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凍て付いた空気が容赦なく首筋から入り込んで来る。痛みにも似た冷たい刺激に、少年は身震いした。幸いにして羽毛で出来た布団は分厚く、下半身はぽかぽかと温かい。
冷気を遮断するように、頭まで布団を被る。そうすると、今度は頭の先まで火照る程に暑くなり、再び顔を覗かせる。冷え冷えとした空気がつんと鼻の奥に留まり、流れ込んだ肺を震わせた。
それを繰り返し、繰り返し、気付けば空が白み始める。のろのろと布団から顔を出し、少年は身震いをした。ノルデュール領に、冬がやって来たのだ。
「……ですから、自分が火の番をすれば良いのでは」
「ばーか、そしたらお前はいつ寝るんだよ、ゴルドー」
暖炉の前でガウンに包まり、少年は後ろも見ず自らの護衛に告げる。北方の冬が寒いのは当然であるが、それにしても寒いものは寒い。
ヴァルグリム砦の中核にある居城は、石造りが故に底冷えが酷い。城の中心部では夜通し暖炉に火を炊き、通気口で各所へ送る。そうした北方特有の機構が誂えられているらしいが、最上階の隅にある少年の部屋には全く恩恵がなかった。
ぱちぱちと爆ぜる暖炉の火の前で手を擦る少年の前に、すっと器が差し出される。並々とスープの接がれた器の温かさに、ほう、と少年は息を吐いた。
豆と芋を塩で味付けした、実に質素な汁物であるが、少年は構わず掻き込む。孤児院の硬いパンだろうが神殿の質素な食事だろうが王宮での豪華なフルコースだろうが、少年には関係ない。腹さえ満たされればぞれで良かった。
「っあー、さっみぃ……」
温かかったスープは外気により直ぐに冷め、臓腑までをも温めてはくれなかった。確かに一晩中火が落ちなければ、寒さも食事の温かさも解決する。とはいえゴルドーの提案には乗れない。夜通し暖炉の番をさせるのは、流石に護衛の仕事とは言えないだろう。第一、誰かが部屋にいては安眠が出来ないではないか。孤児院暮らしで雑魚寝には慣れているが、それを快く思ったことなど一度もない。折角、聖女になって一人寝を堪能出来るようになったのだ。手放す気は更々なかった。
ふと、夫たる人物の顔が浮かび、少年は軽く咽せそうになった。夫とは名ばかりの、このノルデュール領の領主である。辺境伯たるレオニード・カヴェーリンは、結婚して以来、少年と褥を共にしたことはなかった。
元々男色の気がある訳でもないのだろう――それは少年とてそうであったが、己の容貌が欲情の対象と成り得ることを知っている。
だからそうした役割も求められるのだろうと。そう、思っていたのだが。
「……大丈夫ですか」
横から差し出された水を、一気に飲み干す。喉に流れ込む冷たさに、また少しだけ、咽せた。
(……何であいつ、あそこで思い留まったんだろ……)
水滴のついた唇を指先でなぞる。艶やかなそこに、触れかけた顔の近さを思い出す。整った鼻梁、消えることのない深い眉間の皺、夜の深淵のような漆黒の瞳。
確かにあの時、レオニードは苛立ちから欲情していた。それなのに思い留まった。机に頭を打ち付け己の欲望を抑えた男を思い出し、少年の口角が知らず持ち上がる。あれは余りにもおかしかった。
もうあれは半年程前のことになるのか。それ以来、名ばかりの夫は少年に欲望の欠片も見せようとはしない。それにほっとしている自分の中に、何処か釈然としない思いが眠っているのは、気付かなかったことにしたい。
そうした行為を嫌悪して来た筈だった。それなのに、求められないと己に価値がないような気がしてしまう。
否、求められてはいるのだ。聖女としてこの地でやるべきことは決して少なくはない。だがそれは飽く迄〝聖女〟としての少年だ。それが大聖女だろうが第二聖女だろうが、それともこの先新たに見出される聖女だろうが、誰でも良い。少年でなくとも、誰でも良いのだから。
自らの思考に少年はうんざりする。あれ程聖女としての役割も、性の対象とされることも、忌避していたというのに。
