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2-1.急に凄いしゃべった。
しおりを挟むいつもの真っ白な校舎じゃ、ありません···!
黒ずみだらけの校舎、上靴のかかとを踏みながら歩いている男性。
ズボンはやたら腰あたりまで下がっていて、あれでは何のためのズボンだかわかりません。
周りの生徒にじろじろと見られながら、校門に掲げられる学校名を見れば、『宝泉《ほうせん》高等学校』と書かれています。
さっきいたサラサラな黒髪さんが"だんしこう"だと言っていた意味もよくわかりました。
女生徒の姿が見当たらないのです。
こんな、男子しかいない学校が存在することすら知りませんでした。
空からは雨が降ってきていて、とりあえず私は自分の家に帰ろうと左右を見渡すも、さらに見慣れない風景が目に入ってきます。
地割れしたようなアスファルトの地面、所々剥げの目立つ塀、電信柱。横断歩道の白い線もあるのかないのかわからないほど薄くなっています。
私の知っている、綺麗な世界はどこにいってしまったのでしょう。
「おねーさん、うちの学校の前で何してんの?」
「1人?ってボロボロだね??どこの学校なの?」
3人組の男性が私に話し掛けてきました。
3人の顔を見てみれば、肌色のワントーンで塗られた凹凸のない肌ではなく、シミや吹き出物のような歪な肌をしています。
も、もしかして、私もそんな肌になってしまっているのでしょうか。思わず自分の肌を触り確かめます。
「ねえ送ってってあげるよ。」
「名前なんてゆーの?うわ、すっごい綺麗な肌してんね~。」
ああ、良かった。私の肌は死んではいないようです。
「すみません。私、家に帰らないといけないので。」
彼らに頭を下げ、とりあえず真ん中の道を歩いて行くことにしました。
「待ってよ。送ってくってば!」
あっという間に3人の男子生徒に囲まれて、傘に入れてもらうことになってしまいました。
「あの、ありがとうございます。。」
鞄の一つの紐だけを肩にかけて、制服のシャツのボタンをはだけさせて、やたら長い前髪の合間から私にニヤニヤと笑いかけてきます。
でも手探りになんとなく歩いている途中、狭い路地裏に差し掛かった時のこと、
3人の生徒にあっという間に路地裏に押し込まれて、私は壁に押しつけられてしまったのです。
「あっ!」
両腕を壁にぬわれ、1人の生徒に頬を両手で挟まれ、顔を近付けられてしまいました。
「なんだこの女、超そそるし!」
「そんなボロボロで校内から出てきたってことはさ、あいつらにレイプされたとかじゃないのぉ?」
気持ちの悪い笑顔で、しかも難解な言葉で私に迫ってきます。
「あ、あいつら···?」
「あの不良集団だよ。この辺一帯取り仕切ってる Coilgun。君、あいつらのファンか何か?」
「追っかけしてたら捕まってボロボロにされちゃったとかじゃねえのぉ?」
私にとっては異国の単語のようにしか聞こえませんが、一つだけわかった単語がありました。それは、"不良"です。
空音さんルートにも不良A、不良B、不良Cというのが登場します。まさに今、私を追いつめている彼らのような状態が、空音さんルートにも存在するのです。
「もしかして、あなた方が不良Aさん、Bさん、Cさんなのですか?」
「 ···はあ?」
「俺らは不良じゃねえよ?今から君を介抱してやろうと思ってる心優しい青年よ?」
私の顔を掴んでいた彼が、私の首筋に顔を埋めてきました。
「ヤっべめっちゃいい匂い。レイプされた後なのに肌の匂いたまらん!!」
私の制服のリボンがするりと取られてしまい、セーラー服の裾から冷たい手が入ってくるのがわかります。
「大丈夫よ?俺らあいつらと違って超やさしーから♡」
何をしようとしているのか、服の中に手を入れられて、身体中に気持ちの悪い悪寒が走ります。
条件反射だったのでしょう。
私は目の前にいた彼に、思い切り頭突きを喰らわせました。
ガンッッ
「いって!!!!」
「あ、オイっ!!待て!!!」
路地裏から抜け出した私は、全速力で駆け出しました。
「待てよッ!!!」
後ろから彼らの怒声が聞こえて、でもその声はあっという間に遠くなって。
とにかく必死で走って走って
走って────
空音さんルートでは、不良に絡まれた空音さんは、主人公である彼に助けられるのです。
彼は不良さんたちほど強くはないので、今のような渾身の頭突きを喰らわせた後、空音さんの手を引き、必死に2人で逃げるのです。
手を引いて、逃げ切ったと思った後でも、2人は手を繋いだまま、晴れ空の中を歩いていくのです。
それなのに、なぜ今私は1人で走っているのか、なぜこんな雨の中を走っているのか。ここは一体、どこなのか────
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