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第8話 言葉ではなく

推論 Episode:06

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「武器は短剣でしたけど、太刀筋は訓練されたものでした。それも2年ほど前に、ロデスティオに吸収された西の小国、ハニア独特のものです。
 ですから襲ってきた人たちは少なくとも、こちらや向こうのチームとは無関係だと思います。
 それに死んだ仲間の遺体を、高位の炎魔法で焼き尽くした仲間がいました。この辺りから考えても、どこかで訓練を受けたプロか、それに該当する人間だと思います。
 もちろんどちらかが、そういう人を雇ったなら話は別でしょうけど……」

 ――えーと。

 なんかルーフェイア、凄すぎ。

「……お前、こーゆことになると鋭いのな」

 イマドも(と言うか多分、ここにいる人全部)同じこと思ったみたいで、そんなこと言うし。

「え? でもこうじゃないと、いざって言う時に生き延びられないし……」

 見かけとはうらはらにルーフェイアってば戦闘向きなの、改めて思い知っちゃう。

 どこでどう訓練受けたかわかんないんだけど、彼女ってば同学年のAクラスなんか豪快に引き離して、上級傭兵並の強さだし。

 もっとも彼女のお父さんってばあたしさえ名前知ってるディアスさんだったし、お母さんもなんか軍事関係者らしいから、環境なのかな?

「ハニアの連中……?
 そうすると、絡んでるのはエマンシオ・ファミリーかしらね」

 ルーフェイアの一言から、レニーサさん何か思い当たったみたい。

「何かあるのか?」

「ちらっと聞いただけなんだけど、ハニアの元軍人が、まとめて雇われたらしいの。
 で、その雇い主がエマンシオ・ファミリーっていう話なのよ」

 さすがレニーサさん……。
 この人に訊けば大抵のことは分かるって有名だけど、ホントに情報通。

 ――どこで仕入れるのかなぁ?

 素性は知らないわけじゃないけど、それにしたっていろいろ知りすぎ。

「何か証拠はあるのか?」

「ごめんなさい。それこそ噂だけで、なんの証拠もないのよ。
 だいいち向こうの連中だって一応プロだから、そう簡単に尻尾は出さないわ」

 そりゃそうよね。
 そう簡単にシッポ出すようだったら、このスラムじゃ生きていけないもん。

「あの、すみません。その『エマンシオ・ファミリー』って……?」

 あ、いけない。
 あたしたちはここ育ちだから納得してたけど、余所者のルーフェイアたちにはこの話、なんだかわかるわけないじゃない。
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