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【ウェストン】を拠点に活動する冒険者たちが街の治安部隊と連携を組み、襲撃者たちと戦っていた。
実戦慣れしている冒険者たちが前線に立ち、治安部隊が住民たちの避難を優先的に動いている。
グウェン
「(奇襲を受けた割には被害が少ない……。役人が逸早く襲撃に気付いたのか……?)」
グウェンは逃げ遅れた住人が魔物に襲われている現場を目撃し、急いで救出に向かった。
住人を襲っているのは『ホブゴブリン』と呼ばれる亜人種のモンスターだ。
ホブゴブリンは『ゴブリン』の上位種であり、体は人間の成人男性より一回り大きく、力は人間のそれを遥かに上回っている。
ホブゴブリン
「グフフ……。人間ノ雌、逃ガサナイ……。足ヲ潰シデ連レ帰エル……」
ホブゴブリンが右手に持つ棍棒を振り上げた瞬間、グウェンの移動速度が急加速した。
白刃一閃。
グウェンは剣を抜き放つ同時にホブゴブリンの首を一撃で刎ね飛ばした。
ホブゴブリンの首が地面をゴロゴロと転がり、一拍置いてから体の方が横倒しに倒れていった。
グウェン
「大丈夫か?」
母親
「ひぃぃっ――!」
赤子を抱えた成人女性がグウェンの姿を見て悲鳴を上げた。
グウェン
「安心しろ。こんなナリだが、オレはれっきとした冒険者だ」
そう言ってグウェンは首から下げた登録証を女性に見せた。
グウェン
「避難所まで護衛する。……立てるか?」
女性はグウェンとホブゴブリンの死体を交互に見比べ、ゆっくりと頷いた。
赤ん坊が安心した笑顔でグウェンに両手を伸ばしている。
赤ん坊の母親である女性は、我が子の無邪気な反応を見て彼のことを信用すると決めた。
すると次の瞬間――――
グウェン
「っ――⁉」
グウェンは背後から迫りくる攻撃を察知し、親子を抱えて大きく跳躍した。
母親
「きゃあっ――!」
グウェンは建物の屋根の上に着地し、そこから地面を見下ろした。
彼は眉をひそめ、抱えていた親子を屋根の上におろした。
グウェン
「……ヴェロール」
グウェンの視線の先には、巨大な金棒を肩に担いだ体長3メートル級の魔族がいた。
毒々しい赤紫色の鱗。
左右の側頭部から生えた鋭い角。
ブヨブヨとした分厚い脂肪を腹回りに抱えている反面、肩回りの筋肉が異常なまでに発達している。
その魔族には足がなく、下半身は蛇の尻尾そのもの。
〝蛇鬼族〟の突然変異種にして元魔王軍の最高幹部が一人――――
『毒鬼のヴェロール』の姿が、そこにあった。
グウェンは屋根から飛び降りて地面に着地し、ヴェロールと向かい合った。
彼らがさっきまで立っていた場所には大穴が開き、地面がドロドロに溶かされている。
グウェン
「(相変わらず凄まじい威力だ……)」
ヴェロールの唾液は〝猛毒〟であり、毒気を含んだ炎を吐き出すことが出来る。
『毒』と『火』。
この二つの性質を併せ持つ〝毒性の炎〟こそ、ヴェロール最大の武器だ。
ヴェロール
「な~るほどぉ……。おめぇがグウェンか? 確かに強えなぁ、おい……?」
グウェンが剣を構え、ヴェロールにじりじりと詰め寄った。
ヴェロール
「――おっと、動くなぁ。おめぇには〝アレ〟が見えねえのかぁ?」
そう言ってヴェロールが屋根の上を金棒で指した。
グウェンが屋根の上に視線を向けると、そこには――――
グウェン
「っ――⁉」
ネフィスが先ほどの親子を人質に取り、赤ん坊にナイフを突き付ける姿があった。
グウェン
「(ちっ、やはりグルか……)」
ネフィスは死んだ魚のような目をしており、グウェンと目を合わせようともしない。
グウェン
「ネフィス! ナイフを下ろせっ!」
ネフィス
「…………」
