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第8話 言葉ではなく
古巣 Episode:03
しおりを挟む手っ取り早く言えば、お金で力を売るってとこなのかな?
どっちにしてもこの辺は、学院の傭兵隊と大差はないのかも。
――レベルはかなり違うけど。
あたしとシーモアが学院にいる理由も、その辺にあったりするし。
シーモアが続ける。
「まぁ、そう思うのは分かるけどね。
けどナティは、腕はいいよ。確かに引っ張り込んだのはあたしだけど、ガルシィんとこはそんだけじゃ、居られないの知ってるだろ」
「そりゃそうだけど……あっ!」
あたしが手にしてる財布見て、ミハーナ、さすがに声あげたの。
「い、いつのまに!」
「んーと、今話してる間?」
隙だらけだったし。
でも彼女は、そういうつもりじゃなかったみたい。
「こんなみごとに掏られたのは、初めてだよ。
アンタただのお嬢さんかと思ったら、見かけによらないじゃん」
「えへへ♪」
ちょっと嬉しかったり。
「それにしてもシーモア、アンタが学院入学したってホントなのかい?
確かにしばらく姿、見なかったけどさ」
「ああ、ホントさ」
ミハーナの言葉にあっさりシーモアが答えて。
「いいね~、なんだかあっちじゃ、きっちりメシまで面倒見てくれるって?」
「うーん、いいっていうのかなぁ?」
訊かれてちょっと、答えに困っちゃった。
確かに学院ってご飯も服もお小遣いもくれるけど、スラムにいたときみたいな『わくわく』はないんだもん。
そんなあたしたちの表情で、ミハーナは察したみたい。
「あれ、そんなもんかい?
ま、どっちでもいいや。あとでヒマ見て、うちのリーダーにも挨拶してきなよ」
「ああ、そうするよ」
「あ、その時あたしも行っていい?」
シーモアが昔いたってグループ、興味あるもん。
「そしたらあたいから、ティニにそう言っとくよ。んじゃね♪」
言いざまミハーナったら駆け出して。きっとあれ、その辺の繁華街で誰かカモるんだろうな。
「やれやれ、いつもながら忙しいやつだよ。さて、さっさと行こうか?」
「そだね」
まだ確かに朝だけど、アジトつくまでにお昼になったら笑い物。
だからあたしたち、急ぎ足で歩き出したの。
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