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6、ゲームのスタート
48、仲良く学院生活を頑張ろうと思います
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「アッシュ・フィーリー君。よろしくね。さあ、次は君だ。ラーフルトン君」
「ネネツィカ・ラーフルトンですわ」
うんうん、と頷いてエイヴンがぺらりと紙を机に置き、ペンを執る。
「えーと、俺の認識ではフィーリー君は入学式の最中に私語をしていたね? それは、式の最中にしないといけないような大切な話だったのかな?」
見えるようにメモを取りながら問いかける声に、アッシュの眉がきゅっと寄った。
「いいえ、先生」
「おーけー、じゃあその点はフィーリー君のよくなかったところだね。次からは私語をつつしむって約束できるかな」
「はい」
すらすらと文字が綴られる。
エイヴンの橙色の眼がネネツィカを見た。
「ラーフルトン君は、羽虫を退治したんだって?」
ネネツィカの胸がどきっとした。
「そ、そうですわ」
「そう。俺は羽虫には気づかなかったけどフィーリー君、彼女の言う通りでいいかな? 何か反論はある?」
橙色の眼が少年に移る。
――エイヴンは、アタクシの味方というわけじゃないんですわ。
ネネツィカはこの時、そんな当たり前の感覚を覚えた。
「……」
アッシュがネネツィカとエイヴンを見比べて、束の間、もじもじとする。その主張しだいではネネツィカは責められてしまうのだろうか、暴力とウソとを問題にされるのだろうか?
(でも、もしそうなったらアタクシだって、私語の内容がとんでもない悪口だったって言ってやりますわ)
ネネツィカはぐっと唇を結んで沈黙に耐えた。
そして、アッシュはぽつりと呟いた。
「彼女の言う通りです、先生」
「――そっか。わかったよ」
エイヴンはにっこりとした。
「ラーフルトン君は、ちょっと力が強すぎたかな? 次からは……まわりの先生に先に知らせるとかも、いいかもね。虫が出たときってなかなかそんな余裕もないかもだけどさ」
「はい、先生」
最後に、二人は「ぼく・わたしは式の最中の私語をつつしみます。これから同学年の学生どうし、仲良く学院生活を頑張ろうと思います」と書かれた文字の下に署名をさせられた。
「仲良しってかんじだね」
エイヴンが二人分の名前が並んだ署名を見せて、へらりとした。
先生のはじめての指導から解放されたネネツィカは、むすーんとした顔で寮に向かっていた。ヘレナと色々な事を話そう、そう思いながら歩く背に、アッシュの声が届いた。
その言葉が自分に聞こえるように言ったのではないのだということが、ネネツィカにはわかった。偶然、風がその声を運んで、ネネツィカの耳が拾ってしまったのだ。
それは、とてもひそやかで、消え入りそうな声だった。
「いいよな、生まれつき権力がある家に生まれた貴族様は」
アッシュはキュアリアス寮へと向かうようだった。ネネツィカはその背中に声をかけようとして――「あっ、ごめーん!」ばしゃあっ! 突然、上から降ってきた水を浴びて全身ずぶ濡れになったのだった。
ぽたぽたと全身から水が滴り、風がひゅるりと涼気を感じさせてくれる。
「つ、次は――なんですの!」
わなわなと震えながら、この時ネネツィカはいつかの執事の言葉を思い出した。
『ですが、お嬢様。ヒロインやライバルのレンアイモードにハイヤクされてしまいますと、厄介な事件に巻き込まれやすくなってしまいます。おすすめできかねますが……』
――あの時、ティミオスは他にも何か言ってたのだわ。
なんだったかしら、とネネツィカはドキドキした。それは、サポートキャラになる前のティミオスが言っていた事なのだ。
(サポートキャラになる前のティミオス……そう、今のティミオスは、アタクシのティミオスじゃないわ)
どんなに同じ顔で、同じ声でも。
(主のアタクシには、違いがわかる……)
ネネツィカはこの時、はっきりとそう思った。
そして、心に誓うのだった。
(アタクシ、元のティミオスを取り戻すわ!!)