次の瞬間――――
ヴェロールがグウェンに向かって〝毒炎〟を吐き出し、グウェンはその場から大きく飛び退いた。
グウェン
「くっ――‼」
毒炎がグウェンの毛皮に燃え移り、彼は空中で毛皮を脱ぎ捨てた。
グウェンの素顔を目の当たりにしたヴェロールが二ヤリと笑みを浮かべる。
ヴェロール
「クックックッ……。やはりな……。そんなこったろうと思った……」
地面に着地したグウェンが素早く剣を構え直す。
ヴェロール
「久しぶりだなぁ――――〝アウル〟。最後の戦い以来だ」
がっしりとした筋肉質な体付き。
白と金が織り成す美しい体毛。
頭の左右から先の尖った縦長の耳が生えており、鼻の部分は犬のように細長く伸びている。
そう。
一匹狼の旅人にして凄腕の冒険者であるグウェンの正体は、人間ではなかったのだ。
世にも珍しい金色の毛並み持つ〝狼人族〟。
元魔王軍最強の剣士にして対魔族連合軍に最も恐れられた存在――――。
ネフィス
「『金狼のアウル』……。ヴェロールと肩を並べる元魔王軍最高幹部の一角……」
ネフィスが呆然とした表情でそう呟いた。
グウェンもヴェロールと同じく指名手配犯であり、その手配書は世界中に出回っている。
彼が羊の毛皮を被って生活していたのもそれが理由だった。
ヴェロール
「おめぇの〝裏切り〟のせいでオレ様は全てを失った。あのときの恨みを倍にして返させてもらうぜぇ」
ヴェロールが長い舌を伸ばしながらグウェンを挑発した。
するとグウェンが自身の身体能力を向上させる『肉体強化魔法』を発動させ、彼の全身に赤色のオーラが宿った。
ヴェロール
「おいおい、聞いてなかったのかぁ? オレ様は〝動くな〟と……、そう言ったんだぜぇ?」
赤ん坊が人質に取られている限り、グウェンはヴェロールに手出し出来ない。
しかし、グウェンは自分の置かれている状況を見た目ほどのピンチに感じてはいなかった。
グウェン
「ヴェロール。お前は頭は良いが、人を見る目がない」
ヴェロール
「あぁ……?」
グウェン
「お前はアイツが赤ん坊を殺せるような女に見えるのか?」
グウェンの言葉に一番驚いているのはネフィスだった。
彼女は自分の保身のために街の情報をヴェロールに流し、自分だけが助かる道を選んだ。
そのせいで【ウェストン】の街は危機に陥っている。
ヴェロールが鼻を鳴らし、グウェンの言葉をあざ笑った。
ヴェロール
「ネフィスはオレ様には逆らえない。――――一生な。例え逃げたとしても、オレ様はどこまでも追いかけるぜぇ」
ヴェロールがネフィスに釘を刺すように言い放った。
ネフィスは再び絶望した表情を浮かべ、ヴェロールが彼女に新たな指示を下した。
ヴェロール
「ネフィス! 母親の方を殺せっ!」
グウェン・ネフィス
「「っ――⁉」」
ヴェロール
「これは見せしめだ。人質は二人もいらん」
ネフィスが母親の方に顔を向け、母親は尻もちを着いて全身をガタガタ震わせた。
グウェン
「ネフィス‼」
グウェンが大声でネフィスに呼びかけ、彼女を自分の方に振り向かせる。
グウェン
「――――オレを信じろ」
ネフィス
「…………」
グウェン
「ヴェロールは必ずオレが倒す。お前は早くその親子を安全なところへ――‼」
グウェンがその場から勢いよく飛び出し、ヴェロールに斬りかかった。
ヴェロールは自身の巨体を大きく弾ませ、グウェンの攻撃をバックステップで回避した。
見た目のわりに意外とすばしっこい。
ヴェロール
「何をボサッとしてやがるっ⁉ さっさと母親を殺せっ‼」
ネフィス
「…………」
ネフィスの心は二つの選択肢の間で揺れ動いている。
同じ魔王軍の最高幹部同士、両者の実力に大きな差はない。
ならば単純に数が多い方が有利だ。
