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ルイのために出来る事は?
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(どうしたものかなぁ…)
ルイが母親と一緒に暮らせる方法はないかと、マシューからルイの母親の事を聞き出した理緒だったが、残念ながらこれと言った打開策は得られなかった。
マシューの話では、母親は貴族の女性の慣例に従い、子どもは乳母が育てるもので、母親が四六時中側で面倒を見るという発想はないらしい。
また、事故で負った傷は癒えたが、事故の記憶が時々思い出されて精神的に不安定になるのだという。それならルイと一緒にここで静養を…と思うのだが、夫や子供達と暮らした辺境伯の屋敷を離れるのは辛いのだという。だったらルイも一緒に暮らせばいいのに、と思うのだが、側にいると他の子供達を思い出すから辛いのだと言う。
なんだよ、その自分最優先の考えは…と理緒は思うのだが、この世界の貴族の女性はそういうものだと言われると、どうにもならなかった。下手に反対意見を言って変人扱いされるのも困るし、不審がられるのはもっと困る。
辺境伯はハッキリ言って役に立たないし、理緒としても話がしたいとも思わないし、向こうだってそうだろう。そんな事情もあって、打開策が見つからなかった。
「リオ、あそぼ!」
それでもルイは、散々泣いたせいか翌日にはけろりとしていたため、それだけが幸いだった。元より母親と一緒にいる時間が少なかったから、あまり気にしていないのかもしれない。
それでも、自分のせいで母親の体調が悪くなると言われた事は心に残っているだろう。そう思うと理緒は、ルイの笑顔をそのまま受け取っていいのかと悩んだ。幼児も幼児なりに色々考えているという事は、妹弟達の世話をしている時に何度も思い知らされた。子どもだからと侮ってはいけないのだ。
(でも…)
数日考えたが、理緒は答えが見つからなかった。ルイに申し訳ないと思うが、理緒一人でどうにかなる問題ではないのも事実だった。マシューやネリーに相談すれば少しは状況がよくなるかもしれないが、ルイを母親と一緒に過ごさせる事は難しいだろう。そして、こうしている間もルイは成長しているのだ。
結局理緒は、ルイが笑顔でいられるように心を砕く事しか出来なかった。残してきた妹弟たちはどうしているだろうかとルイを見るたびに思うが、彼らには両親もいるし、二人は八歳と十歳でルイほど小さな子供ではない。いつかは元の世界に帰りたいが、今はその手段もわからないし、探す手立てもないが、生きていかなければいけない。となれば、それまでは目の前の事を精一杯やるしかないのだ。
ルイを母親と暮らせるようにすることを諦めた理緒は、まずマシューにルイに最初についていた乳母が戻ってこれないか聞いてみた。
マシューによると、ルイには生まれた時にはちゃんと乳母がいて、その乳母は一年ほどで辞めたという。それからは誰を付けてもルイが拒否したというが、それは最初の乳母がしっかりとルイの面倒を見て、愛情を注いでいたのではないか?と理緒は思ったのだ。だからルイは、その後に連れてこられた乳母候補を拒否したのではないか…と。
癇癪が酷く知恵遅れだと言われているルイだが、理緒が見る限りそんな事はなく、むしろ賢いのではないか?と思う事の方が多かった。ぶっちゃけ実の妹弟よりも賢いと思う。
ルイが最初の乳母の事を覚えているのなら、もう一度戻ってきてはくれないだろうか。夫が病気になり、その看病のために辞めたと聞いたが、あれから二年経って夫の病気も治っているかもしれない。今は母乳が必要な時期は過ぎているし、夜泣きするわけでもない。通いでもいいから、側にいて愛情を注いでくれないだろうか、と理緒は思ったのだ。
マシューに調べて貰ったところ、乳母は現在、理緒が住んでいた街の食堂兼宿屋で働いていた。半年前、ずっと療養していた夫が亡くなってしまい、三人の子供を抱えて大変らしい。上の子が既に十歳を超えているから、その子に子供達を託して働いているが、暮らしぶりは中々に厳しいという。
理緒はマシューに、戻ってきて貰う事は出来ないか、辺境伯に掛け合って貰えないかと聞いてみた。自分が言ったところであの偏屈男が、はいそうですかとこの提案を受け入れると思わなかったからだ。むしろ提案しようとした時点で一蹴されそうな気がする。それではダメなのだと言うと、マシューはそれならネリーを通して頼んでみようと言ってくれた。ネリーはこの屋敷の家令たちの采配をしているし、辺境伯も彼女には頭が上がらない。ルイのためだと言えば文句はないだろうと言ってくれたため、理緒はマシューにこの件を任せる事にした。
マシューがネリーにこの提案を相談したところ、彼女も理緒がそう言うのなら試してみる価値はあると、辺境伯に掛け合ってくれた。ネリーからは、乳母の夫が亡くなったと出入りの業者から聞いたのだが、三人の子供を抱えて暮らしぶりが大変らしい。乳母に選ばれるほどだから実の両親からも信頼されていたのだろうし、だったら戻ってきてもらってはどうかと話したのだ。
この話を聞いた辺境伯は少しためらっているようにも見えたが、彼自身が理緒を側に置くのには反対だったため、乳母が戻ってきてくれてルイの面倒を見てくれるのなら…と賛成した。
ネリーは更に、子供三人もまとめて住み込みで家令用の寮に引き取り、いずれはこの屋敷で雇ってはどうか。子供は十二歳と八歳、三歳だから、一番上は家令の仕事を覚え始めるのにいい歳だし、他の二人はルイの遊び相手にちょうどいいだろうと提案すると、身元の確認をして問題なければそれでいいとあっさり了承した。
