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第3話 葛藤

誤解 Episode:02

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「イマド、お前どうだった?」

 悪友どもが寄ってくる。

「1問落とした」
「マジ? つかそれ、ヤベぇんじゃん?」

 こいつら、俺の答案奪ってくし。

「うわ、これ惜しすぎってやつ?」
「惜しくたって間違いだって。つか、返せ」

 いくら俺でも、また答案破られたくない。

「細かいコト気にするなって。
 にしてもルーフェイア、めっちゃデキるよな。さすがのお前も、首席アブないってか?」

「実技と併せたら、あいつ相手じゃ最初っから取れねぇって」

 実技のテストは学期の最後だけだから、こいつらルーフェイアの実力はまだ知らない。
 けどルアノンでの火事騒ぎだのなんだの見たら、ぜったいおんなじこと思うだろうし。

「ルーちゃんって、そんなすごいのか……」
「オマエが最初っから諦めるとか、ハンパねーな」

 教室の後ろのほうを見っと、当のルーフェイアはひとりで、けどけっこう楽しそうだ。
 もっともアイツのことだから、満点――配られたコピー見りゃ一目瞭然――が楽しいとかじゃなくて、学院生活自体がおもしれぇんだろう。

 と、気配を感じたらしくて、こっちへ振り向いた。
 視線が合う。
 ちょっと首をかしげたルーフェイアに軽く手を振ってみせると、嬉しそうにこっちへ来た。

「ルーちゃん、満点すごいね! おめでとう!」
「え? あ、ありがとう……」

 ヴィオレイのヤツ、すっかりルーフェイアの太鼓持ちだ。

「でも、どうして……知ってるの?」

 コイツの天然ボケも、治る気配ねーし。

「おまえなぁ、たったいま自分の答案配られたってのに、もう忘れたのか?」
「あ! やだ、どうしよう……」

 今ごろ困るなと。

「だいじょうぶだいじょうぶ、満点なんだから問題ないよ」
「そう……なの?」

 なんか丸め込まれてやがるし。

「そうそう、こいつみたいに点が悪いとかじゃないから、ぜんぜん平気だよ」
「どーせオレは頭ワルいよ、悪かったな!」

 アーマルのヤツがヘソ曲げて、その隣でなぜかルーフェイアが脈絡もなく謝りはじめて。
 どーしようもねぇほど、いつものしょうもないやり取り。

 けどそのとき、なんか視線を感じた。
 不思議に思って、さりげなく辺りを見まわす。

 ――なんだ?

 女子どもが、敵意むき出しの瞳で、こっち見てやがる。
 視線の先は……ルーフェイアだ。

 こいつが満点取ったから、反感でも買っちまったのか。
 それともほかの理由か。
 イマイチよく分かんねぇけど、なんかヤな感じがした。

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