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第43話 それは魔の誘い
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「実私、もし父上に国のことをお話いただいても、ほとんど答えられないのです……」
イサさんが、きょとんとした顔になった。
なんて顔するんだ。姫さまが困ってらっしゃるのに、まず慰めようと思わないのか。
でも諦める。きっとおばさんっていうのは、そういう種族なんだ。
イサさんが疑問満載って声で答える。
「なんで? そういう政治の話がいちばん集まるのがお城で、あなたお城の姫さまでしょ?」
「たしかにそうなのですけど……」
少しだけ言い淀んでから、姫さまが続けた。
「先日、私の立場ではあまり政《まつりごと》に口を出せないとお話したのは、覚えてらっしゃいます?」
「うん」
さすがにこれはイサさん、覚えてたらしい。
というかもし、姫さまの言ったことを忘れてたら、文句のひとつ……せめて半分くらいは言うところだ。
「ですから私、そういうことをあまり学んでませんの」
「それとこれとは別でしょ」
間髪入れず、イサさんが返す。
言われた姫さまのほうは、驚いた顔だ。
「別、なのですか?」
「別に決まってるじゃない。知ってても口を出さないことはできるし、知らなくたって口出すヤツは出すわよ?
要は立ち回りの問題。で、知らないより知ってるほうがいいに決まってるでしょ」
「言われてみればそうですわね」
姫さまが納得する。
姫さまいけません。こういう人の言うことを鵜呑みにすると、ロクな目に遭わないです。
だって僕という、実例がいるんです。
でも僕の思いは、姫さまには届かなかった。
「では、これからそういうことを学ぶことに致します。
けれど、いまはどうしましょう? 答えられないことは変わりありませんわ」
「そんなの、一緒に考えますとか、私も考えるから時間をくださいとか、言っときゃいいのよ。
で、その間に信頼できる知ってそうな人に訊くか、書物で調べるの」
ぱっと姫さまの顔が輝いた。
「それなら、無学な私でもできますわ!」
「そそ。誰にでもできるわよ。簡単かんたん」
すごく嬉しそうな姫さまと、楽しそうなイサさん。いい光景だと思う。
思うけど――何かコワいものを感じるのはなんでだろう?
というか姫さま、本気ですか?
ホントにイサさんの言う通りのこと、するんですか?
そんなことしたら、この先いったいどうなるか……。
でもとてもそんなことは口に出せなくて、お礼を言う姫さまに見送られながら、僕らは部屋を後にした。
イサさんが、きょとんとした顔になった。
なんて顔するんだ。姫さまが困ってらっしゃるのに、まず慰めようと思わないのか。
でも諦める。きっとおばさんっていうのは、そういう種族なんだ。
イサさんが疑問満載って声で答える。
「なんで? そういう政治の話がいちばん集まるのがお城で、あなたお城の姫さまでしょ?」
「たしかにそうなのですけど……」
少しだけ言い淀んでから、姫さまが続けた。
「先日、私の立場ではあまり政《まつりごと》に口を出せないとお話したのは、覚えてらっしゃいます?」
「うん」
さすがにこれはイサさん、覚えてたらしい。
というかもし、姫さまの言ったことを忘れてたら、文句のひとつ……せめて半分くらいは言うところだ。
「ですから私、そういうことをあまり学んでませんの」
「それとこれとは別でしょ」
間髪入れず、イサさんが返す。
言われた姫さまのほうは、驚いた顔だ。
「別、なのですか?」
「別に決まってるじゃない。知ってても口を出さないことはできるし、知らなくたって口出すヤツは出すわよ?
要は立ち回りの問題。で、知らないより知ってるほうがいいに決まってるでしょ」
「言われてみればそうですわね」
姫さまが納得する。
姫さまいけません。こういう人の言うことを鵜呑みにすると、ロクな目に遭わないです。
だって僕という、実例がいるんです。
でも僕の思いは、姫さまには届かなかった。
「では、これからそういうことを学ぶことに致します。
けれど、いまはどうしましょう? 答えられないことは変わりありませんわ」
「そんなの、一緒に考えますとか、私も考えるから時間をくださいとか、言っときゃいいのよ。
で、その間に信頼できる知ってそうな人に訊くか、書物で調べるの」
ぱっと姫さまの顔が輝いた。
「それなら、無学な私でもできますわ!」
「そそ。誰にでもできるわよ。簡単かんたん」
すごく嬉しそうな姫さまと、楽しそうなイサさん。いい光景だと思う。
思うけど――何かコワいものを感じるのはなんでだろう?
というか姫さま、本気ですか?
ホントにイサさんの言う通りのこと、するんですか?
そんなことしたら、この先いったいどうなるか……。
でもとてもそんなことは口に出せなくて、お礼を言う姫さまに見送られながら、僕らは部屋を後にした。
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