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番外編
7日間の恋 第3話 *
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「んっ……」
北翔はそっと目を閉じた。燦は形の整った北翔の小さな唇を確かめるように何度もキスをした。その後、そっと舌を入れると、彼女の小さな舌をつついた。そして、どうしていいのか分からず、戸惑っている彼女の舌先を優しく絡め取った。
「んんっ、はぁ……っ」
繰り返される激しく濃厚なキスに北翔は吐息を漏らし、燦の首筋に腕を回した。燦はたっぷりと彼女の舌先を絡め取った後、ゆっくりと唇を離した。北翔は頬を紅潮させ、伏せ目がちに燦を見つめた。その表情があまりにも妖艶で燦の胸が大きく高鳴った。
「北翔、目がトロンってしてる。キス、気持ち良かったの?」
「……うん」
北翔は少し恥ずかしそうに頷いた。
(か、かわいい……)
燦はもう一度、北翔の唇にキスをすると、そのまま彼女の下着に手を掛けた。背中に腕を回し、ホックを外して緩め、優しく脱がしながら膨らみに触れた。手の平で包み込むように膨らみを優しく揉みしだくと、北翔が微かに吐息を漏らした。
「北翔、感じるの?」
「……うん……ぁっ……」
頬を染め、目を瞑って初めて込み上げる甘い感覚に彼女は身を委ねていた。燦は耳元に唇を寄せると優しく囁いた。
「声、遠慮しなくていいんだよ。気持ちいいんでしょ?」
北翔は返事の代わりに何度も頷いた。
「だったら、素直に出しなよ」
燦はそう言うと、膨らみの先にある桃色の可愛らしい突起をきゅっと摘まんだ。
「あんっ……!」
突然の甘い刺激に彼女の体が跳ねた。素直な反応に気を良くした燦は突起を摘まんだまま弄り回した。じわじわと広がる甘い刺激に北翔は小さく喘いだ。燦は次に先端を口に含み、舌先で優しく転がした。更に広がる甘い刺激に北翔は恥じらいも忘れて嬌声を上げた。
「あぁっ、やぁん……!」
片方は舌先で、もう片方は指で弄り回され、北翔は体の奥底から込み上げてくるものを感じた。
「はぁっ……あぁん、ヤダ、なんかくる……いやあっ」
燦は顔を上げると、手の動きは止めずに北翔の様子を見て言った。
「……北翔、めっちゃ気持ち良さそうな顔してる……それはイクって言うんだよ」
「んんっ、イ、イク……?」
「そう。ああ、北翔、そんな顔するんだ……すげえ可愛い」
普段は殆ど表情を変えない北翔が顔を真っ赤にして淫らに喘ぐ様子に燦は驚き、また気分が大きく高揚した。
(めっちゃリアルな反応するじゃん……北翔、どんだけエロいアンドロイドなの。言い方悪いけど、不感症の人間よりも人間らしいじゃん。だとすると、もしかして、ここも……)
燦は微かな期待に胸の高鳴りを抑えつつ、片方の手を北翔の下腹部に伸ばした。そして、レースの下着の内側にそっと手を入れた。
「……っ!」
指先が触れた感触に、燦は驚いた。アンドロイドにはない筈のものがそこにあったからだ。燦は下着を剥ぎ取り、北翔の下腹部に目をやった。そして更に驚き、目を丸くした。
「マ、マジかよ……っ」
そこには美しい蕾があった。その中央からは甘い蜜が溢れ、十分に潤っていた。まっさらで何の汚れもない美しい桃色をしている。信じられない光景に気分が一気に高揚した燦は生唾を飲み込んだ。と、同時に下着の中で自身が硬さを増すのを感じた。
「北翔、すげえ……すげえよ!」
燦が突然、興奮して声を上げたので北翔は驚いて眉をひそめた。
「……何が?」
「ああ、俺……やばい、興奮してきた。落ち着け、俺」
燦はそう言って深呼吸をすると、北翔の顔をじっと見つめて優しく尋ねた。
「北翔のここ、触ってもいい?」
「うん」
燦は彼女の美しい蕾をそっと指でなぞった。北翔の体が跳ねる。