ルイが母親と一緒に暮らせる方法はないかと、マシューからルイの母親の事を聞き出した理緒だったが、残念ながらこれと言った打開策は得られなかった。
マシューの話では、母親は貴族の女性の慣例に従い、子どもは乳母が育てるもので、母親が四六時中側で面倒を見るという発想はないらしい。
また、事故で負った傷は癒えたが、事故の記憶が時々思い出されて精神的に不安定になるのだという。それならルイと一緒にここで静養を…と思うのだが、夫や子供達と暮らした辺境伯の屋敷を離れるのは辛いのだという。だったらルイも一緒に暮らせばいいのに、と思うのだが、側にいると他の子供達を思い出すから辛いのだと言う。
なんだよ、その自分最優先の考えは…と理緒は思うのだが、この世界の貴族の女性はそういうものだと言われると、どうにもならなかった。下手に反対意見を言って変人扱いされるのも困るし、不審がられるのはもっと困る。
辺境伯はハッキリ言って役に立たないし、理緒としても話がしたいとも思わないし、向こうだってそうだろう。そんな事情もあって、打開策が見つからなかった。
「リオ、あそぼ!」
それでもルイは、散々泣いたせいか翌日にはけろりとしていたため、それだけが幸いだった。元より母親と一緒にいる時間が少なかったから、あまり気にしていないのかもしれない。
それでも、自分のせいで母親の体調が悪くなると言われた事は心に残っているだろう。そう思うと理緒は、ルイの笑顔をそのまま受け取っていいのかと悩んだ。幼児も幼児なりに色々考えているという事は、妹弟達の世話をしている時に何度も思い知らされた。子どもだからと侮ってはいけないのだ。
(でも…)
数日考えたが、理緒は答えが見つからなかった。ルイに申し訳ないと思うが、理緒一人でどうにかなる問題ではないのも事実だった。マシューやネリーに相談すれば少しは状況がよくなるかもしれないが、ルイを母親と一緒に過ごさせる事は難しいだろう。そして、こうしている間もルイは成長しているのだ。
結局理緒は、ルイが笑顔でいられるように心を砕く事しか出来なかった。残してきた妹弟たちはどうしているだろうかとルイを見るたびに思うが、彼らには両親もいるし、二人は八歳と十歳でルイほど小さな子供ではない。いつかは元の世界に帰りたいが、今はその手段もわからないし、探す手立てもないが、生きていかなければいけない。となれば、それまでは目の前の事を精一杯やるしかないのだ。
ルイを母親と暮らせるようにすることを諦めた理緒は、まずマシューにルイに最初についていた乳母が戻ってこれないか聞いてみた。
マシューによると、ルイには生まれた時にはちゃんと乳母がいて、その乳母は一年ほどで辞めたという。それからは誰を付けてもルイが拒否したというが、それは最初の乳母がしっかりとルイの面倒を見て、愛情を注いでいたのではないか?と理緒は思ったのだ。だからルイは、その後に連れてこられた乳母候補を拒否したのではないか…と。
癇癪が酷く知恵遅れだと言われているルイだが、理緒が見る限りそんな事はなく、むしろ賢いのではないか?と思う事の方が多かった。ぶっちゃけ実の妹弟よりも賢いと思う。
ルイが最初の乳母の事を覚えているのなら、もう一度戻ってきてはくれないだろうか。夫が病気になり、その看病のために辞めたと聞いたが、あれから二年経って夫の病気も治っているかもしれない。今は母乳が必要な時期は過ぎているし、夜泣きするわけでもない。通いでもいいから、側にいて愛情を注いでくれないだろうか、と理緒は思ったのだ。
マシューに調べて貰ったところ、乳母は現在、理緒が住んでいた街の食堂兼宿屋で働いていた。半年前、ずっと療養していた夫が亡くなってしまい、三人の子供を抱えて大変らしい。上の子が既に十歳を超えているから、その子に子供達を託して働いているが、暮らしぶりは中々に厳しいという。
理緒はマシューに、戻ってきて貰う事は出来ないか、辺境伯に掛け合って貰えないかと聞いてみた。自分が言ったところであの偏屈男が、はいそうですかとこの提案を受け入れると思わなかったからだ。むしろ提案しようとした時点で一蹴されそうな気がする。それではダメなのだと言うと、マシューはそれならネリーを通して頼んでみようと言ってくれた。ネリーはこの屋敷の家令たちの采配をしているし、辺境伯も彼女には頭が上がらない。ルイのためだと言えば文句はないだろうと言ってくれたため、理緒はマシューにこの件を任せる事にした。
マシューがネリーにこの提案を相談したところ、彼女も理緒がそう言うのなら試してみる価値はあると、辺境伯に掛け合ってくれた。ネリーからは、乳母の夫が亡くなったと出入りの業者から聞いたのだが、三人の子供を抱えて暮らしぶりが大変らしい。乳母に選ばれるほどだから実の両親からも信頼されていたのだろうし、だったら戻ってきてもらってはどうかと話したのだ。
この話を聞いた辺境伯は少しためらっているようにも見えたが、彼自身が理緒を側に置くのには反対だったため、乳母が戻ってきてくれてルイの面倒を見てくれるのなら…と賛成した。
ネリーは更に、子供三人もまとめて住み込みで家令用の寮に引き取り、いずれはこの屋敷で雇ってはどうか。子供は十二歳と八歳、三歳だから、一番上は家令の仕事を覚え始めるのにいい歳だし、他の二人はルイの遊び相手にちょうどいいだろうと提案すると、身元の確認をして問題なければそれでいいとあっさり了承した。
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