彗は顔を上げた。そして、肩で息をするイオの顔をじっと見つめた。
「ああ、イオ……そんなに顔を真っ赤にして……それに、そんな声出すんだね……」
そう言って愛おしそうに微笑む彗の目に、激しい熱が宿っているのをイオは見逃さなかった。
(彗がこんな目をするなんて……)
いつもは優しくて女の子のように可愛らしく、また少し抜けているところもある彗の男の一面を見た気がして、イオは少し驚いた。
「……ここ、触ってもいい?」
彗はそう言って下着越しにイオの下腹部にそっと触れた。敏感な場所に触れられ、イオの体がピクンと跳ねた。
「……いいよ。で、でも、凄いことになってるかも……引かないでね」
頬を赤らめ、恥じらいながらそう言うイオのことを彗は愛おしく思った。
「引いたりしないよ」
そして、下着に手を突っ込むと、秘部に触れた。そこは既に溢れ返っていた。甘い蜜の感触に、彗は体の奥が疼くのを感じた。
(ああ、凄い……イオ、本当に濡れやすいのか……夢の通りじゃないか……)
そう思いながら、彗は指をゆっくりと入れ、優しく愛撫した。
「ゃん……あぁん……っ」
イオは激しい快感に、目を瞑り顔を真っ赤にして甘い声を漏らした。あまりに淫らな彼女の姿に彗の心は奪われた。とめどなく溢れ出る甘い蜜はまるで彗のことを求めているようにも見え、彗は自身の欲望がはち切れそうになるのを感じた。
「ああ、イオ……可愛いよ、すごく。もっと見たい……」
彗はそう言うと、彼女の蜜壺の中をいやらしくかき混ぜた。そして、波のような快感に必死に耐えながら吐息を漏らす彼女の姿を一瞬でも見逃すまいと、上からじっと見つめた。
「やあん、彗、そんなに見ないで……あぁん……っ!」
「なんで?だって、すごく可愛いのに……」
「は、恥ずかしい……あぁっ……やぁっ、ダメ、またイッちゃう……!」
「いいよ。気持ちいい顔、もっと僕に見せて?」
「すい……んんんーっ!!」
イオは甘い声で喘ぐと、顔を真っ赤にして再び果てた。
(ああっイオ……!そんな顔で僕の名前を……っ!そんなところも夢の中の君と同じだなんて……!)
彗は我慢できない様子でデニムに手を掛けた。が、手を止めて躊躇った。
(待て待て……本当にこのまま、イオの中に入っていいのか?後悔しないか?)
と、その時だった。
『本当に……いいの?』
頭の中に突然、またあの声が響いた。彗はハッとした。急に動きを止めた彼にイオが不思議そうに尋ねる。
「彗……?」
『本当に、キミはそれでいいの?』
彗はイオの顔をじっと見つめた。ブルーの瞳が不思議そうにこちらを見ている。その瞳には隠し切れない寂しさや、雄飛に対する想いがにじみ出ているのを彗は感じた。彗は大きなため息を吐くと、ゆっくりと口を開いた。
「……イオ、やっぱりダメです」
「ど、どうして?」
驚いたイオが咄嗟に体を起こした。
「僕には雄飛くんが君を裏切るとはどうしても思えないんです。だから、僕も雄飛くんを裏切ることはできません」
イオは何か言おうと口を開いたが、彗の真っ直ぐな眼差しに言葉を詰まらせた。彗はイオの両肩に手を置くと諭すように言った。
「イオ、きちんと雄飛くんと話し合うべきです。憶測だけで動いてはダメです。確かに僕とセックスをすれば寂しさを紛らわすことができるかもしれない。でも、後で傷つくのはイオ、君なんですよ……」
「彗……」
イオはしばらくの間、考え込んでいた。が、やがて遠慮がちに目を伏せると口を開いた。
「そう、彗の言う通りね。アタシ、間違ってた」
そして、顔を上げると涙ぐみながら言った。
「彗、ごめんなさい……アタシ、あまりに寂しくて……本当にごめんなさい……」
イオは顔を覆って泣き出してしまった。彗はどうしていいのか分からず、戸惑った。
(ああ、どうしよう!イオのためを思って言ったつもりが、また泣かせてしまった……でも、抱き締めたらまた僕は……)
彗は彼女を抱きしめたい衝動をグッと抑え込み、耐えた。代わりに彼女の頭を優しく撫でた。
「い、いえいえ、僕の方こそ……笑ってる君が好きだなんて言っておいて、また泣かせてしまってごめんなさい」
「ううん、そんなことない……彗の気持ち、とても嬉しかったよ」
イオは涙を拭きながらそう言うと、ニコリと笑った。目を腫らしながらも自分のために精一杯の笑顔を見せてくれる健気な彼女に彗の胸がまた高鳴った。イオは乱れた洋服を直して、ベッドから降りるとドアノブに手を掛けた。一旦、振り返ると彗に向かって言った。
「……彗、アタシのこと、ずっと好きでいてくれてありがとう」
その純粋な笑顔に、彗は自身の胸がぎゅっと締め付けられるのを感じた。気づいたら体が動いていた。再び後ろを向いたイオを彼は後ろから思い切り抱き締めた。
「……ごめん、イオ……。最後にもう一度だけ、抱き締めさせて」
イオは拒まなかった。何も言わずに彗を受け入れ、彼の気が済むのを待った。
彗は、酷く苦しく切ない思いに苛まれた。できることなら彼女をこの手で抱きたい、もう一度彼女の肌に触れたい。そして、中へ入ってありったけの想いと欲望をぶちまけたい。そう思った。
しかし、彼はそうしなかった。それを自分で拒んだのだ。だから、彗は彼女を思い切り抱き締めたのだ。これで最後だからと。彼女の体の感触を体中に焼き付けるように。
(ブルーのニットワンピースって……あの夢のままじゃないか……なんだ、これ。正夢?)