「んんっ!」
優しくなぞって、ゆっくりと指を入れるとそれは花開いた。指を抜き差ししながら花びらや中を優しく丁寧に愛撫すると、先程とはまた違う痛みにも似た甘い刺激が体中に広がり、彼女はまた淫らな声を上げた。
「あっ……んんっ、やぁん」
やがて甘い蜜が次々と溢れ出て、指を動かす度に妖艶な水音が響いた。燦は中だけではなく花びらの周りも優しく丁寧に愛撫した。すると、隠れている突起を見つけ、彼はにやりと笑った。まるで、宝箱を探し当てた子供のように。
「みーっけ。こんなのまであるなんて、やっぱ北翔すげえ」
燦がその可愛らしい桃色の突起に触れると北翔は体を震わせ、声を上げた。
「ひゃあっ」
燦は頬を染めて自分を見つめる彼女をじっと見下ろすと、耳元に唇を寄せて囁いた。
「そういえば……北翔、まだイってないよね?」
北翔は小さく頷き、彼の首筋に再び腕を絡ませた。
「ん……燦……っ」
そして、余裕のない声で彼の名を呼んだ。それは口数の少ない彼女なりの懇願でもあり、返事だった。彼は突起と中を器用に愛撫すると、徐々に動きを早めて行った。額にかかる彼女の前髪を左手で優しく退け、額や唇、耳に小さくキスをして、低い声でこう囁いた。
「……イカせてあげる。ごめんね、途中で止めて」
燦は指の動きを一気に早めた。北翔の体が震え、小さな唇からは吐息交じりの甘い声が漏れる。
「はぁっ……んんっ、わ、わたし、もうダメ……イッちゃう……っ!」
北翔は顔を真っ赤にし、目を瞑った。そして体をよじって思い切り果てた。
「ああ、んんん~~~っ!!!」
燦は北翔の顔をじっと見つめた。
「北翔……すげえかわいい……。ハア、ダメ俺、もう我慢できない……っ」
余裕のない声でそう呟くと、燦は下着を脱ぎ捨てた。大きく硬くなった燦自身を目の当たりにして北翔は少しだけ目を丸くした。
「ハハッ驚いた?そっか、見るの初めてだもんね」
「うん……すごい」
北翔はそう言って、ゆっくりと体を起こすと手を伸ばした。突然、自身に触れられて燦は驚いた。
「ちょ、北翔ってば!」
北翔は驚く燦を無視して、それを握ると揉んだり撫でたりした。思いがけない北翔の愛撫に体が火照り出したので、燦は慌てて北翔の手を掴んで制止すると言った。
「北翔、嬉しいけどちょっと待って。俺、手じゃなくて中でイキたいんだけど」
「……中って?これをわたしに入れるの?」
北翔が不安そうな顔をしたので、燦は優しく微笑みながら言った。
「そう。でも、大丈夫だよ。優しくするからさ」
「……分かった」
北翔は頷くと、再びベッドに仰向けになった。燦は依然として硬さを保ったままの自身を北翔の花びらに宛がうと、ゆっくり挿入した。
「……っ!」
北翔は鋭い痛みに体を震わせた。燦は北翔の髪を優しく撫でながら、なだめるように言った。
「北翔、力抜いて?大丈夫だよ……そうそう……」
「んんっ……痛い……っ」
燦がゆっくりと腰を動かし始めると、北翔は目を瞑り上擦った声を上げた。燦は腰を動かしながら、彼女の両の膨らみに触れると優しく揉みしだいた。時には先端の突起を指で弄り、愛撫した。すると、苦痛に歪んでいた北翔の表情が徐々に和らいでいった。
「あぁ……んんっ……」
喘ぐ声も吐息交じりの甘い声に変わり、燦はその淫らな声と表情に興奮を抑え切れなかった。小舟を揺らすように腰を動かしながら燦は北翔の顔をうっとりと見つめた。
「北翔……っ。今、めっちゃイイ顔してる……」
そして、まるで自身を包み込むような彼女の内側の感覚に燦は興奮と感動を覚えていた。
(北翔の中、すげえ……リアル。人間みたい……まさか、北翔の体内に子宮とかあったり……いや、それはさすがにないか。ああ、俺もうイキそう……でも、まだ……もう少し北翔に触りたい……)
燦は高揚感を何とか堪えると、一旦自身を北翔の中から引き抜いた。北翔が驚いて燦を見つめる。
