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一歩
しおりを挟む賢人「攻めてくる魔物って血とか流れるんですか?」
リリア「流れるらしいわよ。痛がりもするし傷ついた箇所によっては怯むとか」
賢人「ふーん。動物っぽいところはあるんですね」
リリア「食べなくても死なないけどね」
賢人「凄え! ペットとして欲しい!」
リリア「懐かないわよ」
賢人は残念に思いながらも六丁目の銃を仕上げた。
来て早速に細部まで分解させられて憶えられなかった箇所を記憶する。
細部まで記憶出来たおかげで二丁は創造出来る体力が残っている。
リリア「あと一丁造って。残りは弾にしましょう」
創造したものの、昨日より多く造ったにもかかわらず体力が残っている。
部品や構造を理解すると楽になるというのは真実らしく、喜べる結果となった。
リリア「でも、銃が増えると弾も増やさないといけないのよね……」
賢人「でも弾はあんまり疲れないよ?」
リリア「銃が増えるなら必要な弾も増えるのよ?」
賢人「あ……」
この子の将来は大丈夫なのかと心配になる。
賢人「それで行くと……連射出来る様な銃はもっと駄目だなあ」
リリア「そんな銃があるの?」
賢人「あるみたいだよ。友達が言ってたけど」
連射出来る銃を作るとなると、構造も複雑になる為に製造は今の比ではないほど難しくなるだろうとリリアは見解を持った。
それに、弾の必要量も段違いに増えるだろう。
リリア「どっちにしろ今の……コンバットマグナムとか言うのを大量に造ってからね」
ーガチャー
ダーデ「どうだ? 順調か?」
ダーデが入室すると、リリアは立ち上がった。
ダーデ「構わん。座って休んでいろ」
リリア「は、はい」
ダーデ「お、今日七つか」
賢人「うん。後は弾造る」
リリア「こら、賢人!」
リリアは賢人の言葉遣いを窘めた。
ダーデ「構わんぞ。そもそも賢人はロンギアルの民でもない協力者だ。我等に敬意を払う必要も無いのだ」
リリア「は、はぁ……」
賢人「将軍。本当にこんな銃で魔物に効くの?」
ダーデ「効くぞ。何せ当てられるだろうからな。ただ、弾込めに時間が掛かるのがな瑕だな」
賢人「……一気に弾入れる物があったな」
ダーデ「何!? 造ってくれ!!」
賢人「帰ってどんなだったか調べとく」
ダーデは興奮しながらブツブツと独り言を言い始めた。
賢人「リリアさん。修理とかするのってどうにかならないの?」
リリア「うーん……修理しなければならない箇所さえ分かってて、元の状態を知ってるなら可能……なのかもね。あんたなら」
修理が可能でも俺がやらなければならないのかと肩を落とした。
賢人「あー疲れた……風呂入りたい」
リリア「風呂ねえ。頑張ればご褒美に入らせてくれるかもね」
賢人「え? 何で風呂がご褒美なの?」
リリアは何を言ってるんだという顔をして見つめるのだが、賢人には理由が分からない。
リリア「あんたにほんでは毎日お風呂入ってるの?」
賢人「入ってる。入らないと怒られるし」
ダーデ「ん? お前金持ちの子なのか?」
賢人「そうでもないよ?」
リリアとダーデは賢人には虚言癖でもあるのかと疑った。
リリア「井戸から水を取ってきて薪で温めるんでしょ?」
賢人は文明の差がある為にそんな方法なのだと理解した。
賢人「ごめん。説明出来そうにない。でもみんなお風呂に入れるよ」
ダーデ「水じゃないのか?」
賢人「お湯だよ。温かさも自由自在」
益々分からなくなった二人は、にほんという国はロンギアル以上に魔法技術も発展した国という想像になった。
そんな国の子だから賢人も魔法を使えると思えば、自然と魔法を行使出来る理由も納得がいく。
ダーデ「にほんという国にはなにかあるのだ?」
賢人「この国を見てないしどう説明すれば良いか分かんないな……当たり前すぎて」
そもそもこっちの生活や文明レベルや科学技術、食べ物に至るまで分からないし、日本での生活についても説明は難しい。
大抵は電気で物は作動する。
では、電気とは何か? 何故電気で作動するのかと聞かれても賢人は理解していない。
現代日本は馬鹿な小学生が説明出来る事は何一つ無いのだ。
馬鹿な癖に、何か言ったら説明を求められると勘が働いた賢人は黙っておくのが最善の手だと考えた。
リリアとダーデは賢人が怪しく思えてきた。
暮らしや生活、国の事を話さない事が難しいとでも言うのか。
賢人「詳しい説明を求めないなら話しても良いけど」
ダーデ「……話してみろ」
嫌々ながら生活や暮らしの事を話す賢人。
二人は驚いたり不思議そうに思った顔をしたり、怪しんだり感心したりと様々だ。
二人は作り話にしては事細かいと思ったと同時に、にわかには信じる事が出来ない。
そして、見てみたいと思った。
ダーデ「実はな、記憶を人に見せるという魔法もあるんだ。キュアノ陛下には伝えておくから、見せてくれないか?」
賢人「良いけど……製造はどうするの?」
ダーデ「それも含めてキュアノ陛下に相談する。良いな?」
賢人「良いよ? でも説明は無理」
ダーデ「決まりだな! 今日はいつもの様に製造を続けてくれ!」
楽しそうにそう言ってダーデは豪快にドアを閉めて退出した。
リリアはこの少年が心配になった。
記憶を映像化するのは尋問官が使う魔法で、尋問されている内容の記憶を頭に思い浮かべないと頭痛が起きる。
その痛みは大の大人が転げ回る程だ。
キュアノが配慮してくれれば良いのだが。
それから2回目の来訪で、その時が来た。
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