彗はなるべく彼女のことを見ないようにしていた。しかし、見ないようにすればするほど気になって仕方がない。パソコンの画面から視線を外し、ちらっと見ると彼女は視線を上に向けたまま、何かをずっと考え込んでいるようだった。こんなことは初めてだった。何故ならメンテナンス中のイオはいつも眠っているか、雄飛とシリウスの話をしているかのどちらかだったからだ。
(やっぱり元気がない……雄飛くんがいないからかな……)
彼女の切ない表情に彗は胸が張り裂けそうだった。彗は笑っている彼女が好きだった。例えそれが雄飛とシリウスの話をしている時であっても幸せそうな笑顔を浮かべている彼女を見ていると、自分の心も何だか温まるような気がしたからだ。
(僕だったら……こんな顔させない)
彗はそこまで考えてハッとした。雄飛に対する黒い感情が微かに表れたような気がしたからだ。と、その時。パソコンの画面からアラーム音が鳴った。メンテナンスが終了したのだ。
「……イオ、終わりましたよ」
彗は遠慮がちに彼女に声を掛けた。イオはしばらくの間、上の空だった。が、やがてハッとすると彗の顔を見てニコリと笑った。
「あっ、もう終わったんだ?ごめんね、気付かなくて……」
「い、いえ。大丈夫ですよ。じゃあ、これ外しますね」
彗は彼女の手足や額から管をそっと外しながら口を開いた。
「イオ、元気ないですね」
イオは少し驚いたような顔をすると笑みを浮かべた。その笑顔はどこか寂しそうだった。
「……バレちゃった?」
「分かりますよ。だって、いつもは雄飛くんとシリウスの話を楽しそうにするのに今日は……」
彗が言いかけた、その時。イオのブルーの瞳から涙が溢れた。
「えっ?イ、イオ……?」
「ご、ごめんね。だって、雄飛……出張先で女の子と一緒にいたの。雄飛がホテルの部屋にいる時、ウォッチで話してたら部屋にいきなり女の子が入ってきて……そうしたら、ちょっとごめん!また掛け直すからって慌てて切ったの。おかしいよね?絶対浮気してるのよ……!」
イオは体を起こして、顔を手で覆った。彗は信じられない思いでイオの話を聞いていた。彗にとって雄飛は幼い頃からの親友である。それにイオのことを大切にしていることも分かっていた。だから、雄飛がそんなことをする筈がない、そう思っていた。
「イ、イオ……考え過ぎですよ。雄飛くんが君を裏切るはずがありません」
「どうして……どうして、そう断言できるの?」
イオのブルーの瞳には雄飛に対する怒りや憎しみ、寂しさ、あらゆる感情が入り混じっていた。彗は躊躇った。
「……雄飛くんは親友だからです」
「親友って何?親友だから裏切らないって言い切れるの?」
彗は何も言えなかった。「親友だから裏切らない」そう言い切れない自分がもどかしかった。すると、次の瞬間。突然、イオが彗の体に抱き付いた。彗は驚きのあまり心臓が飛び出そうになった。
「イ、イオ?!」
「アタシ……ずっと一人で悩んでた。ベネラ姉さんは子育てで忙しいし、暁子先生はちょっと厳しいから怒られるかもって思ったら言えなくて……っ」
イオはそう言ってまた涙を流した。背中に回された彼女の腕の強さ、自分の胸に押し当てられている彼女のふくよかな膨らみの感触に徐々に体が熱くなってきて彗は激しく戸惑った。
(待って……どうしよう……これ、絶対ダメな状況……!)