洒落臭い。残ったスープを喉に流し込むと、少年はすくっと立ち上がった。
「ゴルドー! 今日の予定は?!」
「……本日は森林の哨戒に同行するのでは」
「そうだな、薪の確保は死活問題だ! 着替える!」
何かを誤魔化すように声を上げ、少年は颯爽と支度を始める。誤魔化しきれない己の心に蓋をするように、厚い上着で身を覆った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
背の高い木々は真冬でも葉を落とさない。
霜の降りた葉が鼻先を掠め、少年は小さくくしゃみをした。がっしりとした馬は少年の身動ぎに動ずることなく、悠々と森の中を歩く。
吐いた息は白く、木々の葉も白い。こんなに寒いのに、この地域では殆ど雪が降ることはないという。それが少年には不思議だった。
王都でも真冬になればちらちらと雪が舞い、時折積もると大人は辟易し子供は喜んで駆け回る。しかしこのノルデュール領では険しく聳える山脈が季節風を遮断し、滅多に雪が降ることはないそうだ。
寒いのを得手としない少年にとっては、特段雪は待ち望むべきものでもない。この地にとってもまた、雪害がないことは幸甚なのだろう。
「……そんな軽装で、哨戒について来るなんて、全くお気楽な聖女様だな!」
横合いから馬上のマルクがぐちぐちと文句を言って来る。まるっと聞き流しながら、少年は首筋を毛皮に埋めた。兎に似た魔獣の毛皮で作られたファーは、寒さに強く柔らかい。こうした魔獣の加工品も北領の特産物であり、貴重な資源でもあった。
その恩恵にぬくぬくと包まりながら馬を歩ませる少年に、傍らからマルクが突っかかって来る。
「大体、哨戒に聖女が付いて来たら警戒する意味なくなるじゃないか……魔獣も出なくなるしよ」
「何だよ、出て欲しいのかよ。とんだ戦闘狂だな」
面倒臭くて適当にあしらう。青筋を立てたマルクが尚も言い募って来ようとするのを、前を行くセルゲイの咳払いが止めた。
「いい加減にしろ、マルク。任務中に騒ぐな、聖女様がいらっしゃるからと弛み過ぎだ」
「でも、隊長!」
「でもも糸瓜もない、聖女様が居ようが居まいが同じ動きをする、それが我らの任務だ。違うか?」
冷静な老練の騎士の言葉に、マルクは渋々頷く。そーだそーだ、と追従しようかとも思ったが、また逆上されては面倒なので、少年は大人しく口を噤んだ。
本日の哨戒に当たるのは、セルゲイを隊長とした一部隊である。人数は十人程、跨がる騎馬は寒さに強い大柄で黒毛の品種だ。
周囲を警戒する騎馬の中心で、少年は悠々と馬を闊歩させる。青鹿毛の牝馬は昨年の秋に生まれた若馬で、丁度乗り手を探している所だった。どうやらマルクが狙っていたらしいが、それを横取りした形となったので、より一層反感を買うことになったらしい。知るか、と少年は思う。だって厩舎に赴いた時に、異様に懐いて来たのはこの馬の方なのだ。選ばれた少年に罪はない。
この偵察任務において、少年が果たす役割は然程ない。元々任務を与えられた訳ではなく、少年が勝手に付いて来た形となる。
あの日、――この地に訪れ次々と負傷者を癒したあの日以来、ヴァルグリム砦の者たちにとって少年の存在は複雑なものとなっていた。
王都でぬくぬくと過ごして来た淫乱聖女に思う所はあれども、あれだけの奇跡を見せられては無碍に出来ない。疎ましいが有用だ。そうした思惑が辺境伯を中心に広まり、少年の存在は酷く宙ぶらりんとなっていた。
少年がノルデュール領に来て以降、魔獣の被害は減っている。聖女の祈りが魔を遠ざけるというは本当のようで、癒しを必要とする程の怪我人はめっきり減っていた。とはいえ、少年が大聖女のように朝から晩まで神殿で祈祷など殊勝なことをする訳ではない。朝起きて、部屋で一祈り。それでも被害が減るのであれば、聖女の存在そのものが魔を遠ざけるということなのだろう。少年がこの地に居る意味は、それだけで大いにある。
とはいえ置物になるのは御免だった。我ながら面倒臭い、聖女として扱われるのは癪な癖に、聖女として扱われないのも癪なのだ。
