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~豪華な屋敷の密室殺人~
第6節
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三階左奥の部屋に向かって歩いた。
「ここです。」
僕は、死人がいる部屋を指差した。
『ここですか…』
ウリエルさんは意味深げに呟いた。
『おい。こんな所あったか?』
アリッサは首を傾げながらそう言った。
『6年前に新設したのです。生物学者の富士 岬《とよし さき》通称、パラノイアなんて呼ばれてた奴の頼みで。400億使って増築しました。』
「400億!?」
僕は、思わず反応してしまった。
何故なら、その部屋は牢屋しかなく、端に方に犬が檻に入って怯えながらこちらを見ているだけの部屋だからである。
『どうした?想像以上の大金に驚いたか?私にとっては、かなり安い買い物だがな。』
人間じゃねぇ。特に価値観が。
「い、いえ。そうですね。ただ、冷静に考えると材料の移動費とか、職人の派遣料とか結構大変ですもんね。」
「いや、違うよ。ろーくん。材料はそこら辺にある木で外枠を作って、土の中にあるセメントで固めればなんてことないし、職人に至ってはこの島だから、ウリエルちゃんが呼べば誰でも来るよ。」
「え、じゃあますます分からなくなりました。」
『何、不思議なことじゃない。立地がよくなかった。』
アリッサは、知らないはずなのに、知っているように話した。
「立地ですか?そんなもの、職人とか材料費以前なもののような気がしますけど。」
『その通りだよ。まさしくその通りだ。増築する時点でその欠陥には気づくべきだった。でも気づかなかった。』
「その欠陥って」
『魔術。その概念がこの島を支配していること。これが、これだけお金をかかっている原因だ。』
「それってどういうことですか?」
『この島以外のものをここに搬入してしまうと自然の原理的に排斥されてしまう。免疫細胞と同じ働きを持つなにかが存在している。ということです。」
ドアに一番遠い距離にいる住み込みであろうメイドがそう言った。
『成る程。これはひどいですね。』
ウリエルさんは気づいたら扉を開け、死体を確認していた。
「そうなんです。内臓もほとんど無くて。」
『いえ、そこではありません。』
ウリエルさんは死体の腕をまくった。
『この毒はd-ツボクラリン。通称:クラーレといわれている毒ですね。神経毒で徐々に身体能力を奪っていく毒です。』
「d-ツボクラリンですか…」
原始的な毒だ。確か狩りで使われる毒だっけ。経口摂取しても排泄するだけなので被害がないから、その毒を弓矢に塗って獲物を仕留めるんだっけ?
って事は_
「あ、あの。」
『どうした青年。』
「もしその毒だった場合、相手を傷つけてからじゃないと効果がありません。」
『ほう。それで?』
「つまり、この毒を摂取させるには一度傷つけなければならなかった。つまり、どこかを切りこの毒薬を注入したか、腸を切り裂いてから注射したかのどっちかに為ります。」
『精神科医のくせにやるな。』
「医者は一通りの医学の勉強し無ければいけませんから。」
『それは、大変な職業だ。』
「自画自賛ですか?」
『それで?』
「毒殺に見せかけた惨殺の可能性も…」
『なきにしもあらずだな。』
ますます分からなくなるばかりである。
『ここで、みんなで推理をしても解決しなさそうなので、各自、自分の部屋に戻って考えますか。自由行動で。この島からは絶対に逃げられないので。
そして次の食事、となると朝食ですか。では、食べる時間は皆さんバラバラだと思うので、午前10時までには皆さん食べ終わってください。その後午前10:30からディベートをしましょう。』
「分かりました。」
僕のその言葉にここにいた全員がうなずいた。
『では、解散という事で…』
時間は、夜中の2:00を回っていた。
僕は、プリシラと同じ椅子に座って広い部屋の狭い空間でゲームをしていた。
「あーろーくんずるい。その裏経路はもう僕ちゃんにはないのにぃ~」
「いや、これ運だから。しかもこれ、対戦ゲームじゃなくて協力ゲームなんだけど…」
そんなことを話していると、扉からノックが聞こえた。
扉は独りでに開き、訪ねた人間を招き入れた。
『ノイローシステムZ423起動。h3より半起動修正。ファイル名SAK.ipxを反映。』
一番いらない素材がストレージを無視してカンストした。
