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前章その2 10歳のアフネス 逃亡の日々
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「うーん、アフネスは10歳になったというのに、まだ属性が表に出ないな。その兆候すら見えない。」
金色の長髪に青い瞳
普通の人間だと20歳代半ばくらい
の非常に美しい見た目の男性が一人の少女に向かって言った。
この男性、顔の側に先の尖った長い耳が付いている。エルフである。
「あニャた、このアフネスは混血だからじゃニャいの?
純血の庸常エルフのあニャたの様に強い属性は持ってニャいのでは?」
そう言ったのは
白いボブヘアーの髪型に水色の瞳
普通の人間だと20歳前後
の若い見た目の女性だった。
この女性は頭頂部に左右対称の、まるで獣のような耳を持っていて、上口唇の両端から牙のような歯が覗き、更には腰部から白い尻尾が生えていた。
「いやフランカ、いくら猫人族の君と僕との間に生まれた混血とはいえ、エルフはエルフだ。
アフネスはきっと、何らかの強い属性を持っている筈だよ。」
「では何でかニャ?」
「個人差はあるからね。気長に待っていれば、そのうち現れるさ。」
庸常エルフのバーレントを父に、獣人である猫人族のフランカを母に持つ混血エルフのアフネスは、この時10歳。
父に似ているのは、そのエルフの特徴を表す耳だけで、あとは猫人族の母に似ていた。
ただ、母が白い毛色であるのに対し、アフネスは黒髪で、瞳の色も違うし、アフネスには尻尾は生えていなかった。
バーレントとフランカは十数年前、とある森で出会い、大の猫好きだったバーレントと大のイケメン好きだったフランカは共に一目惚れし、恋に落ちた。
そしてバーレントは一人、エルフの里を出てフランカの猫人族の群れに加わり、バーレントが婿入りする形で二人は結婚した。
バーレントとフランカ、そしてアフネスは、仲間の猫人族と共に、宛てのない、そして果てしのない旅の途中にあった。
「来たぞーっ!フリムラフの奴らニャーっ!!」
アフネス達がいるテントの中に、外から男の叫び声が聞こえてきた。
「クソッ、また見つかったか!?
フランカ、逃げる準備を!
アフネス、ママから離れるな!!」
フリムラフ…へローフ教という一神教を国是とする宗教国家フリムラフ教国のことである。
属国や植民地を含めると、大陸の約三分の二の広大な地域を支配下に置く大国だ。
フリムラフ教国は勢力を拡大し続けており、約10年前、アフネスが生まれた頃、猫人族が暮らしていた地域まで侵攻してきた。
へローフ教は亜人を人と認めず、その教義に則って、フリムラフ教国は容赦なく亜人を殺戮してくるため、猫人族は住み処を追われ、逃亡を余儀なくされたのだった。
フリムラフ教国の軍勢は砂煙を上げて、こちらに向かってくる。
逃げる猫人族と反対方向へバーレントは走り、只一人、その軍勢に立ち向かった。
「土の魔法!塊土の矢!!」
バーレントが両手を上げてそう唱えると、バーレントの周りの地面が捲れ上がり、その地面の土が固まって何百もの矢を形成した。
そしてバーレントが両腕を前に振りかざすと、土で出来た矢がフリムラフの軍勢へ一直線に向かっていった。
「ギャアアァーーー!!!」
何百人ものフリムラフ兵達が崩れるように倒れた。
だが死んではいない。バーレントが魔法で造った土の矢は、全部、兵達の足に刺さっている。
「何度来ても無駄だ!
私がいる限り、同じ結果になる!
いい加減、私達を追うのは止めろ!!」
「黙れ!忌々しいエルフの悪魔め!!」
「悪魔だと!?
亜人という理由だけで何の罪もない人達を殺戮する、お前達フリムラフの方こそ悪魔ではないか!!」
「エルフめ…多くの人間に崇拝されているからといって調子に乗りおって!
我がへローフの神以外が崇拝されるなど認めぬ!お前達エルフも地上から消してやる!!」
「へローフの神が真に偉大ならば、そのような事は決して言わぬ!
お前達は教団上層部に騙されているだけだ!