それで、少年は今日も勝手に哨戒について来た。聖女の気配を察すると、どうやら魔獣は近くに寄って来ないらしい。怪我人が増えないことは少年の仕事を減らすことにもなる。だからこうして哨戒に付き合うのも、立派な少年の仕事の一環なのだ。決して暇潰しだけが目的ではない。断じて。
不意に、戦闘を行くセルゲイの馬が嘶いた。さっと手を挙げるセルゲイに従い、隊列は静止した。
少年もまた馬を止める。若馬は落ち着かなげに足を踏み鳴らした。
凍てた空気の合間を緊迫が走り抜ける。がさりと茂みが揺れ、周囲の騎士たちが剣の柄に手を掛けた。
低い唸り声と共に低い茂みの中から獣の鼻先が覗く。狼に似た姿であるが、葉の合間に光る紅い瞳は魔獣特有のものだ。
唸りながら飛びかかって来る獣は、即座にセルゲイに斬り捨てられた。
「……何だよ、聖女様の威光もこんなもんか」
マルクに毒づかれるが、そんなことを言われても少年にどうこう出来るものでもない。言い争いをしている場合ではないので、少年は鼻を鳴らし馬の首筋を撫でた。
馬を落ち着かせている先で、剣の血糊を振り払ったセルゲイが怪訝そうに首を傾げる。
「妙だな……こいつらは群れで襲って来るのが常だが……」
伏した獣は唇から泡を吹き、血走った目を見開いて絶命している。恐慌状態にあったことは間違いなく、群れからはぐれたにしては異様なその姿に、隊列がさざめいた時だった。
頭上から羽ばたきが聞こえた。未だ遠く重い音に背筋が粟立つ。
響く咆哮に馬たちは怯え制御が利かなくなる。少年の乗る若馬は完全に落ち着きをなくし、頻りに足踏みを繰り返す。振り落とされないようにしがみつく少年の背を、強い風が薙いだ。
「……っ聖女様! こちらへ!」
流石にセルゲイの乗る軍馬は強く、主の命に忠実に従い旋回する。促されるままに馬を繰ろうとする少年の軽い身は、しかし吹き付ける風に煽られ容易く傾いだ。
「ぅ、わ……っと、あぶね……っ」
不格好に落馬した少年は、右往左往する隊列に踏まれそうになり、慌てて地面を転がる。木の根に躓きかけ、巨木の幹にぶつかるようにして凭れかかる。その頭上から、激しい羽ばたきが吹き付けた。
ばさ、ばさと重い羽音に相手の体躯の大きさを知る。甲高く咆哮する赤黒い巨躯が、ゆっくりと、木々を薙ぎ倒し舞い降りた。
――赤竜だ。
知覚するより先に、三度轟いた咆哮が少年の身体に叩きつけられる。近い。大きく開いたぬめる口腔から漂う臭気が身を包んだ。一本一本が少年の拳程もある牙から、滴る涎と黒々とこびり付いた血痕に怖気が走る。確実な死の臭いが、そこにはあった。
(っは、これが、赤竜……こんな化け物と戦ってんのかよ、こいつら)
少年の口から乾いた笑いが漏れる。大柄なこの地域の馬の、更に五倍はあろうかという体躯に、広げた翼は小さな家の屋根にも匹敵する。赤黒い鱗の下、爛々と光る紅い目が、燃えるように少年を睨み付けていた。
これ程に純粋な殺気を、少年は知らない。
若馬はちゃんと逃げられただろうか。踏み潰されてはいないだろうか。名前も付けてやらなかった青鹿毛の、優しげな目元が少年は好きだった。名前は付けなかったのではない。付けられなかった。己の名すら持たない少年が、名を与えるなど出来る筈もない。
竜が吼える。びりびりと全身を貫く音圧に、少年は木の幹に縫いつけられた。もう直ぐそこに、ほんの少し竜が首を伸ばせば、その牙は容易く少年を噛み砕くだろう。
聖女の力など何の意味も為さない。明確な死がそこにはあり、それはいっそ、聖女という存在を許さないとでも言うような、刺すような殺意だった。
笑える。これが死か。身を包む諦念はいっそ清々しい程で、圧倒的な力の前には聖女の奇跡など何の意味もないと知る。
爬虫類特有の縦に長い瞳孔が、ぬめる粘膜の向こう僅か見開かれる。笑っているのだ。知覚した瞬間、背筋を怖気が走った。
思わずぎゅうと目を閉じる。近付く腐臭が身を包んだ。
「――――っ撃て!!」