ヴェロールの指示に従えば、2対1で確実な勝利が得られる。
しかし、グウェンの指示通りに動けば、親子の安全を優先して動かなければならない。
この場合、グウェンとヴェロールが一騎打ちになるため、可能性は五分だ。
ヴェロールの恐ろしさはネフィス自身が一番よく知っている。
裏切ればタダでは済まない。
死より辛い苦しみを味合わされることになるだろう。
グウェン
《いい加減、諦めろ。お前に悪事は向いていない》
ネフィス
「…………」
グウェン
《ネフィス――――オレを信じろ》
グウェンの言葉がネフィスの脳裏によみがえる。
ネフィスはナイフを逆手に持ち替え、母親の前でゆっくりと跪いた。
ネフィス
「お母さん。この子はお母さんにお返しするッス。怖がらせてしまって、本当にすまなかったッス」
ヴェロール・母親
「「っ――――⁉」」
ネフィスは赤ん坊を母親に差し出し、母親は涙ながらに我が子を受け取った。
ヴェロール
「ネフィスッ‼ 貴様ぁっ――‼」
ヴェロールが怒りの矛先をネフィスに向ける。
その隙にグウェンが動いた。
グウェンが上段から剣を振り下ろし、ヴェロールがその攻撃を金棒で攻撃を防いだ。
両者の間で鍔迫り合いが行われ、二人は至近距離で睨み合う。
ヴェロール
「言ったはずだ。お前には人を見る目がないと」
ヴェロール
「このヒョロガリがぁぁっ――――‼」
ヴェロールがグウェンを上空に弾き飛ばし、グウェンは空中で体勢を入れ替えた。
地面に着地すると同時に横に跳び、ヴェロールが吐き出した毒炎を回避する。
ネフィス
「ダンナ! アタイはダンナの勝利に全額BETしたッス! ――――必ず勝ってください!」
ネフィスが腹を決めた表情でグウェンに言った。
グウェンは口元に笑みを浮かべ、ヴェロールに向かって剣を構え直す。
彼女は親子を連れて避難所に向かい、その場にはグウェンとヴェロールだけが残された。
実戦慣れしている冒険者たちが前線に立ち、治安部隊が住民たちの避難を優先的に動いている。
グウェン
「(奇襲を受けた割には被害が少ない……。役人が逸早く襲撃に気付いたのか……?)」
グウェンは逃げ遅れた住人が魔物に襲われている現場を目撃し、急いで救出に向かった。
住人を襲っているのは『ホブゴブリン』と呼ばれる亜人種のモンスターだ。
ホブゴブリンは『ゴブリン』の上位種であり、体は人間の成人男性より一回り大きく、力は人間のそれを遥かに上回っている。
ホブゴブリン
「グフフ……。人間ノ雌、逃ガサナイ……。足ヲ潰シデ連レ帰エル……」
ホブゴブリンが右手に持つ棍棒を振り上げた瞬間、グウェンの移動速度が急加速した。
白刃一閃。
グウェンは剣を抜き放つ同時にホブゴブリンの首を一撃で刎ね飛ばした。
ホブゴブリンの首が地面をゴロゴロと転がり、一拍置いてから体の方が横倒しに倒れていった。
グウェン
「大丈夫か?」
母親
「ひぃぃっ――!」
赤子を抱えた成人女性がグウェンの姿を見て悲鳴を上げた。
グウェン
「安心しろ。こんなナリだが、オレはれっきとした冒険者だ」
そう言ってグウェンは首から下げた登録証を女性に見せた。
グウェン
「避難所まで護衛する。……立てるか?」
女性はグウェンとホブゴブリンの死体を交互に見比べ、ゆっくりと頷いた。
赤ん坊が安心した笑顔でグウェンに両手を伸ばしている。
赤ん坊の母親である女性は、我が子の無邪気な反応を見て彼のことを信用すると決めた。
すると次の瞬間――――
グウェン
「っ――⁉」
グウェンは背後から迫りくる攻撃を察知し、親子を抱えて大きく跳躍した。
母親
「きゃあっ――!」
グウェンは建物の屋根の上に着地し、そこから地面を見下ろした。
彼は眉をひそめ、抱えていた親子を屋根の上におろした。
