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第9話 至高の日常

緊迫 Episode:08

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「……まぁいいや。
 どうやってかはともかく、中と連絡は取れるわけね?」

「――はい」

 安心したふうにルーフェがうなずく。

 あたしもそれ以上は突っ込まなかった。
 だいいちどうせシュマー絡みだろうから、突っ込んだらもう二度と、情報提供してくれない可能性だってある。

 一応確認のためにイオニア先輩に視線を向けると、無言でうなずいた。

 ――話わかるじゃない。

 情報が真実で正確なら、出所は伏せといてもらえそうだ。

「中の様子、どうだったか分かる?」
「えっと……」

 ルーフェが少し考える顔になった。どう報告しようかまとめてるんだろう。

「犯人の数は、まだ確認できてません。でも5名以上は間違いなさそうで、病棟の廊下で銃を持って見張ってるそうです」

 さすが学年首席+戦場育ちなだけあって、報告が簡潔。

「そう。
 ――そうしたら、人質の状況は?」

「威嚇射撃はあったものの、現在死傷者はありません。看護士さんとお医者さんはナースステーション、患者さんはほとんどが病室に軟禁状態。
 ただ、子供が……」

 この子が少し言いよどんだ。良くない情報らしい。

「子供が、どうしたの?」
「小児だけは全員、7-B病棟ナースステーション隣の倉庫に集められて、常時3人に見張られているそうです」
「――連中、やってくれるじゃない」

 同感。

 病室に閉じ込められてるだけっていうなら、セオリーどおり突入ってテが使える。
 けど状況がこれじゃ、下手に突っ込んだらチビちゃんたちが全滅しちゃうだろう。

「ナースステーション横って言うと――この場所よね。入り口は一つ、窓はなし。
 ふん、舐めたことするわ」

 イオニア先輩が、建物内の見取り図を見ながら考え込む。そこへ何か報告書を持って、別の先輩が入ってきた。

「先輩、どうかしましたか?」

「あ、うん、新しい情報をこの子が持ってきたの。
 ――上級を全員、ここへ集めて頂戴。突入方法を再検討する必要が出たわ」

「了解です」

 上級の先輩がひとり出て行って、じきに部屋が騒がしくなった。

「イオニア、何を始めたんだ。この美少女を毒牙にでもかけたのか?」

 ルーフェの話を聞き終わったタイミングで、解放されたんだろう。ウラグ先輩が戻ってきた。
 イオニア先輩が冷ややかな視線を返す。
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