すると、イオが顔を上げ、彗の顔をじっと見つめて言った。
「……彗、お願い。アタシの寂しさ、埋めてくれない……?」
ずっと恋焦がれていた彼女の潤んだ瞳に、寸前で止まっていた彗の理性は崩れた。彗は眼鏡を外して床に投げ捨てると、彼女の唇に自身の唇を重ねた。
「んっ……彗……」
そして、一旦唇を離すと彼女の頬を両手で包み込んで言った。
「……イオ、僕はずっと前から君のことが好きなんだ。僕だったら……君をこんな風に悲しませたりしない。だって僕は笑ってる君が好きなんだから……」
「彗……っ」
イオは彗の首筋に腕を回した。彗は彼女の体を強く抱きしめると、再び彼女の唇に自身の唇を重ねた。それは酷く深く、甘いキスでイオは自分の体が火照るのが分かった。舌先で彼の舌を絡め取ると、一旦唇を離して言った。
「紅茶の味……」
「ご、ごめん!さっき飲んだから……嫌だった?」
「ううん。全然嫌じゃない」
イオはそう言って唇をぺろりと舐めると、再び彗の唇にキスをした。熱い吐息と紅茶の味が混ざり合い、二人はお互いの体が熱を帯びていくのを感じた。彗はイオをベッドに押し倒して、彼女の唇に何度もキスを重ねた。
「んんっ……イオ……っ」
彗は彼女の白い首筋に唇で触れた。そして、くっきりと出ている膨らみをニットワンピース越しにゆっくりと揉みしだいた。雄飛とは違う少しぎこちなくも優しい手の感触に、イオは自身の体がいつも以上に高揚するのを感じた。
「あぁん……彗、もっと触って……」
恋焦がれている彼女に甘く上ずった声でそう求められ、彗は胸の高鳴りを抑え切れなかった。夢の中で何度も触れた彼女の肌を目の前にした興奮と緊張に彗の手は微かに震えていた。が、無我夢中で彼女の膨らみを愛撫した。
「イオ、ごめんね……下手で……僕の手じゃ、君を満足させてあげられないかもしれない……」
「んん……そんなことないよ、彗の手、気持ちいいよ……っ」
イオは優しく微笑んでそう言った。彗は彼女の唇にキスをした後、イオのニットワンピースをたくし上げた。そして、下着を外して直に膨らみに触れた。手の平には収まり切れないその膨らみをやんわりと揉みながら彗は夢見心地に思った。
(……これがイオの……柔らかくて大きい……)
そして、先端にある桃色の突起を口に含み、舌先で優しく転がした。突然の刺激にイオが思わず嬌声を上げる。
「ぁん……!」
その声に反応した彗は舌先の動きを早めた。片方は先端の突起を、もう片方は膨らみを、それぞれ激しく愛撫され、体中に激しくも甘い刺激が広がる。イオは彗の頭を抱きしめながら喘ぎ、果てた。
「はぁん、気持ちいい、ダ、ダメ……イッちゃ……あああっ!」
彗は顔を上げた。そして、肩で息をするイオの顔をじっと見つめた。
「ああ、イオ……そんなに顔を真っ赤にして……それに、そんな声出すんだね……」
そう言って愛おしそうに微笑む彗の目に、激しい熱が宿っているのをイオは見逃さなかった。
(彗がこんな目をするなんて……)
いつもは優しくて女の子のように可愛らしく、また少し抜けているところもある彗の男の一面を見た気がして、イオは少し驚いた。
「……ここ、触ってもいい?」
彗はそう言って下着越しにイオの下腹部にそっと触れた。敏感な場所に触れられ、イオの体がピクンと跳ねた。
「……いいよ。で、でも、凄いことになってるかも……引かないでね」
頬を赤らめ、恥じらいながらそう言うイオのことを彗は愛おしく思った。
「引いたりしないよ」
そして、下着に手を突っ込むと、秘部に触れた。そこは既に溢れ返っていた。甘い蜜の感触に、彗は体の奥が疼くのを感じた。
(ああ、凄い……イオ、本当に濡れやすいのか……夢の通りじゃないか……)
そう思いながら、彗は指をゆっくりと入れ、優しく愛撫した。
「ゃん……あぁん……っ」
イオは激しい快感に、目を瞑り顔を真っ赤にして甘い声を漏らした。あまりに淫らな彼女の姿に彗の心は奪われた。とめどなく溢れ出る甘い蜜はまるで彗のことを求めているようにも見え、彗は自身の欲望がはち切れそうになるのを感じた。
「ああ、イオ……可愛いよ、すごく。もっと見たい……」
彗はそう言うと、彼女の蜜壺の中をいやらしくかき混ぜた。そして、波のような快感に必死に耐えながら吐息を漏らす彼女の姿を一瞬でも見逃すまいと、上からじっと見つめた。
「やあん、彗、そんなに見ないで……あぁん……っ!」
「なんで?だって、すごく可愛いのに……」
「は、恥ずかしい……あぁっ……やぁっ、ダメ、またイッちゃう……!」
「いいよ。気持ちいい顔、もっと僕に見せて?」
「すい……んんんーっ!!」
イオは甘い声で喘ぐと、顔を真っ赤にして再び果てた。
(ああっイオ……!そんな顔で僕の名前を……っ!そんなところも夢の中の君と同じだなんて……!)
