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リリア・レイノ
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賢人「将軍。何で日本語なんですか?」
羊皮紙を指差して賢人は言った。
ダーデ「何を言ってる? それはトカーナ大陸共通のトカーナ語だ」
賢人「え? 僕の国の言葉と同じなんですけど」
ダーデ「……不思議だな。こんな偶然があるのか」
賢人「ちなみに銃はこう書くんだよ」
ダーデ「ほう。まあ、金属だからな。左は分かるが、右の充は何故その字が使われるんだ?」
賢人「え……さあ?」
ダーデ「何だ。分からんのか」
賢人「それどころか銃の撃ち方も分解方法も知りません」
ダーデ「おいおい……大丈夫なのか…」
賢人「日本は平和だから見た事もありません。……絵本みたいな物と動く絵本みたいな物とかで形は知ってますけど」
ダーデ「そうか。とにかくバラして構造を把握しろ。ではな」
そう言って部屋を退出した。
ダーデが逃げの一手に出たのは賢人にも理解出来た。
仕方なく引鉄に触らない様に触っていると、シリンダーをスライドさせる事に成功して弾は入ってない事が分かって安心した。
そして更に壊す気かと思われる程弄くり回し、分解は進んでいく。
ドアがノックされた。
賢人「開いてますよ?」
ドアが開くと、長身の金髪女が部屋に入ってきた。
「あなたが結城賢人ね。本当に黒髪なのね」
豊満な胸のローブ姿の女性にジロジロと全身を見られる賢人は少し警戒した。
「肌綺麗ね。着てる物は…丈夫そうで可愛らしい柄。にほんとかいう所から来たと聞いてるわ」
賢人「そうですけど、どなたですか?」
「リリア・レイノよ。女王陛下からあなたの補佐をしろと仰せつかったの。よろしくね」
賢人「ふーん。よろしくお願いします」
そう言い放って銃に視線を戻す。
リリアは隣に座ってそれを眺めた。
リリア「またえらく複雑なのね。じゅうってのは」
賢人「みたいですけど、これ拳銃だからまだマシだと思います。他のなんだっけ……アサルトライフルにサブマシンガンに狙撃銃に機関銃? だったらもっと部品とかも多いんじゃないかな」
リリア「そんなにあるの? 何が何だか分からないけど」
賢人「友達に聞いたらそんなにあるって言ってました。そう言えば、何でこれを魔法で作れないんですか?」
リリア「それはね、構造や仕組み、本体の金属の作り方や火薬の改良を出来ないからなの」
賢人「僕も知りませんよ?」
リリア「魔法は万能じゃないの。学者達が発表した新しい技術や研究結果が無いと作れないのよ。貴方は違うみたいだけど。恐らくじゅうという物を知らないのもあるだろうし」
賢人「んん?」
賢人には言ってる事が理解が及ばないが、新技術だからだろうと思っておく事にした。
賢人「でも、構造分かるだけで本当に疲れにくくなるんですか?」
リリア「なるわよ。何故そうなるかは分からなくても問題ない」
賢人には益々頭が疑問符が浮かぶ。
賢人「でも疲れるのがなあ……」
リリア「大丈夫だって言ったでしょう? それに魔法は使えば使う程疲れは抑えられるし品質も上がるわ」
そんな説明を受けていない賢人は寝耳に水だった。
それもその筈だ。
魔法を行使して眠ったのは当人であり、キュアノも説明の機会を逃したからだ。
リリアも賢人が魔法について無知である事を察して説明をした。
それからは賢人は解体の手を止めて耳を傾けた。
専門の魔法を使える貴族が実務の頂点となり、下に一般人がつく。
ローブ姿の者は貴族達が魔法を行使するのにあたって効果の増大や負担の分散の為に補佐する魔法しか使えない。
魔法はパズルの様な物で、完成形さえ分かっていれば使えるのだが0ピースのままでは熟練までには極めて時間が掛かり、疲労も多い。