いい加減目を覚ませ!!」
「いい気になってろ!お前、軍は我らだけと思っているな?」
「何だと!?」
「今頃、ペペイン司教の別動隊が先に回りこんでいる筈だ…
へっ、ざまあ見ろ!」
「しまった!こちらは囮か!?」
バーレントは倒れているフリムラフ兵達に背を向け、仲間の後を追った。
「土の魔法!閃流砂!!」
バーレントが駆けながら唱えると、バーレントの足元の土が砂に変わり、凄い勢いで前へ流れ出した。
バーレントは、その流れる砂に乗って突っ走っていった。
仲間の後を追うバーレントの目に、地に倒れている多くの猫人族と、それに倍する、倒れたフリムラフ兵達の姿が映った。
すぐに仲間を救う事は出来ない。
先方から剣戟の音や喚声が聞こえる。戦いは続いていた。
ようやくバーレントが追い付くと、猫人族は圧倒的多数のフリムラフ兵に押され、万事休すだった。
フリムラフ兵の部隊から金ピカの豪華な客車を引いた白馬二頭立ての馬車が前に出てきて、客車《キャビン》から、禿げ頭で口ひげを生やし白い法衣を着た肥満体の中年男が降りてきた。
「皆、私の後ろに下がれ!」
バーレントは仲間の猫人達を下がらせ
「塊土の矢!」
と、大声で唱えた。何百もの土の矢がフリムラフの軍勢へ向かっていく。
「風の魔法!風旋舞!!」
その白い法衣の男が唱えると、突風が起こり、バーレントの土の矢を巻き上げてしまった。
威力を失った土の矢が落ち、元の土塊に戻った。
「くっ、ならば!
土の魔法!地維天槍!!」
バーレントがそう唱えると、土が空中で固まり、およそ20メートル程の長さの円柱になった。円柱の先は鋭く尖っている。
「風の魔法!松籟の鎌!!」
白法衣の男が唱えると、風を凝縮した2m程の白い三日月のようなものが出来、その風の三日月は、凄まじいスピードでバーレントが魔法で造った土の槍にぶつかり、槍を細断していった。
「常人が、これ程の…」
「ワシはへローフ教司教ペペイン。
魔法はエルフの専売特許ではないぞ!
いくぞ、風の魔法!圧旋掌!!」
ペペインが右手を繰り出すと、掌から突風の塊が出てバーレントの胸に命中した。
バーレントの胸がペペインの掌の形に凹んだ。
「グフッ!」
バーレントが口から血を吐き、両膝をついた。
「とどめだ!」
ペペインが掌を繰り出そうとしたところ、白い影が飛び込んできた。
フランカである。しかし、フランカの右手の短刀は躱され、ペペインの法衣のみを切り裂いた。
「メス猫め!くらえ圧旋掌!!」
ペペインの圧旋掌はフランカの右脇腹に当たり、フランカは倒れて動かなくなった。
「パパ!ママ!」
大きな木の陰からアフネスが現れた。
「…アフネス、早く、逃げろ…」
バーレントがアフネスにそう言う前にペペインの目がアフネスを捉えた。
「エルフと猫人との混血とは珍しい。生捕りにして売り捌いてやろう。
フッ、風の魔法…」
ペペインが唱えようとしたところ、アフネスの全身が暗紫色の光に包まれた。
「お前なんか消えちゃえー!!」
暗紫色の光の球体がアフネスから離れ、ペペインの全身を包んだ。
「ぐわあーっ!!」
しかし光が消えると、何処も変わった様子がない。
「…ん?…小娘め、驚かしおって!
