「見習い魔導士の憂鬱」 異世界へ行くはずが、向こうから人がきて……?!

こっこ

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第6話 師匠に対するは?

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「さぁ、ちゃんと説明しなさいってば。しなかったら容赦しないわよ」

 何をどう容赦しないのかは、ちょっと興味がある。
 けど僕に向けられるのだけは願い下げだ。師匠だけにしてほしい。

 師匠の方はまだ口をぱくぱくさせてたけど、おばさんの剣幕に押されて、なんとかしわがれ声を絞り出した。

「つ、つ、つまりじゃな、違う世界へ行く実験をしておって……」
「それは聞いた!」

 さっきと同じやり取りになる。
 まぁさっき言ったのは僕で、師匠にしてみれば初めておばさんにこれを言ったわけだから、気の毒と言えば気の毒だ。
 でも普段いろいろされてるから、むしろたまには困れ、って気分のほうが大きい。

 おばさんの怒りは収まる気配はなかった。

「で、ここどこ?」
「ここはユラという名前の村で……」
「それもさっき聞いた!」

 師匠、墓穴を掘りすぎだ。でもいつもコキ使われてる分、こういう「やられてる」師匠を見るとスカっとする。
 けどここで風向きが変わった。

「で、ここが仮に違う世界だとして。あたし帰れるの、帰れないの?!」
「そ、それは帰れる」

 師匠が断言して、おばさんのトーンが下がる。下がらなくていいのに。

「なんだ、そうならそうと言ってよ」
「言う暇なかったじゃろうが……」

 師匠が愚痴るけど、当然ながらおばさんは聞いてない。

「お茶なんか飲んでる場合じゃない、早く帰らなきゃ。ほらそこの二人、急いでよ」

 おばさん、横柄なことこの上ない。向かうところ敵なし、って感じだ。
 でも師匠は動かなかった。

「ちょっと、何してんのよ!」
「何と言われてもな。帰れるは帰れるが、今すぐというわけにはいかなくての」

 言って師匠、ずずっとお茶を――なんでいつもの不味いのじゃなくて僕のお茶――をすする。

「じゃから少々お茶を飲んでも変わ――」
「いいかげんにしてっ!」

 おばさんがついにキレた。

「あたしすぐ帰って、子供たちの夕食作んなきゃなのっ! こんなとこでぐずぐずしてるヒマないんだから!」

 子供たちの夕食ってとこが、現実味がありすぎる。
 そしてあの散らばった食べ物らしきものは、今夜の材料だったんだなーと今更ながらに思った。

 おばさんの降り注ぐ火矢みたいな言葉は、まだ続いてる。

「さぁ! とっとと立って! じゃないと、どんどん帰るのが遅くなっちゃうじゃない!」

 どうもこのおばさんには異世界へ来たっていうことも、その辺へ買い物に出たのと大差ないらしい。
 恐るべき肝っ玉の太さだ。
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