335 / 743
第8話 言葉ではなく
交渉 Episode:09
しおりを挟む
◇Caleana
レードがあたしを連れてったのは、確かに感じのいいバーだった。
入り口はちょっと分かりにくいけど、中へ入っちゃうと案外広いし落ちついてるし。
で、ここに放り出されてから、かれこれ2時間ちょっと。
――ったく、いつまでかかるのよ。
いくら飲み代がタダったって、退屈ったらありゃしない。
しょうがないからここの女主人と喋って、時間つぶしてる。
ちなみに彼女、薄い茶色の髪に透き通った若葉色の瞳。
しかもバーの女主人ってのがしっくりくる雰囲気。
「でさ、その偉いさんときたらね~」
「うんうん」
あたしの話ってどういうわけか、どこ行ってもウケるのよね。
今もこの人、けっこう面白がって聞いてるし。
「それにしても、その年で現役の傭兵なんて凄いじゃない?」
「そんなことないわよ。うちじゃあたりまえだもの」
だいたいがうちの一族の食いぶちは、これと研究成果の専売とで稼ぎだしてる。
けどこの人――名前はレニーサって言うそう――ほんと話してて楽しい。
もっとも見かけはけっこう大人しそうだけど中身は……ってやつね。そんなのは見てれば分かる。
ま、その手の人間ときたら、うちのサリーアにかなうのは、いないだろうけど。
「それにしても、レードったらいったい誰を探してるの?」
「あたしの娘」
一瞬店の中が静まり返る。
「娘……??」
「言っとくけど、すっごい美少女なんだから」
再び沈黙。
いつものこととは言え、どうしてあたしがこう言うと、毎度周囲が沈黙するのかしらね?
「ま、まぁ、あなたが言うんだからそうなんだろうけど……」
「あ、信用してないでしょ。
ともかく嘘じゃないわよ。あれを美少女といわずして――」
信じてくれないもんだから、思わず力が入っちゃう。
「わかった、わかったわ。
けど今日は、人探しが流行る日ね」
「はい?」
彼女が言った言葉が一瞬飲み込めなくて、思考停止する。
ちょっと待ってね、ちゃんと考えるから……。
「もしかして他にも、誰か尋ね人してたわけ?」
「ディアスが――って、久しぶりに来た昔馴染みだけど、彼も女の子を捜してたわね。
会えたかどうかは分からないけど」
えーと、彼がわざわざここへ顔を出したって言うことは。
「ここって、ディアスのねぐらだったんだ」
確かにこういう感じのとこ、彼ったら好みだし。
レードがあたしを連れてったのは、確かに感じのいいバーだった。
入り口はちょっと分かりにくいけど、中へ入っちゃうと案外広いし落ちついてるし。
で、ここに放り出されてから、かれこれ2時間ちょっと。
――ったく、いつまでかかるのよ。
いくら飲み代がタダったって、退屈ったらありゃしない。
しょうがないからここの女主人と喋って、時間つぶしてる。
ちなみに彼女、薄い茶色の髪に透き通った若葉色の瞳。
しかもバーの女主人ってのがしっくりくる雰囲気。
「でさ、その偉いさんときたらね~」
「うんうん」
あたしの話ってどういうわけか、どこ行ってもウケるのよね。
今もこの人、けっこう面白がって聞いてるし。
「それにしても、その年で現役の傭兵なんて凄いじゃない?」
「そんなことないわよ。うちじゃあたりまえだもの」
だいたいがうちの一族の食いぶちは、これと研究成果の専売とで稼ぎだしてる。
けどこの人――名前はレニーサって言うそう――ほんと話してて楽しい。
もっとも見かけはけっこう大人しそうだけど中身は……ってやつね。そんなのは見てれば分かる。
ま、その手の人間ときたら、うちのサリーアにかなうのは、いないだろうけど。
「それにしても、レードったらいったい誰を探してるの?」
「あたしの娘」
一瞬店の中が静まり返る。
「娘……??」
「言っとくけど、すっごい美少女なんだから」
再び沈黙。
いつものこととは言え、どうしてあたしがこう言うと、毎度周囲が沈黙するのかしらね?
「ま、まぁ、あなたが言うんだからそうなんだろうけど……」
「あ、信用してないでしょ。
ともかく嘘じゃないわよ。あれを美少女といわずして――」
信じてくれないもんだから、思わず力が入っちゃう。
「わかった、わかったわ。
けど今日は、人探しが流行る日ね」
「はい?」
彼女が言った言葉が一瞬飲み込めなくて、思考停止する。
ちょっと待ってね、ちゃんと考えるから……。
「もしかして他にも、誰か尋ね人してたわけ?」
「ディアスが――って、久しぶりに来た昔馴染みだけど、彼も女の子を捜してたわね。
会えたかどうかは分からないけど」
えーと、彼がわざわざここへ顔を出したって言うことは。
「ここって、ディアスのねぐらだったんだ」
確かにこういう感じのとこ、彼ったら好みだし。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる