幼馴染Vtuverがビジネスてぇてぇから本当のラブパートナーに発展した話

浅草ゆうひ

文字の大きさ
6 / 21
1、『雪柳 メイ』楓視点

6、FPS、フードデリバリーを頼みながら

しおりを挟む
「メイ、俺フードデリバリー頼んでいい? 腹減っててさ」
「ガク、それやってる最中に届くフラグじゃん! いいよ! じゃあボクも頼もうっと。どっちが先に届くか競争しよ」
「おけ!」
 俺たち二人がペアでプレイしているのは、多人数が同時に同じマップで活動して、チームを組んだ銃器じゅうき持ちキャラが一人称視点で一緒に生き残りをかけてバトルするバトルロイヤル、というジャンルだ。
 ペアで遊べるのと、野良VCボイスチャットでコミュニケーションが取れたりできるのもあって、出会い系みたいにもなってるゲームである。
 ユーザーや企業が主催するイベントがあったりもして、イベントに向けて練習したりする配信は結構多い。
 スポーツの部活みたいな、青春っぽい感じが味わえるし、ドラマが予期せず生まれたりもするから、配信向けなんだ。


   6、FPS、フードデリバリーを頼みながら

 マップは広々として、今回は高層ビルが並ぶ近未来都市って感じ。武器である銃や弾は現地調達なので、離れすぎないようにしながら俺たちは手分けして物資を漁った。

「ガク、スナイパーライフルあったよ」
「俺がもらっていいのか?」
「ん」
 自分は近距離用のピストルを装備しながら言えば、早速どこかに向けて撃っている。

 撃破のログは名前からしてファンのものだ――『ガクメイてぇてぇ』って名前つけてるや。

「配信の設定が遅延なしだから、つつ抜けだよねー、何もしなくても敵が寄ってくるね。こういうのも普通に遊ぶのと違って面白いよ、あはは」
 遅延設定をすると、視聴者に映像が届くまでに時間差をつくれる。
 配信者がオンラインゲームをすると『視聴しながらの付きまとい』とかができるから、それ対策に遅延設定をすることが多いんだ。

 言ってる間に投げ物が落ちてきて自分のキャラアバターがダメージを受ける。
「狙われてるぅ」 
 ――ガクのマイクからは、インターフォンの音が聞こえるけど?
「置いてって~。あれ? なんか困ってる? 俺、見てくるわ」
「ガクー、そこで放置すると死ぬぅ……あっ、こっちも来たかも」
 こっちは、頼んだ通り置いて行って配達完了にしてくれたみたいだ。
「こっちも取りに行きたい! 食べたい!」
 物影にキャラアバターを隠さないと――操作するより先に銃で撃たれて、体力ゲージが削りきられる。

 
 ――……、
 
「ボクね、死んだぁ」
「俺もぉ」
 倒した相手のキャラアバターが寄ってきて、お供物みたいにいらないアイテムを捨ててエモーションをしている。
 配信のコメントを見ると、常連のファンだった。

『倒しちゃいました』
「やられたァ!」
 
 笑って言えば、ワイワイとコメントが流れて同じマップにいたファンが寄ってきて――ファン同士でお祭りみたいにぴょんぴょんしたり撃ち合ったりしている。
 撃破ログに『メイガクてぇてぇがガクメイてぇてぇを倒しました』なんて出ている。
 これは――受け攻めを巡る争いっ? 面白いね!

「と、忘れてた。ごはん取ってくるねー」
 配達されたファーストフードを取ってつまめば、ガクも食事を取っている気配がする。

「あんまり一般のプレイヤーに迷惑かけてもアレだし、次のマッチ行くかぁ」
 ガクがそう言って、その試合から抜けていく。チャットアプリで遅延設定を提案しながら。
「そうだね、次行こうかな」

 ゲームが続く。
 だいたい最後は死んでいるけど。
 
「そろそろ終わるかぁ」
 床にキャラアバターが倒れて、撃破された状態で言葉を交わす。

「そのうち勝ちたいね……」
「つ、次は勝てる」
「じゃ、もう一回やるぅ?」
「……そろそろ終わるかぁ」

 のんびりとゲームを終えて配信終わりの挨拶をすると、ゲーム中にあまり見れなかったコメントのログをざっと眺める。
 途中、少しコメントしてるファン同士がめたみたいだった――こういうゲームだと荒れやすい、というのは知っていたので、俺はあまり深刻に捉え過ぎないようにしつつ「ボクは楽しかったよ! 見てくれた人ありがとう」とニコニコした。

「あんまり手際てぎわが良くなかったところとかは、次から気をつけるね」
 そぉっと付け足して終われば、常連の視聴者たちは励ましてくれる感じのあったか~なコメントを残してくれた。

 ――俺のコミュニティは、雰囲気がいいなぁ。この人たちに喜んでもらえるように、もっと頑張ろ!

 俺はほんわかしながらガクに『配信お疲れ様!』とメッセージを送って、その日の活動を終わった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今日も、俺の彼氏がかっこいい。

春音優月
BL
中野良典《なかのよしのり》は、可もなく不可もない、どこにでもいる普通の男子高校生。特技もないし、部活もやってないし、夢中になれるものも特にない。 そんな自分と退屈な日常を変えたくて、良典はカースト上位で学年で一番の美人に告白することを決意する。 しかし、良典は告白する相手を間違えてしまい、これまたカースト上位でクラスの人気者のさわやかイケメンに告白してしまう。 あっさりフラれるかと思いきや、告白をOKされてしまって……。良典も今さら間違えて告白したとは言い出しづらくなり、そのまま付き合うことに。 どうやって別れようか悩んでいた良典だけど、彼氏(?)の圧倒的顔の良さとさわやかさと性格の良さにきゅんとする毎日。男同士だけど、楽しいし幸せだしあいつのこと大好きだし、まあいっか……なちょろくてゆるい感じで付き合っているうちに、どんどん相手のことが大好きになっていく。 間違いから始まった二人のほのぼの平和な胸キュンお付き合いライフ。 2021.07.15〜2021.07.16

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら

夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。 テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。 Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。 執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

「短冊に秘めた願い事」

星井 悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。 落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。  ……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。   残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。 なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。 あれ? デート中じゃないの?  高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡ 本編は4ページで完結。 その後、おまけの番外編があります♡

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

処理中です...