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第8話 言葉ではなく
証拠 Episode:13
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「じゃぁ夕べ、ファミリーのボスが一緒にいるって、言ってたのは……」
「マグダール大佐でしょうね」
考えようによってはとんでもない話を、母さんが楽しそうに肯定した。
「でもそうしたら、コーニッシュ大佐が犯罪組織と結託してる、っていう噂は?」
確か昨日、情報通のゼロールさんはそう言ってたはずだ。
それとも、まさかとは思うけど……。
「それこそ、濡れ衣だと思うわ。何よりね、昨日『視た』映像の後ろ姿、リオネルっぽくなかったしね」
速攻で疑ったのは、そういう事情だったらしい。この辺は、直接会ったことのある母さんと、会ったことのないイマドとの差だろう。
「それで、証拠、取れたの?」
「それはまだ。
でも、マルダーグ大佐とやら、出世に邪魔なリオネルを、目の敵にしてるって言うから、ほぼ間違いないんじゃない?」
「そうなんだ……」
確かにそういうことだったら、「ライバルに濡れ衣を着せて」っていうのは常套手段だろう。
「まぁそういうわけで、その大佐とファミリーのボスとが、今回の黒幕ね。
でね、これから屋敷ごとどうかしちゃおうかなって」
「屋敷ごとって……」
それこそ器物損壊、不法侵入じゃないだろうか?
「あらいいじゃない。
だいいちね、ちゃっかり権力の座に座ってるくせに裏でヤバいことに手染めてるなんて、いちばんのクズよ。
悪いことするならするで、肚くくってきっちりやんなきゃ」
――そういう問題だろうか?
なんか違う気がするけど、母さんにそう言っても通じないだろう。
「で、あたしとディアスでとっちめに行こうと思って」
「父さんと二人だけで?!」
いくらなんだって、それはムチャだ。
「他の人は? ほら、クリアゾンの人とか……。
だいいちそれ、警察の仕事でしょう?」
「警察が何もしないから、みんな困ってるんじゃない」
あっさりと母さんが言い放った。
「それにここの人たちだって、そう簡単に手なんて出せないわ。
あたしらはしっかり無国籍だから、どこで何やったってどうってことないけど、あの人たちはここに住んでるのよ?」
――そうだった。
当たり前すぎることを指摘されて、やっと他の人の置かれてる状況に気づく。
「マグダール大佐でしょうね」
考えようによってはとんでもない話を、母さんが楽しそうに肯定した。
「でもそうしたら、コーニッシュ大佐が犯罪組織と結託してる、っていう噂は?」
確か昨日、情報通のゼロールさんはそう言ってたはずだ。
それとも、まさかとは思うけど……。
「それこそ、濡れ衣だと思うわ。何よりね、昨日『視た』映像の後ろ姿、リオネルっぽくなかったしね」
速攻で疑ったのは、そういう事情だったらしい。この辺は、直接会ったことのある母さんと、会ったことのないイマドとの差だろう。
「それで、証拠、取れたの?」
「それはまだ。
でも、マルダーグ大佐とやら、出世に邪魔なリオネルを、目の敵にしてるって言うから、ほぼ間違いないんじゃない?」
「そうなんだ……」
確かにそういうことだったら、「ライバルに濡れ衣を着せて」っていうのは常套手段だろう。
「まぁそういうわけで、その大佐とファミリーのボスとが、今回の黒幕ね。
でね、これから屋敷ごとどうかしちゃおうかなって」
「屋敷ごとって……」
それこそ器物損壊、不法侵入じゃないだろうか?
「あらいいじゃない。
だいいちね、ちゃっかり権力の座に座ってるくせに裏でヤバいことに手染めてるなんて、いちばんのクズよ。
悪いことするならするで、肚くくってきっちりやんなきゃ」
――そういう問題だろうか?
なんか違う気がするけど、母さんにそう言っても通じないだろう。
「で、あたしとディアスでとっちめに行こうと思って」
「父さんと二人だけで?!」
いくらなんだって、それはムチャだ。
「他の人は? ほら、クリアゾンの人とか……。
だいいちそれ、警察の仕事でしょう?」
「警察が何もしないから、みんな困ってるんじゃない」
あっさりと母さんが言い放った。
「それにここの人たちだって、そう簡単に手なんて出せないわ。
あたしらはしっかり無国籍だから、どこで何やったってどうってことないけど、あの人たちはここに住んでるのよ?」
――そうだった。
当たり前すぎることを指摘されて、やっと他の人の置かれてる状況に気づく。
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