凛とした声は竜の唸りよりも遙かに明瞭に、少年の耳に届いた。
はっと目を開く先、激しい発砲音と共に竜の巨躯が傾ぐ。弾着した翼は傷付き、煙を上げる。
硝煙が立ち込める中、煤黒の甲冑が、視界に飛び込んで来た。
「……レオニード」
思わずその名を呟く。初めて呼ばわるその名に、振り返った漆黒の瞳が僅か見開かれる。直ぐに反らされた眼光は赤竜を睨み、手にした筒銃を敵に向けた。
「散開しろ! 一カ所に留まるな、焼かれるぞ!」
怒鳴る声に応じて、黒衣の騎馬が竜の周りを取り囲む。手に持った筒で発砲し、赤竜を威嚇射撃したのだろう。少年には馴染みのない、小銃よりも長く太い筒だ。
「第一部隊は右翼へ回れ! 第二は後方、尾に気を付けろ!!」
端的な号令に応じ馬を駆るのは、王都へ向かった行軍の中に居た者たちだ。つまりは領主の直属、騎士団の精鋭である。片腕の者、顔面に傷跡の残る者、先の戦いで傷を負って尚、果敢に竜に立ち向かって行く。
何故、そこまでして。少年は木の幹に縋るように立ち上がった。煤黒の甲冑が視界を遮る。まるで赤竜から護るように。
「……レオ、」
「セルゲイ! 無事か?!」
「っは、此処に」
「聖女を安全な処へ!」
呼び掛けた身を掬い上げられる。否を告げる間もなく頑強な軍馬に少年の身は軽々と乗せられ、翻る背後で竜の雄叫びが響いた。
セルゲイの手前、馬にしがみつくように跨がった少年が振り返る先、吼える赤竜は周囲の猛攻も物ともせず、一目散に少年の方へ向かって来る。
「モテモテですな、聖女様」
「野郎にモテても嬉しかねーよ」
「……あれは牝です」
「っげぇ、発情期かよ!」
馬上で舌を噛みそうになりながらも、ついつい軽口が出る。命の危機に瀕している時にいっそ笑えて来るのは何故だろう。
眼前に迫る木々の合間を猛速で馬は駆け抜ける。だが背後からバキバキと木を踏み倒し追って来る竜の速さには敵わない。
背中に熱量を感じる。赤竜が吐かんとしている炎が、今やもう、避けようもない程間近に迫っている。
「……聖女様、舌を噛まれませんよう」
不意にセルゲイの言葉と共に、身体が投げ出される。丁度森の出口、木々の合間から放り出された少年は、ごろごろと明るい平野を転がった。遠く裾野にヴァルグリム砦の堅牢な門が見える。少年を振り落とした馬は遠くに駆け去り、セルゲイもまた少年と同じように草まみれになりながら地面を転がっていた。
何が、顔を上げかけた少年の耳に、馴染んだ怒声が届く。
「――伏せろ!!」
反射的に地面に伏す少年の頭上、轟音が鳴り響いた。
耳の奥がきんきんと痛む。激しい爆発音が背中を襲い、少年は地面に這い蹲っていた。じんわりと湿った冷たさが触れた土から這い上って来る。
「っ痛ぇ……何なんだよ……」
腕を擦りながら、少年は半身を起こす。投げ出された時に出来た擦過傷が全身を苛んでいる。無論、竜に噛み付かれるよりは俄然軽傷だ。軽傷ではあるが、痛みが消える訳ではない。
振り返る先、森の切れ目から顔を覗かせた赤竜が、その巨躯を横たえている。左の眼窩は窪み、どす黒い血を滴らせていた。
抉られた皮膚から立ち昇る硝煙が、その衝撃の強さを物語っている。砲撃だ。砦から放たれた砲弾が、赤竜の左目に着弾したのだろう。
少年はよろよろと立ち上がった。堅固な鱗が砕かれ、現れた肉色の肌の下で青黒い血管が浮き出ている。それ程に肉薄していたのだと思うと、改めて背筋が凍る思いがした。
森の方から黒鎧の騎士たちが馬で駆けて来る。その先頭の漆黒は、未だ手に筒銃を携えながら、妙に焦ったように馬を駆る。止めでも刺すつもりか。その口が開かれ、何かを叫ぼうとし、逡巡する。
「――――っ」
何事かと訝しく首を傾げる少年の前で、不意に、真っ赤な右目が開かれた。
(あ、やっべ……)
縦長の瞳孔が確かに、少年を捉えた。窮地にある赤竜は危難を逃れようと、激しい咆哮を放つ。風圧に少年はよろめき、駆け寄る黒馬らも足を止めた。吼え猛る竜の羽ばたきが身体を打つ。
「っ聖女!!」
呼ばわる声は己の名だと暫し認識が出来ない。一拍後、飛び上がった赤竜の棘の生えた尻尾が、少年の身を薙いだ。
冷気を遮断するように、頭まで布団を被る。そうすると、今度は頭の先まで火照る程に暑くなり、再び顔を覗かせる。冷え冷えとした空気がつんと鼻の奥に留まり、流れ込んだ肺を震わせた。
それを繰り返し、繰り返し、気付けば空が白み始める。のろのろと布団から顔を出し、少年は身震いをした。ノルデュール領に、冬がやって来たのだ。
「……ですから、自分が火の番をすれば良いのでは」
「ばーか、そしたらお前はいつ寝るんだよ、ゴルドー」
暖炉の前でガウンに包まり、少年は後ろも見ず自らの護衛に告げる。北方の冬が寒いのは当然であるが、それにしても寒いものは寒い。
ヴァルグリム砦の中核にある居城は、石造りが故に底冷えが酷い。城の中心部では夜通し暖炉に火を炊き、通気口で各所へ送る。そうした北方特有の機構が誂えられているらしいが、最上階の隅にある少年の部屋には全く恩恵がなかった。
ぱちぱちと爆ぜる暖炉の火の前で手を擦る少年の前に、すっと器が差し出される。並々とスープの接がれた器の温かさに、ほう、と少年は息を吐いた。
豆と芋を塩で味付けした、実に質素な汁物であるが、少年は構わず掻き込む。孤児院の硬いパンだろうが神殿の質素な食事だろうが王宮での豪華なフルコースだろうが、少年には関係ない。腹さえ満たされればぞれで良かった。
「っあー、さっみぃ……」
温かかったスープは外気により直ぐに冷め、臓腑までをも温めてはくれなかった。確かに一晩中火が落ちなければ、寒さも食事の温かさも解決する。とはいえゴルドーの提案には乗れない。夜通し暖炉の番をさせるのは、流石に護衛の仕事とは言えないだろう。第一、誰かが部屋にいては安眠が出来ないではないか。孤児院暮らしで雑魚寝には慣れているが、それを快く思ったことなど一度もない。折角、聖女になって一人寝を堪能出来るようになったのだ。手放す気は更々なかった。
ふと、夫たる人物の顔が浮かび、少年は軽く咽せそうになった。夫とは名ばかりの、このノルデュール領の領主である。辺境伯たるレオニード・カヴェーリンは、結婚して以来、少年と褥を共にしたことはなかった。
元々男色の気がある訳でもないのだろう――それは少年とてそうであったが、己の容貌が欲情の対象と成り得ることを知っている。
だからそうした役割も求められるのだろうと。そう、思っていたのだが。
「……大丈夫ですか」
横から差し出された水を、一気に飲み干す。喉に流れ込む冷たさに、また少しだけ、咽せた。
(……何であいつ、あそこで思い留まったんだろ……)
水滴のついた唇を指先でなぞる。艶やかなそこに、触れかけた顔の近さを思い出す。整った鼻梁、消えることのない深い眉間の皺、夜の深淵のような漆黒の瞳。
確かにあの時、レオニードは苛立ちから欲情していた。それなのに思い留まった。机に頭を打ち付け己の欲望を抑えた男を思い出し、少年の口角が知らず持ち上がる。あれは余りにもおかしかった。
もうあれは半年程前のことになるのか。それ以来、名ばかりの夫は少年に欲望の欠片も見せようとはしない。それにほっとしている自分の中に、何処か釈然としない思いが眠っているのは、気付かなかったことにしたい。
そうした行為を嫌悪して来た筈だった。それなのに、求められないと己に価値がないような気がしてしまう。
否、求められてはいるのだ。聖女としてこの地でやるべきことは決して少なくはない。だがそれは飽く迄〝聖女〟としての少年だ。それが大聖女だろうが第二聖女だろうが、それともこの先新たに見出される聖女だろうが、誰でも良い。少年でなくとも、誰でも良いのだから。
自らの思考に少年はうんざりする。あれ程聖女としての役割も、性の対象とされることも、忌避していたというのに。
洒落臭い。残ったスープを喉に流し込むと、少年はすくっと立ち上がった。
「ゴルドー! 今日の予定は?!」
「……本日は森林の哨戒に同行するのでは」
「そうだな、薪の確保は死活問題だ! 着替える!」
