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第3話 葛藤

真相 Episode:11

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 ルーフェイアが本校へ直接来たのも、事情が事情だし、別に成績も悪くないから、ってことなんだと思う。
 いろいろきちんとしたもの持ってるのは、お兄さんが何か財産みたいの、残してくれてたのかも。
 たまにそういう子いるし。

 必死に涙拭いてるルーフェイアの前に立って、シーモアが言った。

「ともかく、悪かったよ。あたしらの思い違いで、いろいろさ」

 潔いな、って思った。
 シーモアはけっこう性格キツいけど、悪いと思えばちゃんと謝るし、ふだんはだいたい公平。
 だから彼女のこと、あたし好きだった。

「許しちゃもらえないかもだけどさ、でも、ごめん」
「あたしもゴメンね。もうヘンなこと言わないから」

 ルーフェイアが顔を上げる。

「みんな、許して、くれるの……?」
『いやそれ反対』

 思わずそこにいたみんなが、突っ込みいれちゃったり。

「こっちが謝ってるのに、なんでそうなるかな、あんたは」
「そうだよねぇ、ルーフェイアが悪いこと、したわけじゃないし」
「ごめん……」

 また泣きそうになるルーフェイア。
 すっごいこの子、泣き虫かも。

「まぁまぁまぁまぁ、ここは穏便に、ね?」

 ミルが意味不明なこと言い出して。

「誰も争ってねーだろ」
「あ、そぉ?
 ともかくさ、ルーフェもナティもシーモアも、なかなおり!」

 強引にあたしたち三人の手を取って、重ねあわせる。

「よし、仲直りの握手おっけー! ぜんぶばっちり!」
「これ、握手かなぁ……?」
「細かいことは気にしちゃダメー」

 ミルのペースに引きずられて、あたしとシーモアとルーフェイア、互いに顔を見合わせてつい笑った。

「ま、いっか。ちょっとヘンな気もするけど、これ以上めんどうだし」

「だね。これで終わりにしとこう。
 なんかあったら、ミルの責任ってことでいいじゃないか」

「えー!」

 ブーイングあった気がするけど、それは無視して。

「ヤバいな、暗くなってきた。
 減点食らったらマズいし、そろそろ引き上げよう」

「そだね。ルーフェイア、一緒にいこ」
「――うん」

 あたしたち、みんなで歩き出した。



◇あとがき◇
 お読みくださり、ありがとうございます!
 第3話の「葛藤」はここで完結し、次からは新章になります
 なお次の第4話は閑話的な話なので、短めです
 今後もよろしくお願いします!

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