よし、圧旋掌!……おや?」
ペペインは右手の掌を勢いよく繰り出したが、何も起こらない。
「圧旋掌!松籟の鎌!風旋舞!」
ペペインは次々と唱えたが、声だけが山彦となって虚しく響くだけだった。
「魔法が使えない!?何をした小娘!!」
そう叫んだペペインは、只ならぬ気配を感じて空を見上げた。
巨大な円筒が浮いていた。
「土の究極魔法!地母神の槌!!」
ペペインとフリムラフ兵達は、その巨大な土の槌の下敷きとなり全滅した。
「…あ、あニャた…アフネス…」
「フランカ、大丈夫かい?」
「あの魔法使いは…?」
「アフネスのおかげで倒せた。
…アフネス、アフネス!?」
また暗紫色の光がアフネスを包んでいたが、先程とは様子が違った。
その光は四方に稲光を放出させ「バチッ!バチッ!!」と大きな破裂音を出している。
「何という巨大な魔力だ!これではアフネスの体が保たん!!」
「ああーっ!助けて!助けてパパ!!」
「アフネス!!」
バーレントはアフネスを強く抱きしめた。
(何て強い魔力だ…私の魔力をぶつけて…何とか…)
「がああぁーっ!!」
「キャアァーーッ!!」
バーレントとアフネスを包んでいた暗紫色の光の球体が破裂し、二人は左右に別れて弾き飛ばされた。
「あニャた!アフネス!!」
「私は大丈夫だ!アフネスは?」
アフネスの元に二人が駆け寄ると、アフネスは軽い寝息を立てていた。
「ホッ、気を失っているだけだ。フランカ、アフネスを頼む。
女子供は先に行け!男達は負傷した仲間を助けに行こう!!」
その日の夜、バーレントとフランカは神妙な面持ちで
白髪の長髪
顔全体を覆う白髯
水色の瞳
の大きな猫人と向かい合っていた。
猫人族の族長へルマン、フランカの父である。
「…婿殿は魔法が使えニャくなったと?」
「はい、義父上…」
「それはアフネスの…一体、アフネスにニャにが起こったのだ?」
「対魔法の魔法でしょう。先祖に使い手がいました。」
「対魔法の魔法とは?」
「魔法を防いだり、反射したり、消すことが出来る魔法です。
先程のアフネスの巨大な魔力によって効果が増大し、フリムラフの司教の魔法も、私の魔法も、完全に消されてしまったみたいです。」
「そんな!!」
奥で眠っていたアフネスが起きて近づいてきていた。
「アフネス!いつの間に。」
「パパが魔法使えなくなったって本当?
それも私の魔法のせいで。」
「……」
「…えーん、えーん…パパごめんなさい…えっ、えっ…」
「謝ることじゃないよ。泣くのはおよし、アフネス。」
「でも…ワタシ、パパの魔法を使えなくしちゃった…えっ、えーん…」
「いいんだよ、アフネス…魔法が無くても私は皆を守れるよ。」
「こんなの…こんな魔法、ワタシいらない!」
「魔法は天からの授かり物だ。いらないものなんて無いんだよ。
…アフネス、お前のその魔法が、いつか多くの人の役に立つ時が必ずやってくる…」
前章その2 終
金色の長髪に青い瞳
普通の人間だと20歳代半ばくらい
の非常に美しい見た目の男性が一人の少女に向かって言った。
この男性、顔の側に先の尖った長い耳が付いている。エルフである。
「あニャた、このアフネスは混血だからじゃニャいの?
純血の庸常エルフのあニャたの様に強い属性は持ってニャいのでは?」
そう言ったのは
白いボブヘアーの髪型に水色の瞳
普通の人間だと20歳前後
の若い見た目の女性だった。
この女性は頭頂部に左右対称の、まるで獣のような耳を持っていて、上口唇の両端から牙のような歯が覗き、更には腰部から白い尻尾が生えていた。
「いやフランカ、いくら猫人族の君と僕との間に生まれた混血とはいえ、エルフはエルフだ。
アフネスはきっと、何らかの強い属性を持っている筈だよ。」
「では何でかニャ?」
「個人差はあるからね。気長に待っていれば、そのうち現れるさ。」
庸常エルフのバーレントを父に、獣人である猫人族のフランカを母に持つ混血エルフのアフネスは、この時10歳。
父に似ているのは、そのエルフの特徴を表す耳だけで、あとは猫人族の母に似ていた。
ただ、母が白い毛色であるのに対し、アフネスは黒髪で、瞳の色も違うし、アフネスには尻尾は生えていなかった。
バーレントとフランカは十数年前、とある森で出会い、大の猫好きだったバーレントと大のイケメン好きだったフランカは共に一目惚れし、恋に落ちた。
そしてバーレントは一人、エルフの里を出てフランカの猫人族の群れに加わり、バーレントが婿入りする形で二人は結婚した。
バーレントとフランカ、そしてアフネスは、仲間の猫人族と共に、宛てのない、そして果てしのない旅の途中にあった。
「来たぞーっ!フリムラフの奴らニャーっ!!」
アフネス達がいるテントの中に、外から男の叫び声が聞こえてきた。
「クソッ、また見つかったか!?