何かを誤魔化すように声を上げ、少年は颯爽と支度を始める。誤魔化しきれない己の心に蓋をするように、厚い上着で身を覆った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
背の高い木々は真冬でも葉を落とさない。
霜の降りた葉が鼻先を掠め、少年は小さくくしゃみをした。がっしりとした馬は少年の身動ぎに動ずることなく、悠々と森の中を歩く。
吐いた息は白く、木々の葉も白い。こんなに寒いのに、この地域では殆ど雪が降ることはないという。それが少年には不思議だった。
王都でも真冬になればちらちらと雪が舞い、時折積もると大人は辟易し子供は喜んで駆け回る。しかしこのノルデュール領では険しく聳える山脈が季節風を遮断し、滅多に雪が降ることはないそうだ。
寒いのを得手としない少年にとっては、特段雪は待ち望むべきものでもない。この地にとってもまた、雪害がないことは幸甚なのだろう。
「……そんな軽装で、哨戒について来るなんて、全くお気楽な聖女様だな!」
横合いから馬上のマルクがぐちぐちと文句を言って来る。まるっと聞き流しながら、少年は首筋を毛皮に埋めた。兎に似た魔獣の毛皮で作られたファーは、寒さに強く柔らかい。こうした魔獣の加工品も北領の特産物であり、貴重な資源でもあった。
その恩恵にぬくぬくと包まりながら馬を歩ませる少年に、傍らからマルクが突っかかって来る。
「大体、哨戒に聖女が付いて来たら警戒する意味なくなるじゃないか……魔獣も出なくなるしよ」
「何だよ、出て欲しいのかよ。とんだ戦闘狂だな」
面倒臭くて適当にあしらう。青筋を立てたマルクが尚も言い募って来ようとするのを、前を行くセルゲイの咳払いが止めた。
「いい加減にしろ、マルク。任務中に騒ぐな、聖女様がいらっしゃるからと弛み過ぎだ」
「でも、隊長!」
「でもも糸瓜もない、聖女様が居ようが居まいが同じ動きをする、それが我らの任務だ。違うか?」
冷静な老練の騎士の言葉に、マルクは渋々頷く。そーだそーだ、と追従しようかとも思ったが、また逆上されては面倒なので、少年は大人しく口を噤んだ。
本日の哨戒に当たるのは、セルゲイを隊長とした一部隊である。人数は十人程、跨がる騎馬は寒さに強い大柄で黒毛の品種だ。
周囲を警戒する騎馬の中心で、少年は悠々と馬を闊歩させる。青鹿毛の牝馬は昨年の秋に生まれた若馬で、丁度乗り手を探している所だった。どうやらマルクが狙っていたらしいが、それを横取りした形となったので、より一層反感を買うことになったらしい。知るか、と少年は思う。だって厩舎に赴いた時に、異様に懐いて来たのはこの馬の方なのだ。選ばれた少年に罪はない。
この偵察任務において、少年が果たす役割は然程ない。元々任務を与えられた訳ではなく、少年が勝手に付いて来た形となる。
あの日、――この地に訪れ次々と負傷者を癒したあの日以来、ヴァルグリム砦の者たちにとって少年の存在は複雑なものとなっていた。
王都でぬくぬくと過ごして来た淫乱聖女に思う所はあれども、あれだけの奇跡を見せられては無碍に出来ない。疎ましいが有用だ。そうした思惑が辺境伯を中心に広まり、少年の存在は酷く宙ぶらりんとなっていた。
少年がノルデュール領に来て以降、魔獣の被害は減っている。聖女の祈りが魔を遠ざけるというは本当のようで、癒しを必要とする程の怪我人はめっきり減っていた。とはいえ、少年が大聖女のように朝から晩まで神殿で祈祷など殊勝なことをする訳ではない。朝起きて、部屋で一祈り。それでも被害が減るのであれば、聖女の存在そのものが魔を遠ざけるということなのだろう。少年がこの地に居る意味は、それだけで大いにある。
とはいえ置物になるのは御免だった。我ながら面倒臭い、聖女として扱われるのは癪な癖に、聖女として扱われないのも癪なのだ。
