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第8話 言葉ではなく

追跡 Episode:14

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「さっきあたしが捕まえたのも合わせて四人いるから、きっとどうにかなるでしょ♪」

「どうにかしてもらわないと困るわよ。
 けどさっきあなたが言ってた方法、大丈夫なんでしょうね?」

 なんだか信用ない言われかたねぇ。
 けど、ちゃんと勝算はあるし。

「まぁ、見ててよ。それに万が一あたしがダメでも、イマドがいるし。
 ――ね?」

「………」

 あら?
 しかも答えがないのを訝しんでたら、ルーフェイアがすごい形相で睨みつけてきて。

「――母さんっ!」
「どうしたのよ?」
「どうしたもこうしたもないでしょっ!!」

 さすがにこの剣幕には、あたしも少々驚かされる。

「どうして母さん、そうやって無神経なのっ!」
「あたしだって、神経くらい通ってるってば」
「そうじゃなくて!」

 とりあえず口で親子ゲンカしながら、イマドのほうにあたし視線を向けた。

(あなたまさか、この力のこと黙ってたの?)

 声に出さずに会話出来るのは、念話能力を持つ人間同士だけの、特典なのよね。
 もっともこのボウヤは初めてだったらしくて、少しの間があってから答えが帰ってきたけど。

(――はい)
(よくそんなこと、今までしてたわね……)

 そりゃ所構わず言えとは言わないけど、まるっきり内緒にしてたら、ストレスなんてもんじゃないでしょうに。

「カレアナ、なにがどうなってるの?」
「どうって言っても、大したことじゃないんだけどね」

 一旦そう言ってから、あたしはもういっかいこのボウヤに視線を向けて。

(思いきって言っちゃいなさい。あなたが心配するほど、人は驚かないわよ。
 それとも、あたしから言ったほうがいいかしら?)

 決めかねてるんだろう、答えはなかった。

 ――まぁ、しょうがないかもね。

 うちはそういう人間がごっそり出る家系だから偏見なんてないけど、世の中にはあたしたちみたいなのを毛嫌いする輩もいるし。

「ま、早い話がこの子もあたしと同じことができるのよ」
「――あらま」

 レニーサの反応に、イマドが拍子抜けした顔になって。

「……ヘンなヤツだとは思ってたけど、なるほどね」
「あー、だからさっきおばさんが、『同類』ってたんだ。けど、なんかかえって納得できない?」

 シーモアちゃんとナティちゃんも、あっさり順応。
 さらにシーモアちゃんがツッコむ。

「てか、そういう人間ってのは、そんなにゴロゴロしてるものなのかい?」

 ここまで言われて、やっとボウヤが笑った。

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