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3-8.
しおりを挟む「水の攻撃はできないの?!」
「下手に攻撃して火を吐かれたらどうする?!」
「屋上から餌でつって空へ返すのは?!」
「屋上ってどこの屋上だ?!建物が壊されるだろう!!」
私の頭ではリスクしか伴わない策しか思いつかない。
すると騎士たちが尻尾に鎖を撒こうとした時だった。それに気付いた火竜が、怒って尻尾を振り回し、後ろに身体を半回転させる。
火竜が顔を向ける方向には、ダルタニアンのいる馬小屋があって、私は慌てて馬小屋の前まで全速力で走った!
ママ馬をダルタニアンと会わせると約束したのよ!!馬小屋は守らないと!!
馬小屋を背に腕を開き、火竜の前に立ちはだかる。
その時、火竜が一瞬天井を仰ぎ、私の方に向かって口を開いた。
「シシル!!!!!」
レオハルトの怒声が響いて、火竜の牙よりも口の中に集まる白い光に目が奪われる。
あ、まずい。火を吐かれる――――
立ちすくみ、すぐに動くことができなかった。
でも、レオハルトが「前を見ろシシル!!!!」と言うから、私はそのまま前を見据えて目を見張る。
火竜の前には、なぜか土でできたゾイの人形が立っていて、舌を出しあっかんべーをして私に中指を立てている。私はその馬鹿にしたようなゾイの姿にカチンッときてしまい、自然と中指を向けた。
そして、あの時の感情が一気に放たれる。
「バーストエクスプロージョン!!!!!」
稲妻が灯に落ち、導線を走る様に火花が火竜に向かって豪速で向かっていく。火竜が火を放つ直前で、火花が爆破した。
ドッガアアア"ア"ア"ァァァァン
ゾイの土人形は飛び散り、火竜は額で爆破された勢いで雄叫びを上げながら立ち上がると、大きな音を立てて後ろに倒れた。
辺り一帯に砂埃が舞い、晴れるよりも早く騎士たちが麻酔銃を火竜のお腹に撃った。
「できた…、やった、私、爆破出せた!」
自分にも魔獣を攻撃できるような魔法が出せて、喜びが込み上げてくる。
「シシル!!!」
心配そうな顔で駆け寄るレオハルトに、私は両手を上げ「やったよー!」と笑顔で叫んだ。でも私の笑顔に、怒った様な顔を向けるレオハルト。
あ、まずい、勝手な行動をして怒られる。殴られるかもしれないと固く目を瞑った。
でもレオハルトは、私を抱きしめて、
「…悪かった。すぐに助けられなくて…。」
「…え?あなたは何も悪くないわ。悪いのは勝手な行動をした私で」
「でも俺が土人形を出したのは賭けだった。もしあの時、シシルが爆破の魔法を出せていなかったら…」
さらに強く抱きしめられた。
「…レオハルト、いえ団長。あなたは私の能力を見込んでくれたんでしょう?それなら賭けでも私の魔法を引き出そうとしてくれたことに感謝するわ。自分が何かの役に立てるってことが、こんなに嬉しいことだと気付かせてくれたんだから。」
「レオでいい。」
「レオ…」
ところであなた、何でこんな皆が見ている前で私を抱きしめてるの?団長が何やってるの?
私は推しに抱きしめられて嬉しいけれども。
前世のあなたはそんなキャラじゃなかったでしょ?黒いオーラで周りを遠ざける、近寄りがたい総長で有名だったじゃない。何この至近距離。実は仲間想いの熱い男だったの?
周りが私たちを見てざわつく中、ポルト先生が、「あんなに精巧で挑発的なゾイ·エルヴァンの土人形を作れるのはレオくらいですね!」と明るく言った。
レオは"地"の魔法を使い、ゾイの土人形を作ったのだ。
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