『おはよう。プリシラ!!ろーさん。』
そこに立っていたのは、世界探偵 ノエであった。
おはようって…
「ここです。」
僕は、死人がいる部屋を指差した。
『ここですか…』
ウリエルさんは意味深げに呟いた。
『おい。こんな所あったか?』
アリッサは首を傾げながらそう言った。
『6年前に新設したのです。生物学者の富士 岬《とよし さき》通称、パラノイアなんて呼ばれてた奴の頼みで。400億使って増築しました。』
「400億!?」
僕は、思わず反応してしまった。
何故なら、その部屋は牢屋しかなく、端に方に犬が檻に入って怯えながらこちらを見ているだけの部屋だからである。
『どうした?想像以上の大金に驚いたか?私にとっては、かなり安い買い物だがな。』
人間じゃねぇ。特に価値観が。
「い、いえ。そうですね。ただ、冷静に考えると材料の移動費とか、職人の派遣料とか結構大変ですもんね。」
「いや、違うよ。ろーくん。材料はそこら辺にある木で外枠を作って、土の中にあるセメントで固めればなんてことないし、職人に至ってはこの島だから、ウリエルちゃんが呼べば誰でも来るよ。」
「え、じゃあますます分からなくなりました。」
『何、不思議なことじゃない。立地がよくなかった。』
アリッサは、知らないはずなのに、知っているように話した。
「立地ですか?そんなもの、職人とか材料費以前なもののような気がしますけど。」
『その通りだよ。まさしくその通りだ。増築する時点でその欠陥には気づくべきだった。でも気づかなかった。』
「その欠陥って」
『魔術。その概念がこの島を支配していること。これが、これだけお金をかかっている原因だ。』
「それってどういうことですか?」
『この島以外のものをここに搬入してしまうと自然の原理的に排斥されてしまう。免疫細胞と同じ働きを持つなにかが存在している。ということです。」
ドアに一番遠い距離にいる住み込みであろうメイドがそう言った。
『成る程。これはひどいですね。』
ウリエルさんは気づいたら扉を開け、死体を確認していた。
「そうなんです。内臓もほとんど無くて。」
『いえ、そこではありません。』
ウリエルさんは死体の腕をまくった。
『この毒はd-ツボクラリン。通称:クラーレといわれている毒ですね。神経毒で徐々に身体能力を奪っていく毒です。』
「d-ツボクラリンですか…」
原始的な毒だ。確か狩りで使われる毒だっけ。経口摂取しても排泄するだけなので被害がないから、その毒を弓矢に塗って獲物を仕留めるんだっけ?
って事は_
「あ、あの。」
『どうした青年。』
「もしその毒だった場合、相手を傷つけてからじゃないと効果がありません。」
『ほう。それで?』
「つまり、この毒を摂取させるには一度傷つけなければならなかった。つまり、どこかを切りこの毒薬を注入したか、腸を切り裂いてから注射したかのどっちかに為ります。」
『精神科医のくせにやるな。』
「医者は一通りの医学の勉強し無ければいけませんから。」
『それは、大変な職業だ。』
「自画自賛ですか?」
『それで?』
「毒殺に見せかけた惨殺の可能性も…」
『なきにしもあらずだな。』
ますます分からなくなるばかりである。
『ここで、みんなで推理をしても解決しなさそうなので、各自、自分の部屋に戻って考えますか。自由行動で。この島からは絶対に逃げられないので。
そして次の食事、となると朝食ですか。では、食べる時間は皆さんバラバラだと思うので、午前10時までには皆さん食べ終わってください。その後午前10:30からディベートをしましょう。』
「分かりました。」
僕のその言葉にここにいた全員がうなずいた。
『では、解散という事で…』
時間は、夜中の2:00を回っていた。
僕は、プリシラと同じ椅子に座って広い部屋の狭い空間でゲームをしていた。
「あーろーくんずるい。その裏経路はもう僕ちゃんにはないのにぃ~」
「いや、これ運だから。しかもこれ、対戦ゲームじゃなくて協力ゲームなんだけど…」
そんなことを話していると、扉からノックが聞こえた。
扉は独りでに開き、訪ねた人間を招き入れた。
『ノイローシステムZ423起動。h3より半起動修正。ファイル名SAK.ipxを反映。』
一番いらない素材がストレージを無視してカンストした。
『おはよう。プリシラ!!ろーさん。』
そこに立っていたのは、世界探偵 ノエであった。
おはようって…
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