「どうしたの?」
「北翔、後ろ向いてくれる?」
「……分かった」
彼女が寝返りを打つと、あの大きな傷痕が現れた。たった6日前に燦が自らの手で縫った傷痕だ。燦はその傷を優しく指先でなぞった。
「あん……っ!」
突然の刺激に北翔が甘い声を上げる。彼女の反応を見て、燦は北翔のことを心から愛おしく思った。北翔の背中に自身の体を預けると、ぎゅっと抱き締めて耳元に唇を寄せた。
「北翔……」
好きだ、と言おうとして彼は口をつぐんだ。突然、黙り込んだ燦に北翔は尋ねる。
「燦……?」
「ううん、何でもない。もっかい入れてもいい?」
「うん」
燦はそう言うと、再び北翔の中に自身を挿入した。
「あぁ……っ!」
北翔が仰け反ったので、燦は彼女の腰に腕を回した。そして、背中の傷や白い肌に愛おしそうにキスをした。
「はぁん、んんっ」
燦は北翔の膨らみを揉みしだきながら、一気に腰の動きを早めた。雪の結晶が激しく揺れる。
「い、いやぁっ、そんな、激しく……ああっ」
彼女の中で痛みと快感が激しく混ざり合った。甘美で不思議な感覚に北翔は自身の体の奥底が再び疼き出すのを感じた。腰を打ち付ける激しい音、妖艶な水音、二人の熱い吐息が真夜中の静かな部屋の中に響き渡る。燦の汗が額から溢れ、北翔の白い肌を濡らした。
「北翔、俺、イクよ……っ」
「んっ……わ、たしも……っ」
二人は同時に果てた。燦は北翔の中にこれまで内に秘めて来た彼女への想いを一気に吐き出した。一滴残らず注ぎ込むと、一気に引き抜いた。彼女が受け止め切れなかった彼の欠片が溢れ出た。燦は大きく息を吐くと、北翔の隣に倒れ込んだ。北翔は四つん這いの姿勢からうつ伏せに倒れ込むと、隣にいる燦の顔をじっと見つめた。何か言いたそうにしている彼女に、燦は息を切らしながら尋ねた。
「北翔……っ。どうだった……初体験は……っ?」
「疲れた……でも、良かった……」
北翔はそう言いつつもどこか満足したような表情を浮かべた。
「そっか……それなら良かった……」
「燦は……?」
「もちろん、めちゃくちゃ気持ち良かったよ」
燦はそう言ってニコリと笑った。そして思った。
(普段はクールなのに、セックスするとこんなに表情変わるとか……。ハア、すげえ可愛かったな、北翔。ああ、やばい。やっぱ北翔のこと好きだわ、俺……ホントは誰にも渡したくない。他の奴に北翔のあんな可愛い顔見せるとか、なんかすげえ嫌だ。やっぱついていこうかな)
「北翔、あのさ……」
そう言って隣に目をやった燦は驚いた。北翔は既に寝息を立てて気持ち良さそうに眠っていたからだ。
「相変わらず寝るのはやっ……」
燦は微笑むとそう呟き、彼女の体に布団を掛けた。そして、下着を履き寝巻きを着ると自分も布団の中に潜り込んだ。
「北翔、おやすみ。サンキューな」
そう言って北翔の額にキスをした。明日の夜、もう隣に彼女はいない、そう考えると苦しくて切なかった。その微かな胸の痛みを感じながら燦は眠りに落ちたのだった。
***
カーテンの隙間から差し込む柔らかな光りで燦は目を覚ました。寝返りを打って燦は飛び起きた。身支度を済ませた北翔がリビングを出ようとしているところだったのだ。
「北翔!」
彼女は燦の声に振り返った。その表情には何の感情も浮かんではいない。燦はベッドから降りると、北翔の体を抱き締めて言った。
「北翔、好きだ。だから俺も行きたい。北翔と一緒に」
「来なくていい。これはわたしの問題だから」
「アンドロイドの知識はそれなりにある。だから、一緒にいけばきっと何かの役に立つ。仕事だって辞める。俺、北翔のこともっと知りたい。もっと一緒にいたいんだよ」
「いい。わたしの問題にキミを巻き込むワケにはいかない」
依然として首を縦に振ろうとしない北翔に燦は少し苛立ちながら声を上げた。
「……何で?何でそんなに俺のこと拒否すんの?俺のこと嫌いなの?!」
