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第18話 天使を拾いました
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「これはどういうことでしょう……」
千夏はおろおろと紫紋を見た。
紫紋は難しい顔をすると、そっと手を伸ばす。
伸ばした先は紫紋の家の前で、倒れ込む、翼を生やした青年だった。
「天使って、路上に落ちてるものなんですね……」
紫紋はやれやれと言わんばかりに呟いた。
千夏は大学生で、ハウスキーパーのバイトをしている。
ハウスキーパーとしての勤め先の主人の紫紋は、いろんなことがあった末に恋人となった。
今日は一緒に出かけており、買い物袋を手にぶら下げて、紫紋の家に帰ったら
男が倒れていた。
しかも純白の羽を生やしていた……
これでも最初は御大層なコスプレをしているのかと思ったのだけど、つんつん羽をつつくと
男はビクビクと震え、どうも羽と男は神経なのかわからないが、とにかくつながっているようだった。
千夏はうーんと唸った。
「天使なんですか、まさかまさかのコスプレとか……そういう可能性もありますよね」
「うーん、少なくとも人間ではないですね……千夏さんにはわからないかと思いますが、エネルギーが人間のそれと違います」
「な、なるほど」
千夏は、しゃがみこんで男をまじまじと見た。
とてもキレイな男だ、紫紋も美人だが、どちらかというと、夜の店にいそうなイメージがつく。
しかしこちらは日差しの下が似合いそうな茶金の髪や、明るめの白い肌だった。
「千夏さん、すいませんが……このままでは倒れた天使を捨てた悪魔という不名誉がつきます。とりあえず、家に入れて休ませましょう」
「悪魔が天使を助けるんですか」
シュールだなと思っていると、紫紋にしては珍しく顔をしかめた。
「正直、嫌です……けど、現実的にこんな人を外に放置できないでしょう」
「ナルホド」
思わずクスリと千夏は笑いそうになった。
自分とは明らかに対立しそうな立場なのに助ける心意気である。
それは悪魔として優しすぎる彼らしくもあり、でも嫌そうな顔をしてのも良かった。
あまり普段見ない顔だったからだろう。
それにしても、悪魔と出会って恋をしたり……
家に帰ってきたら……天使が行き倒れしてたり
自分の人生、いつから、ファンタジーなことに振り切ってしまったのか
「千夏さん、どうしました? もう夜遅いし風邪ひますよ、立ちっぱなしは」
「ああ、いえ……ちょっと考えてしまって」
「はあ……あ、そこ段差有りますからね」
紫紋は、男に肩を貸しながら、空いた片方の手を差し出した。
千夏はおずおずと、手を伸ばす。
「……ありがとうございます」
紫紋の手のひらは温かかった。
千夏も、胸の奥がぎゅっとするほど、心が熱くなった。
「うう……」
二人の甘い空気を断つように、天使の男からうめき声が聞こえた。
うっすらと目が開く。
「起きましたか、大丈夫ですか? 今、家にはいりますからね」
紫紋がしっかりした声を男にかけると、男はほっとしたように。
ぐぎゅるるると盛大にお腹を鳴らしたのだった。
紫紋と千夏は顔を見合わせる。
「お腹が空いてたんですかね……」
「うちのハーブを食べさせますか……」
「え、もっと食べ物っぽいものにしましょ」
紫紋は千夏の言葉に、むーと顔をしかめた。
「千夏さんのご飯を、天使にだなんて……」
紫紋の言葉に千夏はあららと小首をかしげる。
以前のこともあったけれど、ちょっとかわいいなと思った……。
千夏はおろおろと紫紋を見た。
紫紋は難しい顔をすると、そっと手を伸ばす。
伸ばした先は紫紋の家の前で、倒れ込む、翼を生やした青年だった。
「天使って、路上に落ちてるものなんですね……」
紫紋はやれやれと言わんばかりに呟いた。
千夏は大学生で、ハウスキーパーのバイトをしている。
ハウスキーパーとしての勤め先の主人の紫紋は、いろんなことがあった末に恋人となった。
今日は一緒に出かけており、買い物袋を手にぶら下げて、紫紋の家に帰ったら
男が倒れていた。
しかも純白の羽を生やしていた……
これでも最初は御大層なコスプレをしているのかと思ったのだけど、つんつん羽をつつくと
男はビクビクと震え、どうも羽と男は神経なのかわからないが、とにかくつながっているようだった。
千夏はうーんと唸った。
「天使なんですか、まさかまさかのコスプレとか……そういう可能性もありますよね」
「うーん、少なくとも人間ではないですね……千夏さんにはわからないかと思いますが、エネルギーが人間のそれと違います」
「な、なるほど」
千夏は、しゃがみこんで男をまじまじと見た。
とてもキレイな男だ、紫紋も美人だが、どちらかというと、夜の店にいそうなイメージがつく。
しかしこちらは日差しの下が似合いそうな茶金の髪や、明るめの白い肌だった。
「千夏さん、すいませんが……このままでは倒れた天使を捨てた悪魔という不名誉がつきます。とりあえず、家に入れて休ませましょう」
「悪魔が天使を助けるんですか」
シュールだなと思っていると、紫紋にしては珍しく顔をしかめた。
「正直、嫌です……けど、現実的にこんな人を外に放置できないでしょう」
「ナルホド」
思わずクスリと千夏は笑いそうになった。
自分とは明らかに対立しそうな立場なのに助ける心意気である。
それは悪魔として優しすぎる彼らしくもあり、でも嫌そうな顔をしてのも良かった。
あまり普段見ない顔だったからだろう。
それにしても、悪魔と出会って恋をしたり……
家に帰ってきたら……天使が行き倒れしてたり
自分の人生、いつから、ファンタジーなことに振り切ってしまったのか
「千夏さん、どうしました? もう夜遅いし風邪ひますよ、立ちっぱなしは」
「ああ、いえ……ちょっと考えてしまって」
「はあ……あ、そこ段差有りますからね」
紫紋は、男に肩を貸しながら、空いた片方の手を差し出した。
千夏はおずおずと、手を伸ばす。
「……ありがとうございます」
紫紋の手のひらは温かかった。
千夏も、胸の奥がぎゅっとするほど、心が熱くなった。
「うう……」
二人の甘い空気を断つように、天使の男からうめき声が聞こえた。
うっすらと目が開く。
「起きましたか、大丈夫ですか? 今、家にはいりますからね」
紫紋がしっかりした声を男にかけると、男はほっとしたように。
ぐぎゅるるると盛大にお腹を鳴らしたのだった。
紫紋と千夏は顔を見合わせる。
「お腹が空いてたんですかね……」
「うちのハーブを食べさせますか……」
「え、もっと食べ物っぽいものにしましょ」
紫紋は千夏の言葉に、むーと顔をしかめた。
「千夏さんのご飯を、天使にだなんて……」
紫紋の言葉に千夏はあららと小首をかしげる。
以前のこともあったけれど、ちょっとかわいいなと思った……。
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