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第3話 葛藤

誤解 Episode:03

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◇Nattiess

 答案用紙返してもらって、授業サボった教官が出てって、そのあと遊んでチャイムがなって。
 これで午前中はおしまい。
 シーモアとあたし、それにクラスのほかの女子、みんなで食堂に行く事に。

 しかも廊下へ出たら、いろいろいっしょにやる事が多いBクラスの女子と会って、なんだか大所帯になっちゃったり。
 みんなでわいわい、おしゃべりしながら歩いてく。

「ねぇ、シーモア、何点だったの?」
「94。ナティエス、あんたこそ何点だったのさ」

 あたしのいちばんの親友のシーモアって、けっこう美人。
 炎の色みたいな綺麗な赤毛を、肩くらいで切りそろえてるの。

 瞳ははっきりした翠。
 あたしなんてふつうのブラウンの髪と瞳だから、すっごくうらやましい。
 で、いつもちょっとぞんざいな喋り方する。
 でもそれがまた、カッコいいんだよね。

 けど今日は、いまいち不機嫌な感じ。
 理由ははっきりしてる。

 じつは夏休み中、うちのクラスに新入生が入った。
 でもこれ、すっごく珍しい話。
 だってここ、本校のAクラスなんだもの。

 本校ってば分校からの選抜組みばっかりだから、年度途中の入学とか、ふつうはゼッタイなし。
 次の春までどっかの分校にいて、試験受けて、それでやっと入れるとこ。
 もちろん、あたしたちもやったし。

 なのにあの子ったら、そういう常識ぜーんぶ無視して、年度途中でAクラス。
 ただルーフェイアっていう新入生、めちゃめちゃデキる子だったのもホント。
 あの首席のイマドと平気で学科で張り合ってるし、なんか技能なんてもっと上みたい。

 で、いままで次席だったシーモアったら、とうぜん首席争いから転落しちゃったわけで。
 けど、そーゆー理由で怒ってるの、責める気になんない。

 だってあのルーフェイアって子――性格良くないんだもの。
 さっきだってイマドたちと話してたし、今はいっしょに食堂へ行ったみたいだし。

 どうもあの子ったら自分が可愛いの承知してるみたいで、男子とばっかり仲良くしてて、すっごいヤな感じ。
 媚びてるみたい。

 そのくせあたしたちが話しかけても、黙ってばっかり。
 ちょっと付きあおうって気さえないの。

 しかも、どっかのお嬢さまだってウワサ。
 だから持ち物なんか、一流品ばっかり。
 ときどき実地訓練の時に持ち出してくる太刀なんて、あたしたしが見ても分かるくらいのモノだったりする。

 こっちはみんな親ナシとかで、そんなもの絶対手に入らないの、分かってるの?
 だから最初はみんなで気を使ってあげてたけど、最近はもうこっちから話しかけたりしなくなってる。

「あの子さ、なんで学院なんかに来たんだろうね?
 ここってどっかのお嬢さんが来るとこじゃ、ないじゃない?」

「そうだよね。
 そういうのなら、ちゃんと本土に専用の、お嬢さんMeSあるんだし」

 どう考えたって、シエラの本校ってドレス着て踊るとこじゃない。
 バトル教えるところだもの。
 そりゃ確かに彼女強いみたいだけど、でもバトル屋っていう雰囲気じゃないし。

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