逆に嵌ったピースが多ければ多い程、熟練までに時間はかからず、疲労も少ない。
製造するならどこからか材料を採取し、加工するから疲れやすい。
賢人は少しだけ経験値とレベル上げに似ていると感じた。
この世界は本当に夢なのか、何かしらのゲームの中なのか、異なる世界なのか分からなくなってきた。
リリア「理解した?」
賢人「お、大まかには……」
リリア「大まかには? あれだけ分かり易く説明したのに?」
賢人「あ、そう言えば銃は手入れしておかないと使えなくなったり爆発するんだったっけ? リリアさん手入れする道具ってどんなのがいる?」
リリアに馬鹿にされそうになって話題を逸らした。
リリアもそれに気付いているが逸れてやった。
リリア「んー? 小さいブラシとか、油……かな? どこまで手入れしなきゃいけないの?」
賢人「さあ? もう完全にバラして手入れすれば良いんじゃないですか?」
リリア「……とりあえず色んな大きさのブラシに油を作って」
手入れ道具を製造してから更なる困難が待ち受けている事に気付いた。
賢人「組み立て方分かんない……」
リリアはこの少年は残念な頭をしている事に項垂れた。
どうにか組み立てが完了し、リリアは息を吐く。
リリア「これあなたが造れても一般人はパーツさえ作れなさそうね。壊れたら廃棄して新しいの製造するしかないわ……」
賢人「ええ!? 面倒くさいなぁ!!」
リリア「この金属の製造技術や火薬の作り方とか教えてくれたらもしかすれば……」
賢人「無理。分かんない」
リリア「まあそうでしょうね」
鋼鉄の作り方や火薬の作り方なんて子供が知ってる方がおかしい。
ローブ姿の者達の中でも能力は高い。
キュアノに銃と弾の大量生産という国を左右するかも知れない重大な任務を仰せつかっているリリアは頭と胃が痛くなってきた。
現段階では銃を作れるだけの頭の弱い少年という存在のサポートは心も身体も疲れそうだった。
リリア「さ、製造していきましょう。弾は抜いて作って」
賢人「はい!」
良い返事をするのは好ましい。
賢人「ふんぬぉぉおぉお!!」
リリア「唸らなくても製造は可能なんだから静かに。力も出来るだけ抜いて」
賢人「ふんぬぉぉおぉお………」
リリア「黙れって言ってんの」
補助するにも気が散る。
六丁製造するとバテた賢人は机に突っ伏しながら喜んだ。
喜んだまでは良いが、リリアは満足していない顔をしている。
賢人「何…?」
リリア「この程度か……」
賢人「この程度って………最初は二丁だったんですよ?」
リリア「そう……」
リリアに負担を半分負ってもらって効果を増大してもらった結果が六丁である。
小さい武器だと思って高を括っていたが製造技術が高すぎるのか消耗が激しい。
リリア「次は弾ね。頑張ってこの籠の中に入れて」
賢人「……はい」
子供が弱らせてまで創らせるのは心が痛むが事態は国難の事だ。
励まし、応援しながら補助に務めた。
そして聞いていた通り、賢人が目を閉じた瞬間に消えた。
キィン…コロコロ……
最後の一発は籠から外れて落ちて転がった。
リリア「ハア……………」
かなり疲労が溜まった。
火薬技術も高いのか負担が大きい。
今すぐ身体を休ませたいがやる事がある。
転がった弾を拾い上げ、数えなければならない。
結果、190発の弾が手に入った。
数え終わってから部屋を退出して武器庫で装備の点検をしている軍の者に、銃と弾の事を伝えて部屋を出た。
そして次は報告だった。
疲れた身体をどうにか動かして報告する。
キュアノ「……それが現段階の精一杯か。少し厳しいな」
リリア「申し訳ありません」
キュアノ「良い。二度来たならまた訪れるだろう。下がって次に備えよ」
リリア「かしこまりました」
キュアノは8丁の銃では最前線での運用は叶わない事に苛立ちを覚えたが、賢人やリリアには腹立たなかった。