グウェン
「……ヴェロール」
グウェンの視線の先には、巨大な金棒を肩に担いだ体長3メートル級の魔族がいた。
毒々しい赤紫色の鱗。
左右の側頭部から生えた鋭い角。
ブヨブヨとした分厚い脂肪を腹回りに抱えている反面、肩回りの筋肉が異常なまでに発達している。
その魔族には足がなく、下半身は蛇の尻尾そのもの。
〝蛇鬼族〟の突然変異種にして元魔王軍の最高幹部が一人――――
『毒鬼のヴェロール』の姿が、そこにあった。
グウェンは屋根から飛び降りて地面に着地し、ヴェロールと向かい合った。
彼らがさっきまで立っていた場所には大穴が開き、地面がドロドロに溶かされている。
グウェン
「(相変わらず凄まじい威力だ……)」
ヴェロールの唾液は〝猛毒〟であり、毒気を含んだ炎を吐き出すことが出来る。
『毒』と『火』。
この二つの性質を併せ持つ〝毒性の炎〟こそ、ヴェロール最大の武器だ。
ヴェロール
「な~るほどぉ……。おめぇがグウェンか? 確かに強えなぁ、おい……?」
グウェンが剣を構え、ヴェロールにじりじりと詰め寄った。
ヴェロール
「――おっと、動くなぁ。おめぇには〝アレ〟が見えねえのかぁ?」
そう言ってヴェロールが屋根の上を金棒で指した。
グウェンが屋根の上に視線を向けると、そこには――――
グウェン
「っ――⁉」
ネフィスが先ほどの親子を人質に取り、赤ん坊にナイフを突き付ける姿があった。
グウェン
「(ちっ、やはりグルか……)」
ネフィスは死んだ魚のような目をしており、グウェンと目を合わせようともしない。
グウェン
「ネフィス! ナイフを下ろせっ!」
ネフィス
「…………」
次の瞬間――――
ヴェロールがグウェンに向かって〝毒炎〟を吐き出し、グウェンはその場から大きく飛び退いた。
グウェン
「くっ――‼」
毒炎がグウェンの毛皮に燃え移り、彼は空中で毛皮を脱ぎ捨てた。
グウェンの素顔を目の当たりにしたヴェロールが二ヤリと笑みを浮かべる。
ヴェロール
「クックックッ……。やはりな……。そんなこったろうと思った……」
地面に着地したグウェンが素早く剣を構え直す。
ヴェロール
「久しぶりだなぁ――――〝アウル〟。最後の戦い以来だ」
がっしりとした筋肉質な体付き。
白と金が織り成す美しい体毛。
頭の左右から先の尖った縦長の耳が生えており、鼻の部分は犬のように細長く伸びている。
そう。
一匹狼の旅人にして凄腕の冒険者であるグウェンの正体は、人間ではなかったのだ。
世にも珍しい金色の毛並み持つ〝狼人族〟。
元魔王軍最強の剣士にして対魔族連合軍に最も恐れられた存在――――。
ネフィス
「『金狼のアウル』……。ヴェロールと肩を並べる元魔王軍最高幹部の一角……」
ネフィスが呆然とした表情でそう呟いた。
グウェンもヴェロールと同じく指名手配犯であり、その手配書は世界中に出回っている。
彼が羊の毛皮を被って生活していたのもそれが理由だった。
ヴェロール
「おめぇの〝裏切り〟のせいでオレ様は全てを失った。あのときの恨みを倍にして返させてもらうぜぇ」
ヴェロールが長い舌を伸ばしながらグウェンを挑発した。
するとグウェンが自身の身体能力を向上させる『肉体強化魔法』を発動させ、彼の全身に赤色のオーラが宿った。
ヴェロール
「おいおい、聞いてなかったのかぁ? オレ様は〝動くな〟と……、そう言ったんだぜぇ?」
赤ん坊が人質に取られている限り、グウェンはヴェロールに手出し出来ない。
しかし、グウェンは自分の置かれている状況を見た目ほどのピンチに感じてはいなかった。
グウェン
「ヴェロール。お前は頭は良いが、人を見る目がない」
ヴェロール
「あぁ……?」
グウェン