フランカ、逃げる準備を!
アフネス、ママから離れるな!!」
フリムラフ…へローフ教という一神教を国是とする宗教国家フリムラフ教国のことである。
属国や植民地を含めると、大陸の約三分の二の広大な地域を支配下に置く大国だ。
フリムラフ教国は勢力を拡大し続けており、約10年前、アフネスが生まれた頃、猫人族が暮らしていた地域まで侵攻してきた。
へローフ教は亜人を人と認めず、その教義に則って、フリムラフ教国は容赦なく亜人を殺戮してくるため、猫人族は住み処を追われ、逃亡を余儀なくされたのだった。
フリムラフ教国の軍勢は砂煙を上げて、こちらに向かってくる。
逃げる猫人族と反対方向へバーレントは走り、只一人、その軍勢に立ち向かった。
「土の魔法!塊土の矢!!」
バーレントが両手を上げてそう唱えると、バーレントの周りの地面が捲れ上がり、その地面の土が固まって何百もの矢を形成した。
そしてバーレントが両腕を前に振りかざすと、土で出来た矢がフリムラフの軍勢へ一直線に向かっていった。
「ギャアアァーーー!!!」
何百人ものフリムラフ兵達が崩れるように倒れた。
だが死んではいない。バーレントが魔法で造った土の矢は、全部、兵達の足に刺さっている。
「何度来ても無駄だ!
私がいる限り、同じ結果になる!
いい加減、私達を追うのは止めろ!!」
「黙れ!忌々しいエルフの悪魔め!!」
「悪魔だと!?
亜人という理由だけで何の罪もない人達を殺戮する、お前達フリムラフの方こそ悪魔ではないか!!」
「エルフめ…多くの人間に崇拝されているからといって調子に乗りおって!
我がへローフの神以外が崇拝されるなど認めぬ!お前達エルフも地上から消してやる!!」
「へローフの神が真に偉大ならば、そのような事は決して言わぬ!
お前達は教団上層部に騙されているだけだ!
いい加減目を覚ませ!!」
「いい気になってろ!お前、軍は我らだけと思っているな?」
「何だと!?」
「今頃、ペペイン司教の別動隊が先に回りこんでいる筈だ…
へっ、ざまあ見ろ!」
「しまった!こちらは囮か!?」
バーレントは倒れているフリムラフ兵達に背を向け、仲間の後を追った。
「土の魔法!閃流砂!!」
バーレントが駆けながら唱えると、バーレントの足元の土が砂に変わり、凄い勢いで前へ流れ出した。
バーレントは、その流れる砂に乗って突っ走っていった。
仲間の後を追うバーレントの目に、地に倒れている多くの猫人族と、それに倍する、倒れたフリムラフ兵達の姿が映った。
すぐに仲間を救う事は出来ない。
先方から剣戟の音や喚声が聞こえる。戦いは続いていた。
ようやくバーレントが追い付くと、猫人族は圧倒的多数のフリムラフ兵に押され、万事休すだった。
フリムラフ兵の部隊から金ピカの豪華な客車を引いた白馬二頭立ての馬車が前に出てきて、客車《キャビン》から、禿げ頭で口ひげを生やし白い法衣を着た肥満体の中年男が降りてきた。
「皆、私の後ろに下がれ!」
バーレントは仲間の猫人達を下がらせ
「塊土の矢!」
と、大声で唱えた。何百もの土の矢がフリムラフの軍勢へ向かっていく。
「風の魔法!風旋舞!!」
その白い法衣の男が唱えると、突風が起こり、バーレントの土の矢を巻き上げてしまった。
威力を失った土の矢が落ち、元の土塊に戻った。
「くっ、ならば!
土の魔法!地維天槍!!」
バーレントがそう唱えると、土が空中で固まり、およそ20メートル程の長さの円柱になった。円柱の先は鋭く尖っている。
「風の魔法!松籟の鎌!!」
白法衣の男が唱えると、風を凝縮した2m程の白い三日月のようなものが出来、その風の三日月は、凄まじいスピードでバーレントが魔法で造った土の槍にぶつかり、槍を細断していった。
「常人が、これ程の…」
「ワシはへローフ教司教ペペイン。
魔法はエルフの専売特許ではないぞ!