「嫌いじゃない。むしろ感謝してる。でも、わたしには恋とか愛とかよく分からない。だから一人でいい」
北翔はそう言って燦の目を見つめた。その瞳には一人で運命に立ち向かおうとする強い意志や決意が込めてられていた。燦はそれ以上、何も言えなかった。彼は諦めると、遠慮がちに言った。
「北翔……分かったよ。じゃあさ、最後に俺のお願い聞いてくんない?」
「昨日、代金払う代わりにセックスした。それでいいでしょ」
北翔は眉をひそめ、苛立ちながら言った。
「そ、そうだけどさ!ね?これで最後だから……お願いっ!」
燦はそう言って両手を合わせて目を瞑った。北翔は諦めたように小さく息を吐くと言った。
「……分かった。何?」
「キスしていい?」
「うん」
北翔は燦の目をまっすぐに見つめた。彼は北翔の白い頬に優しく愛おしそうに触れると、形の整った小さな唇に自分の唇をそっと重ねた。昨晩の激しく甘いキスではない。そっと触れるだけの優しくて切ないキスだった。やがて、唇を離した燦は北翔の額に自分の額を寄せた。彼女と離れるのが名残惜しく、どうしようもなく胸が苦しかった。溢れそうになる涙と想いを必死に堪えながら、燦は言った。
「……北翔、元気でね。君が記憶を取り戻して……幸せになれるよう、俺、ずっと、ずーっと……願ってるから……っ」
「燦……?」
彼の声は微かに震えていた。北翔は彼の背中に腕を回して慰めるようにぎゅっと抱きしめた。
「助けてくれてありがとう。わたし、キミのことずっと忘れない」
北翔はそう言って体を離すと、踵を返した。そして、玄関の扉を開け、去って行った。彼女が振り向くことは一度もなかった。
彼女が去った扉を見つめ、燦は立ち尽くした。彼の目から大粒の涙が溢れた。次から次へと溢れ、彼の頬を伝っていった。それは燦にとって初めての失恋だった。
(この1週間、俺は何を見てた?夢……いや、もしかしたら幻だったのかも……)
最後に見た彼女の儚げで小さな後ろ姿を思い出し、燦はそう思ったのだった。
完
北翔はそっと目を閉じた。燦は形の整った北翔の小さな唇を確かめるように何度もキスをした。その後、そっと舌を入れると、彼女の小さな舌をつついた。そして、どうしていいのか分からず、戸惑っている彼女の舌先を優しく絡め取った。
「んんっ、はぁ……っ」
繰り返される激しく濃厚なキスに北翔は吐息を漏らし、燦の首筋に腕を回した。燦はたっぷりと彼女の舌先を絡め取った後、ゆっくりと唇を離した。北翔は頬を紅潮させ、伏せ目がちに燦を見つめた。その表情があまりにも妖艶で燦の胸が大きく高鳴った。
「北翔、目がトロンってしてる。キス、気持ち良かったの?」
「……うん」
北翔は少し恥ずかしそうに頷いた。
(か、かわいい……)
燦はもう一度、北翔の唇にキスをすると、そのまま彼女の下着に手を掛けた。背中に腕を回し、ホックを外して緩め、優しく脱がしながら膨らみに触れた。手の平で包み込むように膨らみを優しく揉みしだくと、北翔が微かに吐息を漏らした。
「北翔、感じるの?」
「……うん……ぁっ……」
頬を染め、目を瞑って初めて込み上げる甘い感覚に彼女は身を委ねていた。燦は耳元に唇を寄せると優しく囁いた。
「声、遠慮しなくていいんだよ。気持ちいいんでしょ?」
北翔は返事の代わりに何度も頷いた。
「だったら、素直に出しなよ」
燦はそう言うと、膨らみの先にある桃色の可愛らしい突起をきゅっと摘まんだ。
「あんっ……!」
突然の甘い刺激に彼女の体が跳ねた。素直な反応に気を良くした燦は突起を摘まんだまま弄り回した。じわじわと広がる甘い刺激に北翔は小さく喘いだ。燦は次に先端を口に含み、舌先で優しく転がした。更に広がる甘い刺激に北翔は恥じらいも忘れて嬌声を上げた。
「あぁっ、やぁん……!」
片方は舌先で、もう片方は指で弄り回され、北翔は体の奥底から込み上げてくるものを感じた。