賢人はこの国の者ではなく子供で、リリアは有能だが補助でしか無い。
自分が期待しすぎただけであると分かっているのが苛立ちに良いスパイスとなって頭を興奮させた。
羊皮紙を指差して賢人は言った。
ダーデ「何を言ってる? それはトカーナ大陸共通のトカーナ語だ」
賢人「え? 僕の国の言葉と同じなんですけど」
ダーデ「……不思議だな。こんな偶然があるのか」
賢人「ちなみに銃はこう書くんだよ」
ダーデ「ほう。まあ、金属だからな。左は分かるが、右の充は何故その字が使われるんだ?」
賢人「え……さあ?」
ダーデ「何だ。分からんのか」
賢人「それどころか銃の撃ち方も分解方法も知りません」
ダーデ「おいおい……大丈夫なのか…」
賢人「日本は平和だから見た事もありません。……絵本みたいな物と動く絵本みたいな物とかで形は知ってますけど」
ダーデ「そうか。とにかくバラして構造を把握しろ。ではな」
そう言って部屋を退出した。
ダーデが逃げの一手に出たのは賢人にも理解出来た。
仕方なく引鉄に触らない様に触っていると、シリンダーをスライドさせる事に成功して弾は入ってない事が分かって安心した。
そして更に壊す気かと思われる程弄くり回し、分解は進んでいく。
ドアがノックされた。
賢人「開いてますよ?」
ドアが開くと、長身の金髪女が部屋に入ってきた。
「あなたが結城賢人ね。本当に黒髪なのね」
豊満な胸のローブ姿の女性にジロジロと全身を見られる賢人は少し警戒した。
「肌綺麗ね。着てる物は…丈夫そうで可愛らしい柄。にほんとかいう所から来たと聞いてるわ」
賢人「そうですけど、どなたですか?」
「リリア・レイノよ。女王陛下からあなたの補佐をしろと仰せつかったの。よろしくね」
賢人「ふーん。よろしくお願いします」
そう言い放って銃に視線を戻す。
リリアは隣に座ってそれを眺めた。
リリア「またえらく複雑なのね。じゅうってのは」
賢人「みたいですけど、これ拳銃だからまだマシだと思います。他のなんだっけ……アサルトライフルにサブマシンガンに狙撃銃に機関銃? だったらもっと部品とかも多いんじゃないかな」
リリア「そんなにあるの? 何が何だか分からないけど」
賢人「友達に聞いたらそんなにあるって言ってました。そう言えば、何でこれを魔法で作れないんですか?」
リリア「それはね、構造や仕組み、本体の金属の作り方や火薬の改良を出来ないからなの」
賢人「僕も知りませんよ?」
リリア「魔法は万能じゃないの。学者達が発表した新しい技術や研究結果が無いと作れないのよ。貴方は違うみたいだけど。恐らくじゅうという物を知らないのもあるだろうし」
賢人「んん?」
賢人には言ってる事が理解が及ばないが、新技術だからだろうと思っておく事にした。
賢人「でも、構造分かるだけで本当に疲れにくくなるんですか?」
リリア「なるわよ。何故そうなるかは分からなくても問題ない」
賢人には益々頭が疑問符が浮かぶ。
賢人「でも疲れるのがなあ……」
リリア「大丈夫だって言ったでしょう? それに魔法は使えば使う程疲れは抑えられるし品質も上がるわ」
そんな説明を受けていない賢人は寝耳に水だった。
それもその筈だ。
魔法を行使して眠ったのは当人であり、キュアノも説明の機会を逃したからだ。
リリアも賢人が魔法について無知である事を察して説明をした。
それからは賢人は解体の手を止めて耳を傾けた。
専門の魔法を使える貴族が実務の頂点となり、下に一般人がつく。
ローブ姿の者は貴族達が魔法を行使するのにあたって効果の増大や負担の分散の為に補佐する魔法しか使えない。
魔法はパズルの様な物で、完成形さえ分かっていれば使えるのだが0ピースのままでは熟練までには極めて時間が掛かり、疲労も多い。
逆に嵌ったピースが多ければ多い程、熟練までに時間はかからず、疲労も少ない。
製造するならどこからか材料を採取し、加工するから疲れやすい。
