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第6話 立ち上がる意思

海原 Episode:04

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◇Rufeir

 イマドが料理するなんて、知らなかった。

 ――ちょっと尊敬。

 あたしってそういうのは、ぜんぜん駄目だ。
 ちなみになにがどうなったのか、お昼はあたしたちとイマドの友達とで、なんか7人もの大所帯になってる。

 しかもなんと言うか、生存競争が激しい。

「お前ら、ちっと遠慮しろっての! おい、ルーフェイア、しっかり確保しないと食うもんなくなるぞ!」
「あ、うん」

 でも毎日の昼休みの食堂での騒ぎといい、この今の凄さといい――シエラってなんか違うとこで、バトル厳しいような?

「ほら、これおいしいよ~♪」

 まるで自分が作ったみたいな調子で、ミルがあたしに勧めた。
 たしかにイマドの作ったサンドイッチって、凝ってる。でも、中身が分からない。

「これ……なにがはさんであるの?」

 お肉と野菜――だとは思うんだけど。

「なにってルーフェ、それどう見ても、トマトとサニーレタスとローストビーフでしょ?」
「ローストビーフ? でもナティエス、このお肉……ローストって言うのに、中が生みたいだし……」

 戦場じゃ生は食べないのは、鉄則と言ってもいい。

「ほんとに食べても、大丈夫?」

 言ったとたん、なんかみんなが石化した。

「ねぇ……みんな、どうしたの?」
「どうしたもこうしたも、お前普段、なに食ってるんだよ……」

 なんかイマドも、すごくショック受けてるみたいだ。

「なにって、食べられるものなら、なんでも……。好き嫌い、ないし」
「意味が違う~!」

 こんどはミルが叫んだ。

 ――あたし、そんなに変なこと言ったんだろうか?

「と、ともかくさ、残りさっさと食べて泳ぎに行かないかい?」

 シーモアもずいぶん焦ってるみたいで、しかも他のみんなも同意して、慌てて昼食の残りを片付け始める。
 けどそんなに慌てたら、消化に悪いんじゃないだろうか?

 ともかくおかげで、残ってた昼食はあっさりぜんぶなくなった。

「あたしが後片付けしとくよ。みんな先に行ってな」

 面倒見のいいシーモアがそう言ってくれたから、みんなで甘えることにする。
 あいかわらず波打ち際は、寄せては返す波が洗っていた。

 透き通った波に足が洗われると、踏みしめたはずの砂が流されていく。
 それがやっぱり嫌で、なるべく波の来ないところを歩いた。

「あ、船~♪」
「ほんとだ~」

 ミルとナティエスが、歓声を上げた。
 つられて沖を見る。

 突き刺さる陽射しの下、あたし改めて海を見た。
 瞳に飛びこんでくる碧。

 ――広い。

 海って、こんなに綺麗だっただろうか?

 遥かな碧さ。
 煌く光。
 遠い彼方で空と混じって、そこで青が変わる。
 立ち昇った雲が、目に痛いほど白い。

 そうだ、あたしずっと憧れてた。
 海の色はあたしの瞳と同じだと、ずっと聞かされていたけど。

 ――ほんとうだったんだ。
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