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3-2.
しおりを挟むよし、俺が連れていこう。俺が足に触って身体に触れて持ち上げて、俺の部屋のベッドに···
「っぐ」
駄目だ。考えただけでも目から血が流れそうなのに、実際今からその一連の作業をやるって、無理ゲーだろ。
「···何してるの?」
「は?なにが?」
「さっさと連れてけばよくない?」
おい、簡単に言うなよお前。考えてもみろ。
俺が今から、こいつの、ひ、膝裏に手を入れるんだぞ??膝裏だぞ?膝裏に、て、手を入れた後はフゥー、背中に手を回して、自分の身体に引き寄せて抱き上げて。
はっそうだ、ベッドまで移動させる時、俺は一体どこを見ればいい?!こいつの顔か?首元か?胸か?腹か?足の付け根か??
全身くまなく見ることになるんだぞ?!耐えられるか俺!もし運んでる最中、動揺のあまり落として尻が割れたらどうするグフぅッッ!尻!尻?!ダメだろ、"織羽の尻"ってそのパワーワードはダメだ!好きだ!
「そういえば、さっき着てたシャツ、血がついてたよね?誰をやったの?」
「いきなり話し掛けんなよ。」
「いやいつも唐突に話は始まるじゃん。」
織羽を動かすどころか触る事すらためらわれると思った俺は、ブランケットを取ってきて、その美しくしなやかな身体にかけた。
遥斗に話し掛けられたことで、織羽をベッドまで移動させるのは後まわしにしますよ的な雰囲気を作れたわけだ。
「···こいつの、制服のリボンを持ってたやつがいて、そいつらをヤった。」
「ああ、なるほどね。確かにその子目立つから色々目つけられそうだもんね。」
「なあ遥斗、こいつ、帰るとこなさそうだしさ、しばらくうちに」
「駄目だよ。」
遥斗にすぐ遮られた。
「あ"?」
「いや分かってるでしょ?こんな目立つ子置いといたら、絶対面倒事しか起きないよ?」
「······」
「Coilgunは今や県内トップ争いに巻き込まれるほどのチームなんだよ?その子1人のせいでうちが潰れる可能性は十分にあるんだから」
「ねえよ。」
俺の否定が癇《かん》にさわったらしく、遥斗が組んでいた足をダンッと床につけて俺を睨む。
「ふざけんなよ?忘れたとは言わせない!
···皆、特定の女作らないようにしてんのは何のためだと思ってんの?!」
「······」
昔、といってもまだ去年の話だけど
うちのチームに出入りしてた1人の女が、精神的な病をわずらった。
変な女どもには妬みの嫌がらせをされるわ、他のチームからは散々狙われるわ。怪我もさせたし、何度かレイプされかけたし、そのせいで翼が荒れて、内輪で喧嘩になって·····一時チームも崩壊しかけた。
でも織羽がいてもそんな風にはならねえよ。
だって見てみろ。ガン見しろ。こんなに可愛いんだぞ?天使か?女神のような天使か?!はたまた天使のような女神か?!あ"?
織羽の半径10メートル以内は極楽浄土なんだぞ?!そんくらい織羽は神々しいんだよ!お前の目は節穴か??
「·····ん」
「!」
織羽が、向こうにもたれかけていた頭をこっちに倒した。
やべーだろ。なんだその「····ん」って。ポックリ逝く!俺確実あの世行き!唇の形もエロいし可愛いし、はあー····。可愛すぎて視力もぶち上がるわ。
もう目が離せない。好きだ。
「····何、そのキモイ顔····。」
遥斗が汚物を見る様な目で俺を見る。良かったな遥斗。お前の腹黒さもじきに浄化されるぞ。
「藍がギャルゲー好きなのは受け入れるとしても、その子の話はやっぱり受け入れらないよね。信憑性がない上に、何で自分がゲームの中のキャラだってことを認識してるのかも謎だし」
「移植版のモブの中に1人、製作者の権化《ごんげ》みたいなのがいんだよ。」
「····は?」
「『あの柿』のゲームについて説明してくれるモブキャラがいるってことだよ。だからこいつはゲームの中の人間だってことを認識してんだろ。」
「"権化"って単語、そうそう聞かないわ。軽くじんましんが出るね。」
「オロナイン塗っとけ。」
オロナインは最強だ。
じんましんが出そうな腕を抑えながら、「そうそう、オロナインで思い出した」と鞄から何かを取り出した遥斗。
「ほら、絆創膏。」
「·······」
「絆創膏がうちにあるかどうか聞いてたでしょ?だから帰りに買ってきたんだよ。」
「ア”?」
「どーせその子に使うんでしょ?」
なんだ、お前····、そんなキャラじゃねえだろ。
まさか、お前、織羽に気があんのか?
そうなのか??もしかしてハーパン貸したのも、ブルセラに売ると見せかけて実は、スーハースーハー匂い嗅ぐつもりだったのか?!
「····お前がそんな変態だったとは。」
「あ"?買ってきてやっただけで何で変態呼ばわりされるの?ひれ伏して謝罪して感謝しろ。」
そういやいつもすぐに部屋に行く癖に、今日は何でずっとリビングにいんだよ?おかしいだろ?織羽がソファで寝てるからか?寝顔拝みたいのかお前?
いや、きっとあれだ。遥斗のことだ。最初は自分の部屋のベッドに寝かせて色々まさぐるつもりで連れてこうとしてたんだろ?そんで本人身に覚えのない間に孕ませて、後から子供のDNA鑑定して「いやあ、まさか僕の遺伝子だったなんて~ごめーぬ。」ってあっけらかんとした顔で言うつもりだったんだろ?!!
「ふざけんなよ!!!!」
「お前がな?!!」
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