捨てられ爆薬令嬢は敵総長の溺愛を受ける

由汰のらん

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4-3.

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 たまに腰から上に手が触れれば、その度にレオは慌てて「悪い!」と謝ってくれる。そして気まずい空気。


 でも私はどこに触れられていようが、さっき抱きつかれたことを意識してしまいそうになるので、考えないよう出来るだけ話題を振った。


「…そういえばレオ、この騎士の服、薔薇の香りがするのだけど、アイリーンの趣味なのかしら。」


 応接室で出された紅茶も薔薇の香りがした。薔薇に何かこだわりがあるのかもしれない。


「いや…、それはその…俺の、趣味だ…。」

「へ??」

「自分でも柄じゃないのは分かってる!けどまあ、その、前世の母親が庭で薔薇を育てていて、その影響みたいなもんで。。」

「ああ、そういえば私たち、前世で学生のまま死んじゃったものね。」

「いや、そういうんじゃなくてだな…。」

「私も薔薇の香りは好きよ?学園で育てているうちに愛着沸いたし。」


 少し振り返ってレオに笑いかけた。レオが「ちゃんと前を見ろ」というので「はいはい」と返事をすると、腰に置かれたレオの手が熱くなった気がした。


 本部につくと、王子はすぐに火竜ことレッカのいる檻に足を運んだ。


「レッカ・メビウスレウス!!」


 中庭にある吹き抜けになった魔獣専用の大きな檻で眠るレッカ。そして彼女を潤んだ瞳で愛おしそうに見つめる王子。その姿がドナドナのように思えてしまった。


「…王子、すみません。私が爆破の魔法で彼女の額を怪我させてしまって。」


 レッカの額は黒く焼け焦げてしまっている。角を折っていたら、サウザード王国との友好関係は断交していたかもしれない。


 でもカミール王子は、「ああ僕を追い求めてこんなところまで来るなんて、悪い子だ。めっ、メだぞ☆」とレッカに話しかけており、私の謝罪は届いていないようだった。



 それに見兼ねた彼の家来が、


「いやこちらこそ。皆様にはさぞかし怖い思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。後日お詫びの品を送らせていただきます。」


 と深々と頭を下げていて、その姿が昔の自分と重なった。私も前世でよくチームの皆と外に食べに行った時は、店員さんに「静かに」と怒られて謝ってたっけ。


「御覧の通り、王子は魔獣に夢中でして、特に大きな魔獣には目がなく、辺境地に行っては手懐けて従魔にしてしまうのです。」

「…え?従魔ってこちらの竜だけではないのですか?」

「ええ、今では67頭の従魔がおりまして、従魔専用の土地を開拓するほどです。」
 

 ろ、67頭…?!!餌代がとんでもないことになっていそうだ。


「カミール王子は第4王子ということもあってか、小さい頃から趣味ばかりに没頭しておりまして、未だ婚約者がいない身なのです。」


 ゲームの中の王子は、第4王子と4番目に生まれた子供のため、両親にあまり構ってもらえず孤独な幼少期を過ごした。そのため気難しい王様キャラになってしまうが、ミレーヌの優しい心が彼の凍てついた心を溶かしていくのだ。

 ただしカミール王子を攻略している途中で、違う攻略キャラに接触すると、彼のヤンデレ染みた一面も見られる。



「…ところでシシル、さっき君は爆破の魔法と言ったけど、それはどういう魔法なの?」


 ほら、聞いていないようでしっかり聞いている。メロウにいた誰かさんにそっくり。

 しかも大きな魔獣が好きって、まさに特撮映画好きな彼そのものじゃないのだろうか。



「まだはっきりしたことは言えないのですが、私には2つの魔力があるかもしれないのです。」

「それはどういうこと?2つの魔力を融合させて爆破させるってこと??」

「…恐らく、そうだと思います。」

「君の力を使えば"特撮映画"が撮影できるかもしれないなあ。」


 …え?今なんと?


「と、特撮映画って、怪獣が実写で戦ったりする、あの特撮ですか?」

「うん、…ってやっぱり君、転生者だよね?」


 私とレオの顔が一瞬にして青ざめる。するとそれを見た王子が、


「転生したのに見た目が変わらないって笑える☆」


 とお腹を抱えて笑い始めた。

 周りの家来たちは不思議そうに顔を見合わせている。



 それから場所を移動し、本部の一室を借りて3人で話しをさせてもらった。

 
「マキ、会えてほんとに嬉しいよ!」

「私もよ、コウキ。」


 コウキは特撮ヒーローや怪獣映画の世界に憧れを持っている、メロウの幹部だった。よく抗争では、映画で使われた技で敵を倒したと、嬉しそうに話していたのが懐かしい。


「僕は前世では小柄だったでしょ?だから怪獣とか巨大なものに興味を持つようになったんだ!」


 今ではレオと同じく、180㎝はあるのではないかと思うほどの長身だ。


 6歳の時、お城を抜け出し1人で闇市に行き、初めて魔獣を見たのだとか。火竜がオークションにかけられていたらしい。そこで転生していることに気付いたとコウキは話してくれた。

 乙女ゲームでも、巨大な魔獣のいる世界なのだから彼にとっては最高だろう。



「で、マキは何でステラの総長と一緒にいるの?どういう風の吹き回し?」

「あ、はは…。」

  
 どう説明していいか分からず笑って誤魔化すけれど、当たり前のように痛いところをつかれる。




 





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