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第17話「カコカンコ」
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シンナラでは、俺たちはわずか一時間も経たないうちにチジョウヒトを連れて戻ってきた。
そのため、レプヤンたちは驚きの声を上げ、目を丸くしてチジョウヒトを見つめていた。
俺もツイテルも、少し緊張しながら様子をうかがった。
チジョウヒトたちが、この新天地シンナラで受け入れられるのか――心臓が早鐘を打つ。
◆趣味に生きよう
チジョウヒトの到来に、空気がわずかに張り詰める。
ドキドキが胸を締め付け、手のひらはじっとりと汗ばんでいた。
俺はこれまでの経緯を簡単に説明する。
デデドンたちとテペテペ三人組は警戒心を露わにし、じりじりと後ずさりして距離を取る。
眉をひそめ、目を細めて身構えるその様子は、まるで戦いの前の恐竜のようだった。
対照的に、地底デデドンや月テペテペたちは、新しい仲間が現れたことに子どものように目を輝かせて喜んでいた。
ちょんと小さくジャンプして駆け回り、純粋な好奇心と歓迎の気持ちだけを表している。
俺たちはオートミートのフルコースとシラズを差し出した。
温かく、生肉の匂いが辺りに漂い、場の空気を和らげた。
無気力だったチジョウヒトの目も少し輝きを取り戻したように感じた。
記者会見で、第一声を挙げた孫という人物がテペテペ三人組に向かって声を震わせながら言った。
「ジイちゃんが申し訳ないことをしてしまった。ごめんなさい」
その声には、誠実な真剣さがあった。
人類の危機を救ったにもかかわらず、見た目だけで追放してしまったことを深く詫びている。
無気力なただ生きているだけのチジョウヒトに、デデドンが口を開く。
「ココ グータラダメ タノシ コト ミナ スル」
その言葉は簡潔で力強い。
シンナラ唯一の決まり事、それは趣味を見つけて、楽しく暮らすこと。
命令ではない、けれどその含蓄は深く、誰もが思わず頷く。
記者の孫が口を開く。
「私は記者になる!後世に出しても恥ずかしくない、見せかけだけじゃない、ありのままの記事を残したい!」
これを皮切りに、それぞれがやりたいことを言い合った。
「オートシリーズでオートライスを発明するぞ!」
「それでは私はコックになろう!」
「オマエラ マタ グータラスル タンボ ツクレ」
デデドンもテペテペもチジョウヒトも関係ない。
声をあげ、笑い声が空に響く。
俺はその光景を眺め、深い達成感を覚えた。
デデドンと出会う前のように、気まぐれに一人走り出したくなる衝動が湧く。
「ほな俺は前みたいに一人で走りに行って来るわ!」
「イツデモ アソビ コイ!」
「また会いに来てくださいね」
不思議と涙は出なかった。
レプヤンたちも誰も泣いてない笑ってる。
ほんの少し走って戻るつもりが、気づけば引くに引けない雰囲気になっていた。
(しゃーない、遠出しよか)
「ほなまた!」
肩からツイテルの顔がヌッと出てきて、
「カカカカッ!」
もう怖くない
「オマエ リッパナッタ ウレシイゾ」
やっぱりツイテルは、バアちゃん家にいた日本人形だったのかもしれない。
ま、どっちでもいっか。
俺はチョッパーに跨り──「お前は永遠の相棒やな」
キック一発エンジンをかける。
コンテナボックスはもちろんない。
フロントフェンダーも付いて雨の日もへっちゃら。 ビッキビキに整備されたチョッパーだ。
サワッと風が吹いた。
そっちの方向に、とりあえず進もう。
走り出す。首には赤いペンダントをぶら下げて。
俺は一人、暴風族。
「ヒャッハー!」
空には見慣れた飛行船、なんだかこれで見納めな気がして、手を振った。
◆過去観光
「手を振ってくれましたね、今回の『過去観光ツアー』は如何だったでしょうか?」
「楽しかった~!」
子どもたちの歓声が飛行船の中に響く。
「私たちが生まれる遥か昔にこのようなことがありました、歴史の1ページの積み重ねのおかげで今があるんですね、アクダマは今も月に一人でいてるかもしれないですね」
「俺って名前ないの?教科書でこの人だけないの、今どこにいるのかな?」
「さぁ名前は何なんでしょうね?今は…大昔の出来事なので…」
困惑する子どもたち。
ガイドは微笑んで、子どもたちに語りかける。
「みんな、今日は昔の人たちの物語を見てきました。過去を知ることは大事です。そして勉強は、決して無駄にはなりません」
そして少し間を置き、俺の言葉を読み上げる。
『学生のころはな、なんで勉強せなアカンねん思うてた。でも、この歳になって分かったんや。自分だけの自分にぴったりの趣味、見つけるんためやったんや!』
子どもたちは目を丸くし、口々にささやく。
「メカニック ナリタイ!」
「池でサンマ育てたい!」
「アクダマをゼンダマにしたろ!」
小さな手が次々と挙がり、笑顔が広がる。
ワイワイと歓声が飛び交い、飛行船の中が明るい未来の光で満たされた。
ガイドは嬉しそうにうなずいた。
「そうです、シンナラのルール。それは、趣味を見つけて、楽しく暮らすことなんです」
子どもたちは大きくうなずき、目をキラキラさせた。
未来への希望が、確かに芽生えた。
運転席の中年男がチラッと振り向く。
バリボリっと柿を食いながら…