「ネネツィカ・ラーフルトンですわ」
うんうん、と頷いてエイヴンがぺらりと紙を机に置き、ペンを執る。
「えーと、俺の認識ではフィーリー君は入学式の最中に私語をしていたね? それは、式の最中にしないといけないような大切な話だったのかな?」
見えるようにメモを取りながら問いかける声に、アッシュの眉がきゅっと寄った。
「いいえ、先生」
「おーけー、じゃあその点はフィーリー君のよくなかったところだね。次からは私語をつつしむって約束できるかな」
「はい」
すらすらと文字が綴られる。
エイヴンの橙色の眼がネネツィカを見た。
「ラーフルトン君は、羽虫を退治したんだって?」
ネネツィカの胸がどきっとした。
「そ、そうですわ」
「そう。俺は羽虫には気づかなかったけどフィーリー君、彼女の言う通りでいいかな? 何か反論はある?」
橙色の眼が少年に移る。
――エイヴンは、アタクシの味方というわけじゃないんですわ。
ネネツィカはこの時、そんな当たり前の感覚を覚えた。
「……」
アッシュがネネツィカとエイヴンを見比べて、束の間、もじもじとする。その主張しだいではネネツィカは責められてしまうのだろうか、暴力とウソとを問題にされるのだろうか?
(でも、もしそうなったらアタクシだって、私語の内容がとんでもない悪口だったって言ってやりますわ)
ネネツィカはぐっと唇を結んで沈黙に耐えた。
そして、アッシュはぽつりと呟いた。
「彼女の言う通りです、先生」
「――そっか。わかったよ」
エイヴンはにっこりとした。
「ラーフルトン君は、ちょっと力が強すぎたかな? 次からは……まわりの先生に先に知らせるとかも、いいかもね。虫が出たときってなかなかそんな余裕もないかもだけどさ」
「はい、先生」
最後に、二人は「ぼく・わたしは式の最中の私語をつつしみます。これから同学年の学生どうし、仲良く学院生活を頑張ろうと思います」と書かれた文字の下に署名をさせられた。
「仲良しってかんじだね」
エイヴンが二人分の名前が並んだ署名を見せて、へらりとした。
先生のはじめての指導から解放されたネネツィカは、むすーんとした顔で寮に向かっていた。ヘレナと色々な事を話そう、そう思いながら歩く背に、アッシュの声が届いた。
その言葉が自分に聞こえるように言ったのではないのだということが、ネネツィカにはわかった。偶然、風がその声を運んで、ネネツィカの耳が拾ってしまったのだ。
それは、とてもひそやかで、消え入りそうな声だった。
「いいよな、生まれつき権力がある家に生まれた貴族様は」
アッシュはキュアリアス寮へと向かうようだった。ネネツィカはその背中に声をかけようとして――「あっ、ごめーん!」ばしゃあっ! 突然、上から降ってきた水を浴びて全身ずぶ濡れになったのだった。
ぽたぽたと全身から水が滴り、風がひゅるりと涼気を感じさせてくれる。
「つ、次は――なんですの!」
わなわなと震えながら、この時ネネツィカはいつかの執事の言葉を思い出した。
『ですが、お嬢様。ヒロインやライバルのレンアイモードにハイヤクされてしまいますと、厄介な事件に巻き込まれやすくなってしまいます。おすすめできかねますが……』
――あの時、ティミオスは他にも何か言ってたのだわ。
なんだったかしら、とネネツィカはドキドキした。それは、サポートキャラになる前のティミオスが言っていた事なのだ。
(サポートキャラになる前のティミオス……そう、今のティミオスは、アタクシのティミオスじゃないわ)
どんなに同じ顔で、同じ声でも。
(主のアタクシには、違いがわかる……)
ネネツィカはこの時、はっきりとそう思った。
そして、心に誓うのだった。
(アタクシ、元のティミオスを取り戻すわ!!)
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