「はぁっ……あぁん、ヤダ、なんかくる……いやあっ」
燦は顔を上げると、手の動きは止めずに北翔の様子を見て言った。
「……北翔、めっちゃ気持ち良さそうな顔してる……それはイクって言うんだよ」
「んんっ、イ、イク……?」
「そう。ああ、北翔、そんな顔するんだ……すげえ可愛い」
普段は殆ど表情を変えない北翔が顔を真っ赤にして淫らに喘ぐ様子に燦は驚き、また気分が大きく高揚した。
(めっちゃリアルな反応するじゃん……北翔、どんだけエロいアンドロイドなの。言い方悪いけど、不感症の人間よりも人間らしいじゃん。だとすると、もしかして、ここも……)
燦は微かな期待に胸の高鳴りを抑えつつ、片方の手を北翔の下腹部に伸ばした。そして、レースの下着の内側にそっと手を入れた。
「……っ!」
指先が触れた感触に、燦は驚いた。アンドロイドにはない筈のものがそこにあったからだ。燦は下着を剥ぎ取り、北翔の下腹部に目をやった。そして更に驚き、目を丸くした。
「マ、マジかよ……っ」
そこには美しい蕾があった。その中央からは甘い蜜が溢れ、十分に潤っていた。まっさらで何の汚れもない美しい桃色をしている。信じられない光景に気分が一気に高揚した燦は生唾を飲み込んだ。と、同時に下着の中で自身が硬さを増すのを感じた。
「北翔、すげえ……すげえよ!」
燦が突然、興奮して声を上げたので北翔は驚いて眉をひそめた。
「……何が?」
「ああ、俺……やばい、興奮してきた。落ち着け、俺」
燦はそう言って深呼吸をすると、北翔の顔をじっと見つめて優しく尋ねた。
「北翔のここ、触ってもいい?」
「うん」
燦は彼女の美しい蕾をそっと指でなぞった。北翔の体が跳ねる。
「んんっ!」
優しくなぞって、ゆっくりと指を入れるとそれは花開いた。指を抜き差ししながら花びらや中を優しく丁寧に愛撫すると、先程とはまた違う痛みにも似た甘い刺激が体中に広がり、彼女はまた淫らな声を上げた。
「あっ……んんっ、やぁん」
やがて甘い蜜が次々と溢れ出て、指を動かす度に妖艶な水音が響いた。燦は中だけではなく花びらの周りも優しく丁寧に愛撫した。すると、隠れている突起を見つけ、彼はにやりと笑った。まるで、宝箱を探し当てた子供のように。
「みーっけ。こんなのまであるなんて、やっぱ北翔すげえ」
燦がその可愛らしい桃色の突起に触れると北翔は体を震わせ、声を上げた。
「ひゃあっ」
燦は頬を染めて自分を見つめる彼女をじっと見下ろすと、耳元に唇を寄せて囁いた。
「そういえば……北翔、まだイってないよね?」
北翔は小さく頷き、彼の首筋に再び腕を絡ませた。
「ん……燦……っ」
そして、余裕のない声で彼の名を呼んだ。それは口数の少ない彼女なりの懇願でもあり、返事だった。彼は突起と中を器用に愛撫すると、徐々に動きを早めて行った。額にかかる彼女の前髪を左手で優しく退け、額や唇、耳に小さくキスをして、低い声でこう囁いた。
「……イカせてあげる。ごめんね、途中で止めて」
燦は指の動きを一気に早めた。北翔の体が震え、小さな唇からは吐息交じりの甘い声が漏れる。
「はぁっ……んんっ、わ、わたし、もうダメ……イッちゃう……っ!」
北翔は顔を真っ赤にし、目を瞑った。そして体をよじって思い切り果てた。
「ああ、んんん~~~っ!!!」
燦は北翔の顔をじっと見つめた。
「北翔……すげえかわいい……。ハア、ダメ俺、もう我慢できない……っ」
余裕のない声でそう呟くと、燦は下着を脱ぎ捨てた。大きく硬くなった燦自身を目の当たりにして北翔は少しだけ目を丸くした。
「ハハッ驚いた?そっか、見るの初めてだもんね」
「うん……すごい」
北翔はそう言って、ゆっくりと体を起こすと手を伸ばした。突然、自身に触れられて燦は驚いた。
「ちょ、北翔ってば!」