「俺が俺やちゅうねん。いつまで経っても中年て、なんちゅうことやねん!」
「カカカカッ!オヤジ ギャグ」
ちゃんちゃん
そのため、レプヤンたちは驚きの声を上げ、目を丸くしてチジョウヒトを見つめていた。
俺もツイテルも、少し緊張しながら様子をうかがった。
チジョウヒトたちが、この新天地シンナラで受け入れられるのか――心臓が早鐘を打つ。
◆趣味に生きよう
チジョウヒトの到来に、空気がわずかに張り詰める。
ドキドキが胸を締め付け、手のひらはじっとりと汗ばんでいた。
俺はこれまでの経緯を簡単に説明する。
デデドンたちとテペテペ三人組は警戒心を露わにし、じりじりと後ずさりして距離を取る。
眉をひそめ、目を細めて身構えるその様子は、まるで戦いの前の恐竜のようだった。
対照的に、地底デデドンや月テペテペたちは、新しい仲間が現れたことに子どものように目を輝かせて喜んでいた。
ちょんと小さくジャンプして駆け回り、純粋な好奇心と歓迎の気持ちだけを表している。
俺たちはオートミートのフルコースとシラズを差し出した。
温かく、生肉の匂いが辺りに漂い、場の空気を和らげた。
無気力だったチジョウヒトの目も少し輝きを取り戻したように感じた。
記者会見で、第一声を挙げた孫という人物がテペテペ三人組に向かって声を震わせながら言った。
「ジイちゃんが申し訳ないことをしてしまった。ごめんなさい」
その声には、誠実な真剣さがあった。
人類の危機を救ったにもかかわらず、見た目だけで追放してしまったことを深く詫びている。
無気力なただ生きているだけのチジョウヒトに、デデドンが口を開く。
「ココ グータラダメ タノシ コト ミナ スル」
その言葉は簡潔で力強い。
シンナラ唯一の決まり事、それは趣味を見つけて、楽しく暮らすこと。
命令ではない、けれどその含蓄は深く、誰もが思わず頷く。
記者の孫が口を開く。
「私は記者になる!後世に出しても恥ずかしくない、見せかけだけじゃない、ありのままの記事を残したい!」
これを皮切りに、それぞれがやりたいことを言い合った。
「オートシリーズでオートライスを発明するぞ!」
「それでは私はコックになろう!」
「オマエラ マタ グータラスル タンボ ツクレ」
デデドンもテペテペもチジョウヒトも関係ない。
声をあげ、笑い声が空に響く。
俺はその光景を眺め、深い達成感を覚えた。
デデドンと出会う前のように、気まぐれに一人走り出したくなる衝動が湧く。
「ほな俺は前みたいに一人で走りに行って来るわ!」
「イツデモ アソビ コイ!」
「また会いに来てくださいね」
不思議と涙は出なかった。
レプヤンたちも誰も泣いてない笑ってる。
ほんの少し走って戻るつもりが、気づけば引くに引けない雰囲気になっていた。
(しゃーない、遠出しよか)
「ほなまた!」
肩からツイテルの顔がヌッと出てきて、
「カカカカッ!」
もう怖くない
「オマエ リッパナッタ ウレシイゾ」
やっぱりツイテルは、バアちゃん家にいた日本人形だったのかもしれない。
ま、どっちでもいっか。
俺はチョッパーに跨り──「お前は永遠の相棒やな」
キック一発エンジンをかける。
コンテナボックスはもちろんない。
フロントフェンダーも付いて雨の日もへっちゃら。 ビッキビキに整備されたチョッパーだ。
サワッと風が吹いた。
そっちの方向に、とりあえず進もう。
走り出す。首には赤いペンダントをぶら下げて。
俺は一人、暴風族。
「ヒャッハー!」
空には見慣れた飛行船、なんだかこれで見納めな気がして、手を振った。
◆過去観光
「手を振ってくれましたね、今回の『過去観光ツアー』は如何だったでしょうか?」
「楽しかった~!」
子どもたちの歓声が飛行船の中に響く。
「私たちが生まれる遥か昔にこのようなことがありました、歴史の1ページの積み重ねのおかげで今があるんですね、アクダマは今も月に一人でいてるかもしれないですね」
「俺って名前ないの?教科書でこの人だけないの、今どこにいるのかな?」
「さぁ名前は何なんでしょうね?今は…大昔の出来事なので…」
困惑する子どもたち。
ガイドは微笑んで、子どもたちに語りかける。
「みんな、今日は昔の人たちの物語を見てきました。過去を知ることは大事です。そして勉強は、決して無駄にはなりません」
そして少し間を置き、俺の言葉を読み上げる。
『学生のころはな、なんで勉強せなアカンねん思うてた。でも、この歳になって分かったんや。自分だけの自分にぴったりの趣味、見つけるんためやったんや!』
子どもたちは目を丸くし、口々にささやく。
「メカニック ナリタイ!」
「池でサンマ育てたい!」
「アクダマをゼンダマにしたろ!」
小さな手が次々と挙がり、笑顔が広がる。
ワイワイと歓声が飛び交い、飛行船の中が明るい未来の光で満たされた。
ガイドは嬉しそうにうなずいた。
「そうです、シンナラのルール。それは、趣味を見つけて、楽しく暮らすことなんです」
子どもたちは大きくうなずき、目をキラキラさせた。
未来への希望が、確かに芽生えた。
運転席の中年男がチラッと振り向く。
バリボリっと柿を食いながら…
「俺が俺やちゅうねん。いつまで経っても中年て、なんちゅうことやねん!」
「カカカカッ!オヤジ ギャグ」
ちゃんちゃん
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