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第9話 至高の日常

緊迫 Episode:09

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「馬鹿ね、状況が変わったからに決まってるでしょ。おかげで作戦変更だわ」
「俺は聞いてないぞ」
「あたりまえでしょ。まだ話してないもの」

 どうもこの先輩二人、相当相性いいらしい。

 そうこうしてるうちに続々と上級傭兵が――本気で総出だったらしい――ここへ入ってくる。
 中には当然、エレニアの顔もあった。

「ロア? それにルーフェイアじゃない。どうしてこんな場所に二人でいるの?」

「ちょっといろいろあったりして。
 まぁホントのとこ言えば、この子が情報持って来たからなんだけどね」

 ホントに簡単にだけ説明する。

「情報って?」
「もう、説明あると思う」

 言い終わるかどうかくらいに、イオニア先輩が口を開いた。

「遅いわね。呼んだら2分以内に揃いなさいよ。
 ――まぁいいわ。全員ここへ座って。新しい情報が入ったの。けど、いいものじゃないわ」

 揃ったメンバーを平然と見渡してから、先輩が切り出す。

「とある筋から、中の様子が分かったわ。説明するからよく聞きなさいよね。
 まず犯人だけど――」

 さすが女性上級傭兵の筆頭と言われるだけあって、イオニア先輩の説明ときたらルーフェ以上に簡潔。

「――状況は以上。当然だけど、迂闊に突入できないことは分かるわね?
 これから方法を検討するから、各自再度命令があるまでは待機。何かいい方法が思い浮かんだら、その都度ここへ知らせなさい。
 じゃぁ、解散していいわ」

 一旦離れてたエレニアが、また傍へ来た。

「とんでもないことになったわね……」
「ホント、敵ながら大したもんかも、この悪知恵」

 こうなるとこっそりひとりづつ片付けてくくらいしか、やりようないだろう。
 だいいちそれだって、かなり分は悪い。

「子供たちを見張ってる人間に気づかれずに――上手く出来るかしら」
「どうだろ」

 ちょっとでも不穏な動きとか物音があれば、即座に中で皆殺しにされかねないだろうし。

「同時に上手く、中を殺れれば言うことナシなんだけどね」
「そんなこと出来れば、苦労しないわよ」

 二人でため息をつく。

「ともかくあたし、待機場所へ戻るわ」
「あ、うん、頑張って」

 エレニアも出て行く。

「さ、ルーフェ、あたしたちもどっか……場所移ろうか?」

 まさかずっと指揮所にいるわけには、いかないだろうし。
 けど、この子は動かなかった。

「ルーフェ、どしたの?」
「あの、あたし……」

 普段はどっか儚げなこの子が、海色の瞳に強い光を見せる。


◇あとがき◇
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