捨てられ爆薬令嬢は敵総長の溺愛を受ける

由汰のらん

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 私とゾイは長い間愛し合ってきた恋人同士だ。前世からずっとずっと。


 私は普通の高校生でありながら、メロウという不良チームの"姫"として扱われていた。

 不良チームの姫というのは総長の恋人のポジション。

 きっかけは雨の中倒れていたメロウの総長であるヤマトを介抱したという、至ってありがちなものだった。


 でも介抱してあげた私に向かって、ヤマトは、「身体で恩返ししてやる」と訳の分からないことを言ってきて、私は彼を殴り飛ばした。助けた人間に向かって、"ありがとうございます"の一言も言えないのかと。


 そこから彼は私につきまとう様になって、

「俺を殴り飛ばす度胸のある女は他にはいない。マキ、お前は唯一無二の存在だ。」


 思えばそれが彼の告白の言葉だったのだと思う。傲慢でプライドは高くても愛情は人一倍深くて、そこから私は彼に愛され続けてきた。


 でもメロウの姫としてチームに出入りするようになったある日、私は因縁の敵チーム、"ステラ"に人質として捕まってしまった。

 そして、デートスポットとなっている展望台で両チームの抗争が起きたのだ。


 そんなカップルのムードもへったくれもない展望台での抗争中、雨が降ってきて、展望台の崖から足を滑らせたヤマトが、そのまま敵チームの総長の腕を引き、道連れにした。


 そこから今度はそいつがうちの参謀を、そして敵チームの参謀を…そして最終的には私まで服を引っ張られ道連れにされて――――――


気付けば私はヨーロピアンスタイルの洋館に住む令嬢になっていた。



 天井にはシャンデリア、足元には品のいい赤い絨毯、目の前にはサラサラな白銀の髪をしたお人形さんみたいな顔立ちの男の子が立っていて、


「ほら、シシル、ご挨拶なさい、こちらからご挨拶するのが礼儀だと教えただろう?」


 知らない髭の男性と、艶めく黒髪の綺麗な女性が私に挨拶をしろと促してくる中、私と白銀の彼は目を丸くしていた。


「ななな、なんだここ?!!」
「ななな、何何?!何がどうなってんの?!!」


 お互いがお互いに自問自答をして、でもすぐにわかった。困った時に頭を掻く癖や片方の爪先を浮かせる癖、口調が、前世の彼そのものだったから。


 お互いの存在に気付いた私たちは、挨拶もしないまま強く抱き合った。…そして、勢い余ってキスをした。ちょっとその、深めのキスなんかを。


 周りはポカーン、キョトーン。


 その時の私たちはまだ5歳。私の後ろにいた髭の男性もといお父様は失神して、黒髪の女性、お母様は必死に「お、王族の方になんてことを…」と青ざめた顔をしていた。


 つまり私は、乙女ゲーム『優美な戯れ』の中の悪役令嬢であるシシル・メレデリックに転生。そして彼は、攻略対象である王族、第3王子のゾイ・エルヴァンに転生していたのだ。


 私たちが出会った瞬間、転生していることに気付いたというわけだ。


 『優美な戯れ』はチームの溜まり場でよく私がプレイしていたもの。会合中は蚊帳の外で、暇だった私はこの乙女ゲームをやり込んでいた。

 結局不良チームの姫なんてのは、掃除、おつかい、怪我の手当てといった皆のお世話係みたいなものだ。何度か私も会合に参加させてほしいと彼に頼んだことはあったが、巻き込みたくないからと参加させてもらえなかった。


 この乙女ゲームは彼への当てつけみたいなものだったのかもしれない。 


 でもテレビ画面でプレイしていたから、チームの皆も面白がって一緒になってやったりして、皆も男でありながら、それなりにこの『優美な戯れ』の内容は知っている。もちろんヤマトも。





 
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