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第8話 言葉ではなく

戦闘 Episode:04

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「お、ダグもいるのか。こりゃ都合がいい。
 ――もうお前ら、話は聞いてるな?」

「はい、聞いてます」

 さすがのガルシィも、この辺の人相手だと一応口調が丁寧。

「それにボスから付け加えだ。いいか……」

 気になるから、ちょっとだけ聞き耳たててみる。

「どうせこの時間じゃもう、逃げるのはムリだ。だからみんなして、家にこもるしかないだろ。
 そこで、だ」

 これには思わず、あたしも身を乗り出しちゃって。
 もちろん説明がされるにつれ、みんなの目も輝き出して。

「そいつは面白そうじゃねぇか」
「うん、ぜったいいい!」
「よし、そうと決まったら急いで知らせに行かなきゃね」

 急にアジトの中が活気付く。

「ナティ、行こう!」
「もちろん♪」
「あ、ちょっと待て」

 けど出ていこうとしたら、リーダーに呼びとめられちゃって。

「もう、なによ。時間がないって言ったの、リーダーでしょ?」
「ああ。だからこれを使え」
「あ……♪」

 思わずシーモアとあたし、にこにこしちゃった。

 なにしろリーダーが出してくれたの、浮遊ブレード。
 板に小さい浮遊石が仕込んであって、ちょっとだけ宙に浮く。だから雪の上のソリみたいに、乗ってちょっと片足で地面蹴るだけで、すいすい進むの。

 あとは重心を変えたりして、自由自在。
 高価いものだから滅多に使わせてもらえないけど、これがあればグンと早く知らせに行ける。

「ホントにいいのかい?」
「非常時だからな。それにちゃんと人数分あるから、気にしなくていいぞ」
「やったね!」

 あたしとシーモアと、ひとつづつ受け取って。

「ナティ、あんたちゃんと乗り方覚えてるかい?」
「そういうシーモアこそ、大丈夫なの?」

 もっとも言う気持ちは、わかんなくもなかったり。
 だって実は浮遊ブレード、学院じゃ禁止。とはいえ、けっこうみんな見つからないようにして乗ってはいるんだけど。

「けどこれなら、一丁目まですぐに行けるよね?」
「あんたが転ばなきゃ行けるさ」
「――もう!」

 そしてあたしたち、通りへ飛び出したの。



◇あとがき◇
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