北翔は驚く燦を無視して、それを握ると揉んだり撫でたりした。思いがけない北翔の愛撫に体が火照り出したので、燦は慌てて北翔の手を掴んで制止すると言った。
「北翔、嬉しいけどちょっと待って。俺、手じゃなくて中でイキたいんだけど」
「……中って?これをわたしに入れるの?」
北翔が不安そうな顔をしたので、燦は優しく微笑みながら言った。
「そう。でも、大丈夫だよ。優しくするからさ」
「……分かった」
北翔は頷くと、再びベッドに仰向けになった。燦は依然として硬さを保ったままの自身を北翔の花びらに宛がうと、ゆっくり挿入した。
「……っ!」
北翔は鋭い痛みに体を震わせた。燦は北翔の髪を優しく撫でながら、なだめるように言った。
「北翔、力抜いて?大丈夫だよ……そうそう……」
「んんっ……痛い……っ」
燦がゆっくりと腰を動かし始めると、北翔は目を瞑り上擦った声を上げた。燦は腰を動かしながら、彼女の両の膨らみに触れると優しく揉みしだいた。時には先端の突起を指で弄り、愛撫した。すると、苦痛に歪んでいた北翔の表情が徐々に和らいでいった。
「あぁ……んんっ……」
喘ぐ声も吐息交じりの甘い声に変わり、燦はその淫らな声と表情に興奮を抑え切れなかった。小舟を揺らすように腰を動かしながら燦は北翔の顔をうっとりと見つめた。
「北翔……っ。今、めっちゃイイ顔してる……」
そして、まるで自身を包み込むような彼女の内側の感覚に燦は興奮と感動を覚えていた。
(北翔の中、すげえ……リアル。人間みたい……まさか、北翔の体内に子宮とかあったり……いや、それはさすがにないか。ああ、俺もうイキそう……でも、まだ……もう少し北翔に触りたい……)
燦は高揚感を何とか堪えると、一旦自身を北翔の中から引き抜いた。北翔が驚いて燦を見つめる。
「どうしたの?」
「北翔、後ろ向いてくれる?」
「……分かった」
彼女が寝返りを打つと、あの大きな傷痕が現れた。たった6日前に燦が自らの手で縫った傷痕だ。燦はその傷を優しく指先でなぞった。
「あん……っ!」
突然の刺激に北翔が甘い声を上げる。彼女の反応を見て、燦は北翔のことを心から愛おしく思った。北翔の背中に自身の体を預けると、ぎゅっと抱き締めて耳元に唇を寄せた。
「北翔……」
好きだ、と言おうとして彼は口をつぐんだ。突然、黙り込んだ燦に北翔は尋ねる。
「燦……?」
「ううん、何でもない。もっかい入れてもいい?」
「うん」
燦はそう言うと、再び北翔の中に自身を挿入した。
「あぁ……っ!」
北翔が仰け反ったので、燦は彼女の腰に腕を回した。そして、背中の傷や白い肌に愛おしそうにキスをした。
「はぁん、んんっ」
燦は北翔の膨らみを揉みしだきながら、一気に腰の動きを早めた。雪の結晶が激しく揺れる。
「い、いやぁっ、そんな、激しく……ああっ」
彼女の中で痛みと快感が激しく混ざり合った。甘美で不思議な感覚に北翔は自身の体の奥底が再び疼き出すのを感じた。腰を打ち付ける激しい音、妖艶な水音、二人の熱い吐息が真夜中の静かな部屋の中に響き渡る。燦の汗が額から溢れ、北翔の白い肌を濡らした。
「北翔、俺、イクよ……っ」
「んっ……わ、たしも……っ」
二人は同時に果てた。燦は北翔の中にこれまで内に秘めて来た彼女への想いを一気に吐き出した。一滴残らず注ぎ込むと、一気に引き抜いた。彼女が受け止め切れなかった彼の欠片が溢れ出た。燦は大きく息を吐くと、北翔の隣に倒れ込んだ。北翔は四つん這いの姿勢からうつ伏せに倒れ込むと、隣にいる燦の顔をじっと見つめた。何か言いたそうにしている彼女に、燦は息を切らしながら尋ねた。
「北翔……っ。どうだった……初体験は……っ?」
「疲れた……でも、良かった……」
北翔はそう言いつつもどこか満足したような表情を浮かべた。
「そっか……それなら良かった……」
「燦は……?」
「もちろん、めちゃくちゃ気持ち良かったよ」
燦はそう言ってニコリと笑った。そして思った。