「お前はアイツが赤ん坊を殺せるような女に見えるのか?」
グウェンの言葉に一番驚いているのはネフィスだった。
彼女は自分の保身のために街の情報をヴェロールに流し、自分だけが助かる道を選んだ。
そのせいで【ウェストン】の街は危機に陥っている。
ヴェロールが鼻を鳴らし、グウェンの言葉をあざ笑った。
ヴェロール
「ネフィスはオレ様には逆らえない。――――一生な。例え逃げたとしても、オレ様はどこまでも追いかけるぜぇ」
ヴェロールがネフィスに釘を刺すように言い放った。
ネフィスは再び絶望した表情を浮かべ、ヴェロールが彼女に新たな指示を下した。
ヴェロール
「ネフィス! 母親の方を殺せっ!」
グウェン・ネフィス
「「っ――⁉」」
ヴェロール
「これは見せしめだ。人質は二人もいらん」
ネフィスが母親の方に顔を向け、母親は尻もちを着いて全身をガタガタ震わせた。
グウェン
「ネフィス‼」
グウェンが大声でネフィスに呼びかけ、彼女を自分の方に振り向かせる。
グウェン
「――――オレを信じろ」
ネフィス
「…………」
グウェン
「ヴェロールは必ずオレが倒す。お前は早くその親子を安全なところへ――‼」
グウェンがその場から勢いよく飛び出し、ヴェロールに斬りかかった。
ヴェロールは自身の巨体を大きく弾ませ、グウェンの攻撃をバックステップで回避した。
見た目のわりに意外とすばしっこい。
ヴェロール
「何をボサッとしてやがるっ⁉ さっさと母親を殺せっ‼」
ネフィス
「…………」
ネフィスの心は二つの選択肢の間で揺れ動いている。
同じ魔王軍の最高幹部同士、両者の実力に大きな差はない。
ならば単純に数が多い方が有利だ。
ヴェロールの指示に従えば、2対1で確実な勝利が得られる。
しかし、グウェンの指示通りに動けば、親子の安全を優先して動かなければならない。
この場合、グウェンとヴェロールが一騎打ちになるため、可能性は五分だ。
ヴェロールの恐ろしさはネフィス自身が一番よく知っている。
裏切ればタダでは済まない。
死より辛い苦しみを味合わされることになるだろう。
グウェン
《いい加減、諦めろ。お前に悪事は向いていない》
ネフィス
「…………」
グウェン
《ネフィス――――オレを信じろ》
グウェンの言葉がネフィスの脳裏によみがえる。
ネフィスはナイフを逆手に持ち替え、母親の前でゆっくりと跪いた。
ネフィス
「お母さん。この子はお母さんにお返しするッス。怖がらせてしまって、本当にすまなかったッス」
ヴェロール・母親
「「っ――――⁉」」
ネフィスは赤ん坊を母親に差し出し、母親は涙ながらに我が子を受け取った。
ヴェロール
「ネフィスッ‼ 貴様ぁっ――‼」
ヴェロールが怒りの矛先をネフィスに向ける。
その隙にグウェンが動いた。
グウェンが上段から剣を振り下ろし、ヴェロールがその攻撃を金棒で攻撃を防いだ。
両者の間で鍔迫り合いが行われ、二人は至近距離で睨み合う。
ヴェロール
「言ったはずだ。お前には人を見る目がないと」
ヴェロール
「このヒョロガリがぁぁっ――――‼」
ヴェロールがグウェンを上空に弾き飛ばし、グウェンは空中で体勢を入れ替えた。
地面に着地すると同時に横に跳び、ヴェロールが吐き出した毒炎を回避する。
ネフィス
「ダンナ! アタイはダンナの勝利に全額BETしたッス! ――――必ず勝ってください!」
ネフィスが腹を決めた表情でグウェンに言った。
グウェンは口元に笑みを浮かべ、ヴェロールに向かって剣を構え直す。
彼女は親子を連れて避難所に向かい、その場にはグウェンとヴェロールだけが残された。
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