いくぞ、風の魔法!圧旋掌!!」
ペペインが右手を繰り出すと、掌から突風の塊が出てバーレントの胸に命中した。
バーレントの胸がペペインの掌の形に凹んだ。
「グフッ!」
バーレントが口から血を吐き、両膝をついた。
「とどめだ!」
ペペインが掌を繰り出そうとしたところ、白い影が飛び込んできた。
フランカである。しかし、フランカの右手の短刀は躱され、ペペインの法衣のみを切り裂いた。
「メス猫め!くらえ圧旋掌!!」
ペペインの圧旋掌はフランカの右脇腹に当たり、フランカは倒れて動かなくなった。
「パパ!ママ!」
大きな木の陰からアフネスが現れた。
「…アフネス、早く、逃げろ…」
バーレントがアフネスにそう言う前にペペインの目がアフネスを捉えた。
「エルフと猫人との混血とは珍しい。生捕りにして売り捌いてやろう。
フッ、風の魔法…」
ペペインが唱えようとしたところ、アフネスの全身が暗紫色の光に包まれた。
「お前なんか消えちゃえー!!」
暗紫色の光の球体がアフネスから離れ、ペペインの全身を包んだ。
「ぐわあーっ!!」
しかし光が消えると、何処も変わった様子がない。
「…ん?…小娘め、驚かしおって!
よし、圧旋掌!……おや?」
ペペインは右手の掌を勢いよく繰り出したが、何も起こらない。
「圧旋掌!松籟の鎌!風旋舞!」
ペペインは次々と唱えたが、声だけが山彦となって虚しく響くだけだった。
「魔法が使えない!?何をした小娘!!」
そう叫んだペペインは、只ならぬ気配を感じて空を見上げた。
巨大な円筒が浮いていた。
「土の究極魔法!地母神の槌!!」
ペペインとフリムラフ兵達は、その巨大な土の槌の下敷きとなり全滅した。
「…あ、あニャた…アフネス…」
「フランカ、大丈夫かい?」
「あの魔法使いは…?」
「アフネスのおかげで倒せた。
…アフネス、アフネス!?」
また暗紫色の光がアフネスを包んでいたが、先程とは様子が違った。
その光は四方に稲光を放出させ「バチッ!バチッ!!」と大きな破裂音を出している。
「何という巨大な魔力だ!これではアフネスの体が保たん!!」
「ああーっ!助けて!助けてパパ!!」
「アフネス!!」
バーレントはアフネスを強く抱きしめた。
(何て強い魔力だ…私の魔力をぶつけて…何とか…)
「がああぁーっ!!」
「キャアァーーッ!!」
バーレントとアフネスを包んでいた暗紫色の光の球体が破裂し、二人は左右に別れて弾き飛ばされた。
「あニャた!アフネス!!」
「私は大丈夫だ!アフネスは?」
アフネスの元に二人が駆け寄ると、アフネスは軽い寝息を立てていた。
「ホッ、気を失っているだけだ。フランカ、アフネスを頼む。
女子供は先に行け!男達は負傷した仲間を助けに行こう!!」
その日の夜、バーレントとフランカは神妙な面持ちで
白髪の長髪
顔全体を覆う白髯
水色の瞳
の大きな猫人と向かい合っていた。
猫人族の族長へルマン、フランカの父である。
「…婿殿は魔法が使えニャくなったと?」
「はい、義父上…」
「それはアフネスの…一体、アフネスにニャにが起こったのだ?」
「対魔法の魔法でしょう。先祖に使い手がいました。」
「対魔法の魔法とは?」
「魔法を防いだり、反射したり、消すことが出来る魔法です。
先程のアフネスの巨大な魔力によって効果が増大し、フリムラフの司教の魔法も、私の魔法も、完全に消されてしまったみたいです。」
「そんな!!」
奥で眠っていたアフネスが起きて近づいてきていた。
「アフネス!いつの間に。」
「パパが魔法使えなくなったって本当?
それも私の魔法のせいで。」
「……」
「…えーん、えーん…パパごめんなさい…えっ、えっ…」
「謝ることじゃないよ。泣くのはおよし、アフネス。」
「でも…ワタシ、パパの魔法を使えなくしちゃった…えっ、えーん…」
「いいんだよ、アフネス…魔法が無くても私は皆を守れるよ。」
「こんなの…こんな魔法、ワタシいらない!」
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