(普段はクールなのに、セックスするとこんなに表情変わるとか……。ハア、すげえ可愛かったな、北翔。ああ、やばい。やっぱ北翔のこと好きだわ、俺……ホントは誰にも渡したくない。他の奴に北翔のあんな可愛い顔見せるとか、なんかすげえ嫌だ。やっぱついていこうかな)
「北翔、あのさ……」
そう言って隣に目をやった燦は驚いた。北翔は既に寝息を立てて気持ち良さそうに眠っていたからだ。
「相変わらず寝るのはやっ……」
燦は微笑むとそう呟き、彼女の体に布団を掛けた。そして、下着を履き寝巻きを着ると自分も布団の中に潜り込んだ。
「北翔、おやすみ。サンキューな」
そう言って北翔の額にキスをした。明日の夜、もう隣に彼女はいない、そう考えると苦しくて切なかった。その微かな胸の痛みを感じながら燦は眠りに落ちたのだった。
***
カーテンの隙間から差し込む柔らかな光りで燦は目を覚ました。寝返りを打って燦は飛び起きた。身支度を済ませた北翔がリビングを出ようとしているところだったのだ。
「北翔!」
彼女は燦の声に振り返った。その表情には何の感情も浮かんではいない。燦はベッドから降りると、北翔の体を抱き締めて言った。
「北翔、好きだ。だから俺も行きたい。北翔と一緒に」
「来なくていい。これはわたしの問題だから」
「アンドロイドの知識はそれなりにある。だから、一緒にいけばきっと何かの役に立つ。仕事だって辞める。俺、北翔のこともっと知りたい。もっと一緒にいたいんだよ」
「いい。わたしの問題にキミを巻き込むワケにはいかない」
依然として首を縦に振ろうとしない北翔に燦は少し苛立ちながら声を上げた。
「……何で?何でそんなに俺のこと拒否すんの?俺のこと嫌いなの?!」
「嫌いじゃない。むしろ感謝してる。でも、わたしには恋とか愛とかよく分からない。だから一人でいい」
北翔はそう言って燦の目を見つめた。その瞳には一人で運命に立ち向かおうとする強い意志や決意が込めてられていた。燦はそれ以上、何も言えなかった。彼は諦めると、遠慮がちに言った。
「北翔……分かったよ。じゃあさ、最後に俺のお願い聞いてくんない?」
「昨日、代金払う代わりにセックスした。それでいいでしょ」
北翔は眉をひそめ、苛立ちながら言った。
「そ、そうだけどさ!ね?これで最後だから……お願いっ!」
燦はそう言って両手を合わせて目を瞑った。北翔は諦めたように小さく息を吐くと言った。
「……分かった。何?」
「キスしていい?」
「うん」
北翔は燦の目をまっすぐに見つめた。彼は北翔の白い頬に優しく愛おしそうに触れると、形の整った小さな唇に自分の唇をそっと重ねた。昨晩の激しく甘いキスではない。そっと触れるだけの優しくて切ないキスだった。やがて、唇を離した燦は北翔の額に自分の額を寄せた。彼女と離れるのが名残惜しく、どうしようもなく胸が苦しかった。溢れそうになる涙と想いを必死に堪えながら、燦は言った。
「……北翔、元気でね。君が記憶を取り戻して……幸せになれるよう、俺、ずっと、ずーっと……願ってるから……っ」
「燦……?」
彼の声は微かに震えていた。北翔は彼の背中に腕を回して慰めるようにぎゅっと抱きしめた。
「助けてくれてありがとう。わたし、キミのことずっと忘れない」
北翔はそう言って体を離すと、踵を返した。そして、玄関の扉を開け、去って行った。彼女が振り向くことは一度もなかった。
彼女が去った扉を見つめ、燦は立ち尽くした。彼の目から大粒の涙が溢れた。次から次へと溢れ、彼の頬を伝っていった。それは燦にとって初めての失恋だった。
(この1週間、俺は何を見てた?夢……いや、もしかしたら幻だったのかも……)
最後に見た彼女の儚げで小さな後ろ姿を思い出し、燦はそう思ったのだった。
完
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