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そして大人になる
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15歳の誕生日の祝いは質素を心掛けるアイラムの指示で金持ちの息子の誕生日パーティー程度の域で執り行われた。 「ローア。お前はちょっと離れてて」「またリストを作るのでしょう?知ってますから離れても意味はございません」 アイラムは苦々しい顔をして嫌がる素振りを見せる。 やはり歳上が良いらしいものの、少し上程度の女の名前も書いているので少しは眼鏡に適うというか、ようやく他の趣向もできたかと成長を見せるアイラムにローアは子供の成長を見ている気分になった。 ソウカンに渡して調査が入り、結果報告は今回は3人だけでなくミエノも参加した。 女性の視点も欲しく、一切の遠慮も無しに物を言える唯一の女性だった。 最近は交流もあって、ミエノも国王として扱うが、義理の息子だったという事もあってアイラムには遠慮しない。 前まで継母だったミエノ、そしてローアもいるのでアイラムは異議を申し立てた。 「俺この中で聞くのか?味方は?母だったミエノとローアの前で?此処執務室だから他の者もいるんだぞ?」「陛下。アイミエと書いてあるメモが妃候補ですかな?」「ソウカン鋭い。ちなみに名前の横に丸が付いてるのはこっちはいつでも娶る。3角は来年まで保留」「やはりそうでしたか。まあ、婚約者がいたり結婚済でほぼ全滅でしたが」「陛下。何故そうも人の物を欲しがるのです!?」「たまたまだ!偶然だ!」「では、アイラムと書いたメモは?」「一応、伽の相手も見繕ってみた。お前達うるさいからな」「伽の相手?陛下、まだ女を知らないのですか?」「その通り!」 ミエノは信じられないという顔でアイラムを見た。 「そんな顔で見ないでくれ。お願い」「王族なのに15歳でまだ初心とは…」「そういう事言うのやめてください」「ま、前回と殆ど同じ女ばかりですな。新しい名前の者も未亡人ではありませんし、全滅です」 アイラム以外は肩を落とした。 「本当にこのままでは妃との初夜は目付けと教育係が必要になりますな」「陛下。私は軍人一筋なので思うんですが、そんなものは地獄だと思いますぞ」「陛下。女ではあるまいに、恥ずかしいやら初めは好きな人じゃないと。みたいな事はオヤメください」「違うよ!?タイプと言えばタイプだけど!」「どういう女達なのです?」 そう聞くとソウカンとロイアードが揃って「ローア」と答えた。 「ローア侍従長はまだ幼い時から一緒でしょうからお互い伽は嫌でしょう。もう湯浴み女で教わってから侍従長と似た女を迎えればよろしいではございませんか」「我等3人はそれを画策して給料を返上させられました」「生温い!無理矢理でも教えれば良いのですよ。陛下、もし初心で妃と初夜を迎えたら…」 皆固唾を飲んで次の言葉を待つ。 「ローア侍従長と私が教育係として初夜の最中に教えしながらになりますよ」「嫌だ!それだけは嫌だ!!!」 アイラムは酷く拒否反応を起こし、3人は自分だったらと想像してしまい、同情した。 「一国民として国王陛下が初心というのは醜聞としか思えません」 ミエノが追撃した。 「陛下。悪い事は申しません。そうなさるが懸命です」「母だった者、姉の様な者の前で教えながら見られるのは避けるべきかと考えます」「陛下、想像してください。身体が反応すると思いますか?最悪は使い物にならなくなりますぞ!」 男3人はアイラムに詰め寄る。 アイラムは両手で顔を隠して下を向く。 「どこをどうすれば喜ぶか、どう動くか、ちゃんと果てたか。2人で最後まで見届けるまでは部屋から下がりませんよ」 執務室にいる男達は皆アイラムに同情し、湯浴み女で済ませる案に賛成する。 話しに関係ないのにも関わらず、手を止めてアイラムを囲い、口々に説得する。 「世話をされるのが嫌なら、自分から頼むという手もございます」「もういい…湯浴み女でいい…」 小声で半ば消極的に妥協するアイラム。 「国王陛下ならはっきりと申しくださいませ。連れてきて自分でお頼みしますか?」「いいえ。ぜひ湯浴み女で済ます案を採用させてもらいます」「さすが我等が陛下。潔くて男らしゅうございます」 「元王族で義理とはいえ母だった者は一切遠慮がないな」と皆が思った。 宮内庁長官、ソウカン宰相、ロイアード元帥はミエノの脅迫に似た行いに顔を引き攣らせながらもミエノを巻き込んだ事は間違いでは無かったと思うと同時に、これから駄々を捏ねたらミエノを使う事に決めた。 執務室では万歳三唱が起き、ミエノは満足顔であり、ローアは冷めた目で男達を見ていた。 王宮内にすぐさまこの報が駆け巡り、アイラムは男達からは祝いの言葉と激励、女達からはからかいの言葉を貰い、自室に籠った。 「最悪だ…亡命しようかな…」「私も初夜の最中の手解きと見届けなんて嫌でございます。ちゃんと湯浴み女に御指南してもらいなさいませ」「俺も嫌だ。ローア、誰にも会いたくないから夕食は運んでくださいお願いします後生です。もう風呂の時間まで誰にも会いたくない…」「はぁ…分かりました。