捨てられ爆薬令嬢は敵総長の溺愛を受ける

由汰のらん

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 本来、シシルは悪役令嬢として、主人公であるミレーヌをいじめぬく使命がある。


 学園でミレーヌの教本を捨てたり、教師が呼んでいると嘘をつき魔獣の森に迷わせたり。時には自分がミレーヌに酷い仕打ちを受けたと嘘をつき、彼女を公衆の面前で公開処刑する場面もあった。


 最終的にシシルは、これまでのミレーヌへのいじめの数々を卒業パーティーで婚約者のゾイに暴かれ、婚約破棄を言い渡される。いわゆる断罪イベントというやつだ。


 そして卒業後はその罪を償うようにと、修道院へと送られるのだ。


 その修道院が最悪なのだ。特に下っ端時代は警察学校よりもずっとシビア。


 朝の4時起床、畑仕事。

 5時~朝食準備、6時朝食、後片付け。

 7時~8時お祈り。8時~修道院全体の掃除、洗濯。

 11時~昼食準備、12時~昼食、後片付け。

 午後は孤児院や貧困村での奉仕活動。


 とまあ、全くといっていいほど自分の時間がない。恐らく修道院に入るくらいなら死んだ方がマシ。

 
 しかし婚約者であるゾイが、前世の恋人、ヤマトだと分かれば、乙女ゲームの世界など自分には関係ない。私は傲慢で高飛車な悪役令嬢の名を捨て、ただゾイに寄り添い、慕い、尽くす献身的な女性となった。


 前世のまま愛を育んでいれば何の問題もない。はっきり言って、私たちはただのバカップルだった。


 ミレーヌという主人公など蚊帳の外だ。学園で共にする一生徒として接していただけ。


 愛する人と転生先でも愛し合えるなんてこの上ない幸せだ――――。


 
 それが、


なぜ、「ただ守ってやりたくなる女がいい」だなんて言葉で終わらせようとするの。


 私たちの愛は何だったの。


 それなりの答えが欲しいのに、現実が受け止められない私は、上手く問い詰めることができない。



「俺たち長く一緒に居すぎたんだと思う。」

「……」

「それに、主人公の可愛さ半端ないし。」


 その言葉に、隣で手を握るミレーヌが「そんなぁ」と頬を染め恥ずかしがっている。


 今初めて気づいた。バカップルって傍《はた》から見るとこんなに苛つくもんなのね…。


「ゾイ、…ミレーヌとはいつからそんなに仲良くなったの?」


 一番気になっていた言葉が我先にと出た。ゾイが鼻から息を吐き、私から目をそらす。


「…2年前から、だったか。」

「に、2年前ぇ?!!」


 え?!そんな前からミレーヌと距離を詰めてたっていうの?!!私たちずっとラブラブだったはずなのに…?!


 ゾイは、家柄や成績、魔力の高さから2年生にしてこの学園の生徒会長となった。そして3日に1度のペースで私を生徒会室に呼び出し、にゃんにゃんしていたのだ。本当は婚姻前の貴族が、こんなことあってはならないのだけれど。


 私の知らない間に、2人は2年も前から密会してたというの?!
 

「違うわゾイ。ゾイが声をかけて来てくれたのは1年生の秋だったじゃない!」


 ミレーヌがゾイの腕を組んで身体を寄せた。


 は???今なんと??


 この女、純粋で天然キャラのはずなのに、あざとさがチラリと垣間見えている。


 
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