それで、少年は今日も勝手に哨戒について来た。聖女の気配を察すると、どうやら魔獣は近くに寄って来ないらしい。怪我人が増えないことは少年の仕事を減らすことにもなる。だからこうして哨戒に付き合うのも、立派な少年の仕事の一環なのだ。決して暇潰しだけが目的ではない。断じて。
不意に、戦闘を行くセルゲイの馬が嘶いた。さっと手を挙げるセルゲイに従い、隊列は静止した。
少年もまた馬を止める。若馬は落ち着かなげに足を踏み鳴らした。
凍てた空気の合間を緊迫が走り抜ける。がさりと茂みが揺れ、周囲の騎士たちが剣の柄に手を掛けた。
低い唸り声と共に低い茂みの中から獣の鼻先が覗く。狼に似た姿であるが、葉の合間に光る紅い瞳は魔獣特有のものだ。
唸りながら飛びかかって来る獣は、即座にセルゲイに斬り捨てられた。
「……何だよ、聖女様の威光もこんなもんか」
マルクに毒づかれるが、そんなことを言われても少年にどうこう出来るものでもない。言い争いをしている場合ではないので、少年は鼻を鳴らし馬の首筋を撫でた。
馬を落ち着かせている先で、剣の血糊を振り払ったセルゲイが怪訝そうに首を傾げる。
「妙だな……こいつらは群れで襲って来るのが常だが……」
伏した獣は唇から泡を吹き、血走った目を見開いて絶命している。恐慌状態にあったことは間違いなく、群れからはぐれたにしては異様なその姿に、隊列がさざめいた時だった。
頭上から羽ばたきが聞こえた。未だ遠く重い音に背筋が粟立つ。
響く咆哮に馬たちは怯え制御が利かなくなる。少年の乗る若馬は完全に落ち着きをなくし、頻りに足踏みを繰り返す。振り落とされないようにしがみつく少年の背を、強い風が薙いだ。
「……っ聖女様! こちらへ!」
流石にセルゲイの乗る軍馬は強く、主の命に忠実に従い旋回する。促されるままに馬を繰ろうとする少年の軽い身は、しかし吹き付ける風に煽られ容易く傾いだ。
「ぅ、わ……っと、あぶね……っ」
不格好に落馬した少年は、右往左往する隊列に踏まれそうになり、慌てて地面を転がる。木の根に躓きかけ、巨木の幹にぶつかるようにして凭れかかる。その頭上から、激しい羽ばたきが吹き付けた。
ばさ、ばさと重い羽音に相手の体躯の大きさを知る。甲高く咆哮する赤黒い巨躯が、ゆっくりと、木々を薙ぎ倒し舞い降りた。
――赤竜だ。
知覚するより先に、三度轟いた咆哮が少年の身体に叩きつけられる。近い。大きく開いたぬめる口腔から漂う臭気が身を包んだ。一本一本が少年の拳程もある牙から、滴る涎と黒々とこびり付いた血痕に怖気が走る。確実な死の臭いが、そこにはあった。
(っは、これが、赤竜……こんな化け物と戦ってんのかよ、こいつら)
少年の口から乾いた笑いが漏れる。大柄なこの地域の馬の、更に五倍はあろうかという体躯に、広げた翼は小さな家の屋根にも匹敵する。赤黒い鱗の下、爛々と光る紅い目が、燃えるように少年を睨み付けていた。
これ程に純粋な殺気を、少年は知らない。
若馬はちゃんと逃げられただろうか。踏み潰されてはいないだろうか。名前も付けてやらなかった青鹿毛の、優しげな目元が少年は好きだった。名前は付けなかったのではない。付けられなかった。己の名すら持たない少年が、名を与えるなど出来る筈もない。
竜が吼える。びりびりと全身を貫く音圧に、少年は木の幹に縫いつけられた。もう直ぐそこに、ほんの少し竜が首を伸ばせば、その牙は容易く少年を噛み砕くだろう。
聖女の力など何の意味も為さない。明確な死がそこにはあり、それはいっそ、聖女という存在を許さないとでも言うような、刺すような殺意だった。
笑える。これが死か。身を包む諦念はいっそ清々しい程で、圧倒的な力の前には聖女の奇跡など何の意味もないと知る。
爬虫類特有の縦に長い瞳孔が、ぬめる粘膜の向こう僅か見開かれる。笑っているのだ。知覚した瞬間、背筋を怖気が走った。
思わずぎゅうと目を閉じる。近付く腐臭が身を包んだ。
「――――っ撃て!!」
凛とした声は竜の唸りよりも遙かに明瞭に、少年の耳に届いた。
はっと目を開く先、激しい発砲音と共に竜の巨躯が傾ぐ。弾着した翼は傷付き、煙を上げる。
硝煙が立ち込める中、煤黒の甲冑が、視界に飛び込んで来た。