取って参ります」 ローアも何故か周りから祝いの言葉を頂戴する始末で、目出度いのか目出度くないのか考えてしまう。 確かに、「今夜に何処で何をするのか知れ渡っているから部屋から出たくはないだろうと」と、アイラムの行動は納得できたのだが、周りの者もそっとしておかずに祝い、からかうのは親しみの印なのかもしれないとも思った。 ガチガチに緊張しているアイラムを送り出し、浴場から帰ってきたのは3時間も後で、疲れきった顔のアイラムはベッドに倒れ込んだ。 目覚めたのは昼頃であり、身体が気だるくて重い状態で仕事するのは辛く、からかわれ三昧の1日であった。 今年度の会計はアイラムとソウカン宰相は大喜びの結果となった。 大黒字と言える収入によって、兵器の更新や水害対策、貧困者の教育費一部負担も出来るまでになって各国の国債も購入し、国の資産を増やし、健全化を図る。 アイラムもある程度余裕が出来てきたのでインフラ設備の視察や高官の家族達との対話も行って友好を深めると、自然に女性の知り合いも多くなった。 女を覚えたものの、交わりは湯浴み女達と限定しているので誘う事も欲を感じる事は無く、ただ女友達として対話を楽しんだ。 王宮に訪れる同年代の女も増えている一方で、「将来は妃に」と売り込む親が出始めた。 売り込む者や、娘にアピールを強要する親までいる始末で、アイラムはその度に親を呼び出し「夫婦というのは私だけでなく、娘の気持ちもある。私を怒らせるな」と注意と警告を与えた。 娘も同意の上でのアピールなら真摯に対応したが、何せアイラムを異性として見る歳下や2、3歳上程度でアイラムとしては将来の候補程度しか見ていない。 この国の女に好まれる外見は高身長と筋肉質がほぼ必須であり、中性的なアイラムは歳上の女性からは異性と認識がされにくい為、相手となる湯浴み女の中でも異性として見ていない者もいる。 ある日、世界各国が目の敵にしているテログループにエルストロウ人の一家が現地で誘拐された。 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ソウカンは直ちに国民にアイラムの言葉を伝える。 国民も王の言葉に逆らう訳にもいかず、不満を抱えながらも元の生活に戻る。 ソウカン、ロイアードの両名は報復に一致し、部隊の追加派遣と、投下型核兵器の持ち込みに入った。 各国はエルストロウに対して自重と忍耐を求めるも、エルストロウは誰も聞く耳を持たない。 派遣された部隊も怒り狂い、司令はロイアードの許可の下に復讐に入った。 無差別な爆撃と砲撃、銃撃を繰り返し、少しでも抵抗した者は容赦なく殺す。 降伏したテロリストは順次エルストロウに送り、拷問と処刑の道を歩く。 「国民よ。誰がお前達に騒ぎを起こせと命じたのか?王である私は国の後押しをせよと命じた筈だ。これでは安心して養生する事は困難である。国民達よ。私の為に静かに暮らせ」 そう国内に姿と言を報道した事で不満や張り詰めた空気は解消された。 以前として完治はされないのだが、麻酔を打ち続けながらも様々な報告を受ける。 ロイアードを呼び出したアイラムは「核爆弾の投下時間と場所を発表し、その場所に通常の爆弾を落として慌てさせろ。それから相手は寝かさない様に夜間に攻撃と進軍を常としろ。昼間は他国に任せてしまえ。一応駐留している各国の軍には」そう命じた。 次にソウカンを呼び出し、「テログループにはいつでも核を使うし、捕虜への拷問と処刑は続々と続いてる事を相手に伝えろ。幹部や部隊長を拘束したら拷問と処刑の映像を送ってやれ」「かしこまりました」 アイラムは自分の右腕の喪失感に囚われた。 目は虚ろで、利き腕が無い違和感は常にある。 復讐心と残虐非道な思考が次々と現れる。 軍の偽核爆弾投下や、夜間の音響兵器の使用や攻撃はテログループと住民達を疲弊させる。 住民達は苛まれ、通常の判断が困難になり、続々と誰がテログループメンバーなのかを密告を始める。 メンバーの集まる場所の強襲や急襲、拘束、投降した者は他国に引き渡して部隊長クラスは予定通りにエルストロウに送る。 一般市民さえも対象にした睡眠の妨害や攻撃に他国は喧しく喚くものの、エルストロウは「我々は人権という物の概念は理解しているが、テロリスト達にそれは必要無いと考えているし、テロリスト達を匿った一般市民にはそれぐらいの罰は必要だと考えている。嫌なら密告し、街の中に潜むテロリストの一掃を手伝ってから安穏と暮らすが良い」と発表した。 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アラブ人は人権を主張するが、これはテロや暗殺防止だけ出なくアラブ人の護衛と政府が安全を保証する為でもある。 一家焼殺と狙撃事件によって国民からは敵意どころか殺意を出す国民もいて手には刃物や棒を携えて近寄る事もある。 余所の国へ移住を希望する個人や世帯には1億エルスを渡し、空港へ送り届けた。 エルストロウ王国ではアラブ人は殆どいないという様相になった。
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