遊佐賀奈子と八人の鬼婦人

マヤカナヒロキ

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25話

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朝、遊佐が目を開けると施設の天井が見える。
遊佐はベットに横になっていた。


昨日は患者二十人に栄養剤などの投与を三回ずつ続け、最後の一人に投与が終わる頃には既に日付が変わっていた。そのためさすがに疲れてそのまま寝てしまったことを遊佐は思い出す。


ムルドは日付が変わる前に「すまないが一度帰らせてもらう。頼むぞ。」と言って帰宅した。


ピーカはあの後ずっと遊佐の隣に着いて行き、患者の様子を見てた。出会った頃の高圧的な態度は一切なく、逆に遊佐が機械を設置するのを手伝ってくれたりした。


「他に私に出来ることはない?」


と本当にびっくりするような豹変っぷりで尽くしてくれた。遊佐はそんなことを思い出しながらだんだんと目を覚ましていく。


(朝か、患者に栄養剤を投与しなきゃな。)


「ん?」


そう遊佐が考えた時に体に変な感触があることに気づいた。頰と首が生暖かい。というかなんか吸われてるような、何かがくっ付いているような。


「ひっ!」


ピーカが遊佐に抱きつくように寝ていたのだ。顔の三つの吸盤が遊佐の頰と顎と首にくっ付いている。


「わっ!」


遊佐は驚き思わず上体を起こす。吸盤がくっ付いているためピーカの顔も引っ張られた。その勢いで頰に吸い付いてた吸盤が外れ、綺麗なポンッという音を出す。


「ん~なんなの。いきなり叫んで。」


ピーカが起きた。まだ寝ぼけながら遊佐から離れる。顎と首に吸い付いてた吸盤も外れ、ポンポンッと音を出す。


「いや、一緒に寝てたの知らなくて。」


遊佐はすっかり目が覚めた。


「仕方ないでしょ。患者が多くてベットが空いてなかったのよ。」


ピーカはまだ眠そうにしている。眼?がある位置をゴシゴシと擦りながら欠伸をしたりボーっとしているのか暫く動かなかったりしている。


「そ、そうなの。じゃあ私はもう起きるからまだ寝てなよ。」


「そうね。。なら、、よろし、く。」


ピーカは倒れるようにベットに横になり寝始める。


(び、びっくりした。)


遊佐は激しくなった心臓の鼓動を落ち着かせる。落ち着いた後ピーカの様子を見る。


(こうして見ると普通の女の子みたい。あとすごくいい香りがする。)


遊佐はピーカの体に顔を近づけて匂いを嗅ぐ。スンスンと。しかし一瞬、ピーカの顔の吸盤が蠢いたのにビクっとして顔を放す。


(何やってんだ私。か、患者のところに行かなきゃ。)


遊佐はベットから離れて患者の元へ向かう。
昨日一番始めに栄養剤を投与した患者の元に着いた。患者は昨日見た時より良くなっている様子。生気を取り戻しつつあるのか顔色が良くなっている。


「よかった。」


遊佐が安堵の表情を浮かべる。


「よくやった。遊佐賀奈子。」


遊佐が振り返るとムルドがいた。


「貴様のおかげで人の命が救われた。感謝する。」


ムルドは遊佐に頭を下げてお礼を言う。


「い、いや、私というよりも私たちの世界の技術のおかげだから!」


遊佐は面と向かって感謝されることに慣れてなく、なんだかムズムズする感覚に戸惑った。


ムルドは遊佐の隣まで行き、患者を見る。
遊佐も患者を見ながらムルドに話しかける。


「、、、おっさん。」


「なんだ?」


「私、絶対犯人見つけるから。」


「ああ、そうだな。私も全力で協力する。」
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