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第2話 抱えきれぬ想い

秘密 Episode:05

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 どうしていいか分からず、それでも泣くのだけはやめようと必死に涙をぬぐっていると、イマドが苦笑しながら話しだした。

「先輩、こいつここ来る前、けっこーいろいろヤバかったんですよ。
 んでその反動で、すぐ泣いちまって」

「ありゃ、そうだったんだ」

 この程度の説明なのに、意外なくらいあっさりと先輩が納得する。

「学院来てほっとして、そうなる子けっこういるもんね。
 ――ルーフェイアも大変だったねぇ、でもここならもう、だいじょぶだからさ」

 言いながら先輩、あたしの頭を小さい子みたいに、がしがしと撫でた。

「まぁコイツの場合、最初っからそうとう泣き虫ですけどね」
「イマド、ひどい……」

 何もそんなこと、ここで大きな声で言わなくたっていいのに。
 先輩なんてそれ聞いて、また笑い転げてる。

「俺さ、ヴィオレイ。名前なんての? もうクラス決まったんだ?」
「おい、なに抜け駆けしてんだ!」

 こっちはこっちでお構いなしだ。
 でも……なんだかちょっと、楽しい。

「ほらキミたち、ルーフェイアおどかさない。
 あとこの子のクラス、まだ決まってないよ。いまクラス分けのテスト、受けてるとこだから。
 ――Aクラスだと思うけどね」

 なぜか自信たっぷりに、ロア先輩が言う。

「そうそう、それでこれから、この子連れて訓練でもしようかと思ってたんだよね。
 だから、キミたちも来なさい」

「え、マジっすか?」

 さすがにこれにはびっくりしたみたいで、イマドたち三人が目をぱちくりさせる。

「大マジだよ。てかね、キミたちだってこの子、同じクラスのほうがいいんでしょ?
 なら、協力してあたりまえだし」

 反対意見はすべて却下、そんな威圧感で先輩が言い放った。

「おれ、欲しい限定販売あったのに……今日発売なんだぜ……」
「そこ黙る!」

 見ているだけで楽しいやりとり。
 いつの間にか泣くのをやめて、笑っている自分に気づく。
 あたしが夢見ていた世界が、いま目の前にあった。

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