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後章
後章その1 アフネス15歳 希望と絶望
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それからも私達の宛てのない逃亡の旅は続いた。
でも、フリムラフの連中は、あれ以降は軍を率いて襲ってこなくなった。
風の魔法使いが返り討ちにあったからだろう。
しかし奴らが諦める筈がない。潰された面目を回復するために、必ずまたやってくるだろう。
この長い期間は準備期間なのかと思うと、空恐ろしいものがある。
そして5年の歳月が流れ、私アフネスは15歳になった。あれから魔法を使うことは一度もない。
敵が襲ってこないのだから、それも当然だ。
私は父に習って弓矢の修練に明け暮れていた。
私だけではない。猫人族の皆も一緒だ。
父はエルフの里にいた時には、ずっと弓矢の修練をしていたらしい。
「スゴいわパパ!百発百中じゃん!!」
「ははは、でもエルフの里には同時に3本も4本も矢を放って、それぞれ別の目標に当てる人がいたからな、それに比べればまだまださ。」
以前は主に短刀を使って接近戦をしていた猫人族だが、戦法を弓矢を使った遠距離戦法に変えざるを得なくなった。
そう、パパが魔法を使えなくなったから…
へローフ教、フリムラフ教国の連中は襲ってこなくなったけれど、何処へ行っても、その監視の視線は感じた。
この大陸は大部分がフリムラフ教国の影響下にあるのだから当然だ。一体、何処まで逃げれば良いのだろう?
そんな折、私達同様、逃亡を続けている亜人のグループに出会った。
リザードマンという獣人種で、エルフの父と猫人の母達、そしてフリムラフの常人どもしか見たことがない私にとっては新鮮だった。
大人に混じって子供達も何人かいた。人懐っこく可愛い子達だった。
リザードマンはエルフを崇拝しているらしく、父と私は手厚いもてなしを受けた。
「さあ飲んで下さいませ、エルフ様、お嬢様。」
「いや、恐れ入ります…あ、娘はまだ酒は…
ところで、あなた達も宛てのない旅の途中ですか?」
「いえ、これより西方、大陸中心のやや北西の地域に向かっています。」
「大陸中心のやや北西部…というと、噂に名高いステルクステ騎士団の元へ?」
「いえ、ステルクステまで至る手前に所在する地方領の領主、ドラーク公とおっしゃる方が反フリムラフの旗をお上げになったのです。
各地でフリムラフの軍を破っておられるらしい。」
「何と!それは初耳でした。ドラーク公…私達も行こうかな。」
こうして我々もドラーク公の領内へ向かうべく、進路を西にとった。
しかし、共に行動すると大人数になって目立つ、という理由で、リザードマン達とは別れて別々に目的地を目指すことになった。
「さあアフネス、フランカ、皆、前に見える森を抜ければドラーク公の領内だ!」
希望を胸に抱きながら進んでいた私達の行手を絶望が立ち塞いだ。
その森の木々が全て人であったかのような錯覚を覚える程のフリムラフの大軍勢が待ち構えていたのだ。
後章その1 終
でも、フリムラフの連中は、あれ以降は軍を率いて襲ってこなくなった。
風の魔法使いが返り討ちにあったからだろう。
しかし奴らが諦める筈がない。潰された面目を回復するために、必ずまたやってくるだろう。
この長い期間は準備期間なのかと思うと、空恐ろしいものがある。
そして5年の歳月が流れ、私アフネスは15歳になった。あれから魔法を使うことは一度もない。
敵が襲ってこないのだから、それも当然だ。
私は父に習って弓矢の修練に明け暮れていた。
私だけではない。猫人族の皆も一緒だ。
父はエルフの里にいた時には、ずっと弓矢の修練をしていたらしい。
「スゴいわパパ!百発百中じゃん!!」
「ははは、でもエルフの里には同時に3本も4本も矢を放って、それぞれ別の目標に当てる人がいたからな、それに比べればまだまださ。」
以前は主に短刀を使って接近戦をしていた猫人族だが、戦法を弓矢を使った遠距離戦法に変えざるを得なくなった。
そう、パパが魔法を使えなくなったから…
へローフ教、フリムラフ教国の連中は襲ってこなくなったけれど、何処へ行っても、その監視の視線は感じた。
この大陸は大部分がフリムラフ教国の影響下にあるのだから当然だ。一体、何処まで逃げれば良いのだろう?
そんな折、私達同様、逃亡を続けている亜人のグループに出会った。
リザードマンという獣人種で、エルフの父と猫人の母達、そしてフリムラフの常人どもしか見たことがない私にとっては新鮮だった。
大人に混じって子供達も何人かいた。人懐っこく可愛い子達だった。
リザードマンはエルフを崇拝しているらしく、父と私は手厚いもてなしを受けた。
「さあ飲んで下さいませ、エルフ様、お嬢様。」
「いや、恐れ入ります…あ、娘はまだ酒は…
ところで、あなた達も宛てのない旅の途中ですか?」
「いえ、これより西方、大陸中心のやや北西の地域に向かっています。」
「大陸中心のやや北西部…というと、噂に名高いステルクステ騎士団の元へ?」
「いえ、ステルクステまで至る手前に所在する地方領の領主、ドラーク公とおっしゃる方が反フリムラフの旗をお上げになったのです。
各地でフリムラフの軍を破っておられるらしい。」
「何と!それは初耳でした。ドラーク公…私達も行こうかな。」
こうして我々もドラーク公の領内へ向かうべく、進路を西にとった。
しかし、共に行動すると大人数になって目立つ、という理由で、リザードマン達とは別れて別々に目的地を目指すことになった。
「さあアフネス、フランカ、皆、前に見える森を抜ければドラーク公の領内だ!」
希望を胸に抱きながら進んでいた私達の行手を絶望が立ち塞いだ。
その森の木々が全て人であったかのような錯覚を覚える程のフリムラフの大軍勢が待ち構えていたのだ。
後章その1 終
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