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第9話 至高の日常

日常 Episode:18

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「そういう魂胆ですか」

 隣でルーフェイアのヤツが、自分が言われたわけでもないのに身を硬くする。

「タシュア、持っているのか?」
「ええ、まあ」

 先輩は曖昧に答えたけど、持ってないわきゃない。
 なにしろこないだルーフェイアから巻き上げたカードってのが、その雪の女王だ。

「先輩、こいつにあのカード、返してやってもらえます?
 この仔竜は好きにしていいですから」

「――いいでしょう」

 上手いこと交渉が成立した。

「タシュア、なにもそこまでしてくれなくても……」
「かまいませんよ。別に私は、集めてるわけではありませんから」
「だが……」

 さすがに気が引けたらしい。シルファ先輩が必死に遠慮する。
 だけど。

「いいんです」

 きっぱりそう言われて、黒髪の先輩はそれ以上言うのをやめた。
 さすが長年?付き合ってるだけあって、タシュア先輩の性格はよく把握してるらしい。

「――すまない。
 そうしたらイマド、もらっていいか?」

「どうぞ」

 仔竜が手に入った先輩、けっこう嬉しそうだ。

 ――けどタシュア先輩、少し変わったよな?

 前からシルファ先輩にゃ甘かったけど、この頃はなんつーか「甘やかしてる」って感じだ。
 もっともこの先輩の場合やたら厳しいから、これでやっと差し引きゼロってとこだろう。

「雪の女王のカードは今持っていませんから、学院へ戻ってから渡します。
 それでかまいませんね?」

「ええ、ぜんぜん」

 俺も気楽に答えた。なにせこの先輩が約束を破るってコトは、有り得ない。

「先輩すみません、ありがとうございます……」

 戸惑いながらルーフェイアが礼を言った。
 って、ここでそれ言った日にゃ……。

「言う相手が、違うと思いますがね」
「ご、ごめんなさいっ!」

 あ、やっぱり。
 予想通りに突っ込まれて、またこいつの瞳に涙が浮かぶ。

 ――ホント、相性いいよな。

 隣でべそかいてるルーフェイアの頭をテキトーに撫でながら、俺はなんとなくため息をついた。
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