116 / 743
第5話 表と裏
遭遇 Episode:05
しおりを挟む
――ともかくここを離れないと。
シュマーの内部に入られでもしたら、大変なことになる。
急いで交信記録を消しながら、別の通信ポイントへと移る。
なんだかひとつ飛んだだけじゃ安心できなくて、二つ、三つと移動した。
けど。
――警告が消えない?!
その「誰か」は、あたしの後をぴったりとついてきていた。
まるで頭から、冷水をかけられたような気がする。
でも、どうにか逃げないといけない。相手が誰にせよ、捕まったら大変なことになる。
なるべく自分が知っているポイントを経由するようにしながら、必死で逃げ回った。
なのに、捲けない。
向こうのスピードが速すぎて、太刀打ちができない。
足跡を消さなければ逃げられるかもしれないけど、それをやってしまったら終わりだ。
逃げ道がないかと、ざっと通信網を見渡す。
幸いすぐ近くに、使われていないルートがあった。
ここを使えば、そう思って通ろうとして。
――しまった!
ブロックされてる。こっちの手を読まれて、先回りされてる。
逃げられない、そう思ったとき不意に、魔視鏡に伝言が現れた。
『意外にやりますね。楽しかったですよ。――では、またいずれ』
わざわざこんなふうに危険を侵してメッセージを送るなんて、よほど自信がある証拠だ。
急いでメッセージから逆探知しようとしたけど、当然そんなことをさせてくれる相手じゃなかった。やっと分かったのは、学内からアクセスしているってことだけ。
そして警告表示が消える。
思わず倒れそうになったけれど、どうにかこらえてきちんと、手順を踏んで交信を終えた。
身体が汗でびっしょりだ。
息が苦しい。
戦場で太刀を振り回している方が、よほど楽だ。
「ただいま、遅くなっちゃってさ~。あれ、ルーフェ?」
ロア先輩が戻ってきたけれど、立ち上がる気力もない。
「どしたの!」
「交信してて……誰かに、追いかけられて……」
やっとそれだけ言うと、すぐ先輩は事情を飲み込んでくれた。
「わかった。キミの端末どこ通ったか記録するようにしておいたから、あたしが足跡みてあげるよ。
――だから心配しないで?」
「はい……」
少し安心して、立ち上がる。
「ルーフェはもういいから、寝るんだよ? かなり顔色悪いから」
「……すみません」
ロア先輩が見てくれるのだからだいじょうぶ、そう自分を無理やり納得させて、あたしはベッドにもぐりこんだ。
シュマーの内部に入られでもしたら、大変なことになる。
急いで交信記録を消しながら、別の通信ポイントへと移る。
なんだかひとつ飛んだだけじゃ安心できなくて、二つ、三つと移動した。
けど。
――警告が消えない?!
その「誰か」は、あたしの後をぴったりとついてきていた。
まるで頭から、冷水をかけられたような気がする。
でも、どうにか逃げないといけない。相手が誰にせよ、捕まったら大変なことになる。
なるべく自分が知っているポイントを経由するようにしながら、必死で逃げ回った。
なのに、捲けない。
向こうのスピードが速すぎて、太刀打ちができない。
足跡を消さなければ逃げられるかもしれないけど、それをやってしまったら終わりだ。
逃げ道がないかと、ざっと通信網を見渡す。
幸いすぐ近くに、使われていないルートがあった。
ここを使えば、そう思って通ろうとして。
――しまった!
ブロックされてる。こっちの手を読まれて、先回りされてる。
逃げられない、そう思ったとき不意に、魔視鏡に伝言が現れた。
『意外にやりますね。楽しかったですよ。――では、またいずれ』
わざわざこんなふうに危険を侵してメッセージを送るなんて、よほど自信がある証拠だ。
急いでメッセージから逆探知しようとしたけど、当然そんなことをさせてくれる相手じゃなかった。やっと分かったのは、学内からアクセスしているってことだけ。
そして警告表示が消える。
思わず倒れそうになったけれど、どうにかこらえてきちんと、手順を踏んで交信を終えた。
身体が汗でびっしょりだ。
息が苦しい。
戦場で太刀を振り回している方が、よほど楽だ。
「ただいま、遅くなっちゃってさ~。あれ、ルーフェ?」
ロア先輩が戻ってきたけれど、立ち上がる気力もない。
「どしたの!」
「交信してて……誰かに、追いかけられて……」
やっとそれだけ言うと、すぐ先輩は事情を飲み込んでくれた。
「わかった。キミの端末どこ通ったか記録するようにしておいたから、あたしが足跡みてあげるよ。
――だから心配しないで?」
「はい……」
少し安心して、立ち上がる。
「ルーフェはもういいから、寝るんだよ? かなり顔色悪いから」
「……すみません」
ロア先輩が見てくれるのだからだいじょうぶ、そう自分を無理やり納得させて、あたしはベッドにもぐりこんだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる