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第9話 至高の日常
そしてまた日常 Episode:01
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◇Tasha Side
病院の窓から既に高くなった陽を眺めながら、タシュアは退屈していた。夕べは結局、学院へ戻れなかったのだ。
どさくさに紛れて帰ろうとしたのだが、それをシルファはすかさず見つけ、病室へ押し戻されてしまった。
(やれやれ……)
隣のベッドでは、昏々とルーフェイアが眠っている。
あのよく分からない状況から復帰した直後は、意識があった。
そしておそらく、正気だったろう。
だがその後すぐに眠ってしまい、揺すっても起きなかったので、とりあえずこの病院に一泊させることになったのだ。
しかもその際、タシュアの部屋が二人部屋かつ片方ベッドが空いていたために、そのままここへ寝かされている。
起きる気配は、まだなかった。
(これで、帰れるのですかね?)
今日の午後には学院側が引き取りに来るはずだが、目を覚まさないのに連れて帰るわけにはいかないだろう。
このままでは、自分の入院まで延びそうだった。
なにしろルーフェイアがここへ入院?した際、シルファから「絶対にこの子を置いて行くな」と、約束させられてしまっている。
(まぁ、構いませんが)
早く帰りたいのは確かだが、ここにいれば邪魔は入らない。
それに点滴も外れているから、最初ほどの不自由さはなかった。
本へ手を伸ばす。
昨日ルーフェイアが選んできた――シルファのほうは読み終わってしまった――ものだ。
院内は穏やかだった。それでも先ほどまでは、患者が戻ってきたりナースステーションの掃除があったりでしてざわついていたし、壊れた機械や壊された扉の復旧は続いている。
けれどそこを見なければ、何事もなかったかのようだ。
病院のスタッフもあんな事件があったというのに、平常どおり仕事をこなしていた。
「病院に休みナシ」とはあの主任の言葉だが、確かにそのようだ。
人質になった子供たちも幸いなことに、深刻な後遺症はなさそうだとの話だった。
途中でルーフェイアが入ってきちんと世話をし、犯人たちとの盾になったこと。
加えて眠っている間に惨劇が終わり、気づいたらベッドの上だったこと。
このために子供たち自身が、夢だったのか現実だったのか、よくわからなくなってしまったらしい。
病院の窓から既に高くなった陽を眺めながら、タシュアは退屈していた。夕べは結局、学院へ戻れなかったのだ。
どさくさに紛れて帰ろうとしたのだが、それをシルファはすかさず見つけ、病室へ押し戻されてしまった。
(やれやれ……)
隣のベッドでは、昏々とルーフェイアが眠っている。
あのよく分からない状況から復帰した直後は、意識があった。
そしておそらく、正気だったろう。
だがその後すぐに眠ってしまい、揺すっても起きなかったので、とりあえずこの病院に一泊させることになったのだ。
しかもその際、タシュアの部屋が二人部屋かつ片方ベッドが空いていたために、そのままここへ寝かされている。
起きる気配は、まだなかった。
(これで、帰れるのですかね?)
今日の午後には学院側が引き取りに来るはずだが、目を覚まさないのに連れて帰るわけにはいかないだろう。
このままでは、自分の入院まで延びそうだった。
なにしろルーフェイアがここへ入院?した際、シルファから「絶対にこの子を置いて行くな」と、約束させられてしまっている。
(まぁ、構いませんが)
早く帰りたいのは確かだが、ここにいれば邪魔は入らない。
それに点滴も外れているから、最初ほどの不自由さはなかった。
本へ手を伸ばす。
昨日ルーフェイアが選んできた――シルファのほうは読み終わってしまった――ものだ。
院内は穏やかだった。それでも先ほどまでは、患者が戻ってきたりナースステーションの掃除があったりでしてざわついていたし、壊れた機械や壊された扉の復旧は続いている。
けれどそこを見なければ、何事もなかったかのようだ。
病院のスタッフもあんな事件があったというのに、平常どおり仕事をこなしていた。
「病院に休みナシ」とはあの主任の言葉だが、確かにそのようだ。
人質になった子供たちも幸いなことに、深刻な後遺症はなさそうだとの話だった。
途中でルーフェイアが入ってきちんと世話をし、犯人たちとの盾になったこと。
加えて眠っている間に惨劇が終わり、気づいたらベッドの上だったこと。
このために子供たち自身が、夢だったのか現実だったのか、よくわからなくなってしまったらしい。
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