「……レオニード」
思わずその名を呟く。初めて呼ばわるその名に、振り返った漆黒の瞳が僅か見開かれる。直ぐに反らされた眼光は赤竜を睨み、手にした筒銃を敵に向けた。
「散開しろ! 一カ所に留まるな、焼かれるぞ!」
怒鳴る声に応じて、黒衣の騎馬が竜の周りを取り囲む。手に持った筒で発砲し、赤竜を威嚇射撃したのだろう。少年には馴染みのない、小銃よりも長く太い筒だ。
「第一部隊は右翼へ回れ! 第二は後方、尾に気を付けろ!!」
端的な号令に応じ馬を駆るのは、王都へ向かった行軍の中に居た者たちだ。つまりは領主の直属、騎士団の精鋭である。片腕の者、顔面に傷跡の残る者、先の戦いで傷を負って尚、果敢に竜に立ち向かって行く。
何故、そこまでして。少年は木の幹に縋るように立ち上がった。煤黒の甲冑が視界を遮る。まるで赤竜から護るように。
「……レオ、」
「セルゲイ! 無事か?!」
「っは、此処に」
「聖女を安全な処へ!」
呼び掛けた身を掬い上げられる。否を告げる間もなく頑強な軍馬に少年の身は軽々と乗せられ、翻る背後で竜の雄叫びが響いた。
セルゲイの手前、馬にしがみつくように跨がった少年が振り返る先、吼える赤竜は周囲の猛攻も物ともせず、一目散に少年の方へ向かって来る。
「モテモテですな、聖女様」
「野郎にモテても嬉しかねーよ」
「……あれは牝です」
「っげぇ、発情期かよ!」
馬上で舌を噛みそうになりながらも、ついつい軽口が出る。命の危機に瀕している時にいっそ笑えて来るのは何故だろう。
眼前に迫る木々の合間を猛速で馬は駆け抜ける。だが背後からバキバキと木を踏み倒し追って来る竜の速さには敵わない。
背中に熱量を感じる。赤竜が吐かんとしている炎が、今やもう、避けようもない程間近に迫っている。
「……聖女様、舌を噛まれませんよう」
不意にセルゲイの言葉と共に、身体が投げ出される。丁度森の出口、木々の合間から放り出された少年は、ごろごろと明るい平野を転がった。遠く裾野にヴァルグリム砦の堅牢な門が見える。少年を振り落とした馬は遠くに駆け去り、セルゲイもまた少年と同じように草まみれになりながら地面を転がっていた。
何が、顔を上げかけた少年の耳に、馴染んだ怒声が届く。
「――伏せろ!!」
反射的に地面に伏す少年の頭上、轟音が鳴り響いた。
耳の奥がきんきんと痛む。激しい爆発音が背中を襲い、少年は地面に這い蹲っていた。じんわりと湿った冷たさが触れた土から這い上って来る。
「っ痛ぇ……何なんだよ……」
腕を擦りながら、少年は半身を起こす。投げ出された時に出来た擦過傷が全身を苛んでいる。無論、竜に噛み付かれるよりは俄然軽傷だ。軽傷ではあるが、痛みが消える訳ではない。
振り返る先、森の切れ目から顔を覗かせた赤竜が、その巨躯を横たえている。左の眼窩は窪み、どす黒い血を滴らせていた。
抉られた皮膚から立ち昇る硝煙が、その衝撃の強さを物語っている。砲撃だ。砦から放たれた砲弾が、赤竜の左目に着弾したのだろう。
少年はよろよろと立ち上がった。堅固な鱗が砕かれ、現れた肉色の肌の下で青黒い血管が浮き出ている。それ程に肉薄していたのだと思うと、改めて背筋が凍る思いがした。
森の方から黒鎧の騎士たちが馬で駆けて来る。その先頭の漆黒は、未だ手に筒銃を携えながら、妙に焦ったように馬を駆る。止めでも刺すつもりか。その口が開かれ、何かを叫ぼうとし、逡巡する。
「――――っ」
何事かと訝しく首を傾げる少年の前で、不意に、真っ赤な右目が開かれた。
(あ、やっべ……)
縦長の瞳孔が確かに、少年を捉えた。窮地にある赤竜は危難を逃れようと、激しい咆哮を放つ。風圧に少年はよろめき、駆け寄る黒馬らも足を止めた。吼え猛る竜の羽ばたきが身体を打つ。
「っ聖女!!」
呼ばわる声は己の名だと暫し認識が出来ない。一拍後、飛び上がった赤竜の棘の生えた尻尾が、少年の身を薙いだ。
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