賢人は少しだけ経験値とレベル上げに似ていると感じた。
この世界は本当に夢なのか、何かしらのゲームの中なのか、異なる世界なのか分からなくなってきた。
リリア「理解した?」
賢人「お、大まかには……」
リリア「大まかには? あれだけ分かり易く説明したのに?」
賢人「あ、そう言えば銃は手入れしておかないと使えなくなったり爆発するんだったっけ? リリアさん手入れする道具ってどんなのがいる?」
リリアに馬鹿にされそうになって話題を逸らした。
リリアもそれに気付いているが逸れてやった。
リリア「んー? 小さいブラシとか、油……かな? どこまで手入れしなきゃいけないの?」
賢人「さあ? もう完全にバラして手入れすれば良いんじゃないですか?」
リリア「……とりあえず色んな大きさのブラシに油を作って」
手入れ道具を製造してから更なる困難が待ち受けている事に気付いた。
賢人「組み立て方分かんない……」
リリアはこの少年は残念な頭をしている事に項垂れた。
どうにか組み立てが完了し、リリアは息を吐く。
リリア「これあなたが造れても一般人はパーツさえ作れなさそうね。壊れたら廃棄して新しいの製造するしかないわ……」
賢人「ええ!? 面倒くさいなぁ!!」
リリア「この金属の製造技術や火薬の作り方とか教えてくれたらもしかすれば……」
賢人「無理。分かんない」
リリア「まあそうでしょうね」
鋼鉄の作り方や火薬の作り方なんて子供が知ってる方がおかしい。
ローブ姿の者達の中でも能力は高い。
キュアノに銃と弾の大量生産という国を左右するかも知れない重大な任務を仰せつかっているリリアは頭と胃が痛くなってきた。
現段階では銃を作れるだけの頭の弱い少年という存在のサポートは心も身体も疲れそうだった。
リリア「さ、製造していきましょう。弾は抜いて作って」
賢人「はい!」
良い返事をするのは好ましい。
賢人「ふんぬぉぉおぉお!!」
リリア「唸らなくても製造は可能なんだから静かに。力も出来るだけ抜いて」
賢人「ふんぬぉぉおぉお………」
リリア「黙れって言ってんの」
補助するにも気が散る。
六丁製造するとバテた賢人は机に突っ伏しながら喜んだ。
喜んだまでは良いが、リリアは満足していない顔をしている。
賢人「何…?」
リリア「この程度か……」
賢人「この程度って………最初は二丁だったんですよ?」
リリア「そう……」
リリアに負担を半分負ってもらって効果を増大してもらった結果が六丁である。
小さい武器だと思って高を括っていたが製造技術が高すぎるのか消耗が激しい。
リリア「次は弾ね。頑張ってこの籠の中に入れて」
賢人「……はい」
子供が弱らせてまで創らせるのは心が痛むが事態は国難の事だ。
励まし、応援しながら補助に務めた。
そして聞いていた通り、賢人が目を閉じた瞬間に消えた。
キィン…コロコロ……
最後の一発は籠から外れて落ちて転がった。
リリア「ハア……………」
かなり疲労が溜まった。
火薬技術も高いのか負担が大きい。
今すぐ身体を休ませたいがやる事がある。
転がった弾を拾い上げ、数えなければならない。
結果、190発の弾が手に入った。
数え終わってから部屋を退出して武器庫で装備の点検をしている軍の者に、銃と弾の事を伝えて部屋を出た。
そして次は報告だった。
疲れた身体をどうにか動かして報告する。
キュアノ「……それが現段階の精一杯か。少し厳しいな」
リリア「申し訳ありません」
キュアノ「良い。二度来たならまた訪れるだろう。下がって次に備えよ」
リリア「かしこまりました」
キュアノは8丁の銃では最前線での運用は叶わない事に苛立ちを覚えたが、賢人やリリアには腹立たなかった。
賢人はこの国の者ではなく子供で、リリアは有能だが補助でしか無い。
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