彗は我慢できない様子でデニムに手を掛けた。が、手を止めて躊躇った。
(待て待て……本当にこのまま、イオの中に入っていいのか?後悔しないか?)
と、その時だった。
『本当に……いいの?』
頭の中に突然、またあの声が響いた。彗はハッとした。急に動きを止めた彼にイオが不思議そうに尋ねる。
「彗……?」
『本当に、キミはそれでいいの?』
彗はイオの顔をじっと見つめた。ブルーの瞳が不思議そうにこちらを見ている。その瞳には隠し切れない寂しさや、雄飛に対する想いがにじみ出ているのを彗は感じた。彗は大きなため息を吐くと、ゆっくりと口を開いた。
「……イオ、やっぱりダメです」
「ど、どうして?」
驚いたイオが咄嗟に体を起こした。
「僕には雄飛くんが君を裏切るとはどうしても思えないんです。だから、僕も雄飛くんを裏切ることはできません」
イオは何か言おうと口を開いたが、彗の真っ直ぐな眼差しに言葉を詰まらせた。彗はイオの両肩に手を置くと諭すように言った。
「イオ、きちんと雄飛くんと話し合うべきです。憶測だけで動いてはダメです。確かに僕とセックスをすれば寂しさを紛らわすことができるかもしれない。でも、後で傷つくのはイオ、君なんですよ……」
「彗……」
イオはしばらくの間、考え込んでいた。が、やがて遠慮がちに目を伏せると口を開いた。
「そう、彗の言う通りね。アタシ、間違ってた」
そして、顔を上げると涙ぐみながら言った。
「彗、ごめんなさい……アタシ、あまりに寂しくて……本当にごめんなさい……」
イオは顔を覆って泣き出してしまった。彗はどうしていいのか分からず、戸惑った。
(ああ、どうしよう!イオのためを思って言ったつもりが、また泣かせてしまった……でも、抱き締めたらまた僕は……)
彗は彼女を抱きしめたい衝動をグッと抑え込み、耐えた。代わりに彼女の頭を優しく撫でた。
「い、いえいえ、僕の方こそ……笑ってる君が好きだなんて言っておいて、また泣かせてしまってごめんなさい」
「ううん、そんなことない……彗の気持ち、とても嬉しかったよ」
イオは涙を拭きながらそう言うと、ニコリと笑った。目を腫らしながらも自分のために精一杯の笑顔を見せてくれる健気な彼女に彗の胸がまた高鳴った。イオは乱れた洋服を直して、ベッドから降りるとドアノブに手を掛けた。一旦、振り返ると彗に向かって言った。
「……彗、アタシのこと、ずっと好きでいてくれてありがとう」
その純粋な笑顔に、彗は自身の胸がぎゅっと締め付けられるのを感じた。気づいたら体が動いていた。再び後ろを向いたイオを彼は後ろから思い切り抱き締めた。
「……ごめん、イオ……。最後にもう一度だけ、抱き締めさせて」
イオは拒まなかった。何も言わずに彗を受け入れ、彼の気が済むのを待った。
彗は、酷く苦しく切ない思いに苛まれた。できることなら彼女をこの手で抱きたい、もう一度彼女の肌に触れたい。そして、中へ入ってありったけの想いと欲望をぶちまけたい。そう思った。
しかし、彼はそうしなかった。それを自分で拒んだのだ。だから、彗は彼女を思い切り抱き締めたのだ。これで最後だからと。彼女の体の感触を体中に焼き付けるように。
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