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第11話 天の恵み、おばさんの恵み
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いつも夕食を頼んでる隣の家は、幸い快く引き受けてくれた。
あのおばさんの言うとおり、早めに言ったのが良かったらしい。
「作り始めてからだったら、どうにもならなかったよ」とは、隣のズデンカさん――召喚されたイサさんに負けず劣らずおばさんだ――の言葉だ。
ともかく僕は今日のところは、夕食ナシという最悪の事態を避けることができた。それだけは素晴らしい。
――他が頭痛いけど。
おばさんが帰れるのは、少なくとも50日は先だ。
ということはあのおばさんはその間、たぶんこの家に居ることになるんだろう。
そうなると僕はずっと、あのおばさんに振り回されるわけで……考えるだけでも憂鬱だ。
これで言ってることが分からなければ聞き流すこともできるけど、きっちり理解できて、聞き流せないのがまた辛いところだ。
師匠が言うには、魔法陣のある地下は他の世界と繋ぐ関係で、ある程度両方の世界が混ざり合うらしい。
おばさんがこっちの言葉が分かるのも、そのせいだそうだ。
ただこれが曲者で、部屋を出ると分からなくなる。
けどそうなると、てきめんにおばさんの機嫌が悪くなる。これほど始末に負えないのは、部屋中にはびこって退治できなくなったカビくらいだろう。
結局どうしたかというと、師匠が急いで小さい魔法陣をこしらえて、それをおばさんに持ってもらった。
これだと違う世界に行けるほどの力はないけど、二つの世界が微妙に混ざり合って、言葉なんかが通じるようになるんだそうだ。
で、おばさんはご機嫌になって、ご飯を食べてる。
その嬉しそうな顔がけっこう可愛く見えて、そう思ってしまう自分がなんだか節操がない気がして、なんとも微妙な気分だ。
そんな僕の前に、お皿が突き出された。
「何ですかこれ」
「もう要らない」
「――え?」
おばさんのお皿、まだ八割がた食事が残ってる。好き嫌いかと思ったけど、よく見るとぜんぶが少しずつ減ってるから、そういうわけじゃないみたいだ。
「要らないって、ほとんど食べてないじゃないですか」
「要らないものは要らないの。それともあなた、食べないの?」
「た、食べます!」
これは天からの恵みだ。僕におなかいっぱい食べられる日が来るなんて、想像もしなかった。こういうことなら、おばさんって種族があと五人くらいいてもいい。
あのおばさんの言うとおり、早めに言ったのが良かったらしい。
「作り始めてからだったら、どうにもならなかったよ」とは、隣のズデンカさん――召喚されたイサさんに負けず劣らずおばさんだ――の言葉だ。
ともかく僕は今日のところは、夕食ナシという最悪の事態を避けることができた。それだけは素晴らしい。
――他が頭痛いけど。
おばさんが帰れるのは、少なくとも50日は先だ。
ということはあのおばさんはその間、たぶんこの家に居ることになるんだろう。
そうなると僕はずっと、あのおばさんに振り回されるわけで……考えるだけでも憂鬱だ。
これで言ってることが分からなければ聞き流すこともできるけど、きっちり理解できて、聞き流せないのがまた辛いところだ。
師匠が言うには、魔法陣のある地下は他の世界と繋ぐ関係で、ある程度両方の世界が混ざり合うらしい。
おばさんがこっちの言葉が分かるのも、そのせいだそうだ。
ただこれが曲者で、部屋を出ると分からなくなる。
けどそうなると、てきめんにおばさんの機嫌が悪くなる。これほど始末に負えないのは、部屋中にはびこって退治できなくなったカビくらいだろう。
結局どうしたかというと、師匠が急いで小さい魔法陣をこしらえて、それをおばさんに持ってもらった。
これだと違う世界に行けるほどの力はないけど、二つの世界が微妙に混ざり合って、言葉なんかが通じるようになるんだそうだ。
で、おばさんはご機嫌になって、ご飯を食べてる。
その嬉しそうな顔がけっこう可愛く見えて、そう思ってしまう自分がなんだか節操がない気がして、なんとも微妙な気分だ。
そんな僕の前に、お皿が突き出された。
「何ですかこれ」
「もう要らない」
「――え?」
おばさんのお皿、まだ八割がた食事が残ってる。好き嫌いかと思ったけど、よく見るとぜんぶが少しずつ減ってるから、そういうわけじゃないみたいだ。
「要らないって、ほとんど食べてないじゃないですか」
「要らないものは要らないの。それともあなた、食べないの?」
「た、食べます!」
これは天からの恵みだ。僕におなかいっぱい食べられる日が来るなんて、想像もしなかった。こういうことなら、おばさんって種族があと五人くらいいてもいい。
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