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しおりを挟む「朱南の意見なんだから本気でとるさ。
もしどうしても校内のシャワー室や寮の大浴場に入りたい時は俺に言ってくれ。その時は清掃中の看板でも立て掛けて、俺が見張っててやるから。」
「あ、あはは、だから、冗談ですって...」
「授業中でも俺に連絡してきてくれても構わない。いつでもシャワー室ぐらいお前のために空けておいてやるからな。」
「い、いや、だから、」
「但し、あいつらには絶対頼るなよ?必ずシャワー室使う際は俺だけに連絡してくれ。」
「.........」
真面目にとりすぎて、たまに面倒になることもしばしば。
私と秋人、琉生は2年生で、心陽君が1年生、そして蓮見先輩は3年生だ。
蓮見先輩と、心陽との出会いは、心陽がクラス内で生徒会の雑用係を押し付けられるところから始まる。
生徒会雑用係ってのは、会長や副会長、書記、会計の執行役員とは別に、毎年1年生から2人選出される。
誰もそんな面倒な係なんてやりたがらないから、クラスでもいじられキャラの心陽が無理矢理推薦され選出されるのだ。
その頃、私は2年生に上がったばかりで、秋人と風紀委員に選出されていた。そして私は、蓮見先輩と委員会で初めて顔を合わせることとなる。
「君が、一門朱良か。不良の生徒を更正させたと話題になっているぞ。」
委員会が終わり、秋人と寮に帰ろうとしていた時だった。廊下で蓮見先輩に後ろから話し掛けられたのは。
「....あ、ありがとうございます。」
「華奢な身体でも筋肉のつき方がしっかりしているな。大臀筋がほどよく引き締まっている。」
「は、はあ。。」
筋肉の名前を出されても、どこの筋肉のことだかよく分からなかったけど、隣にいた秋人が蓮見先輩を物凄い目で威嚇していたのを覚えている。
この頃にはすでに秋人や琉生には女だとバレていたのだ。
本来漫画では、この委員会で心陽と蓮見先輩が運命の出会いを果たす。
心陽はこのセレブ校では珍しい、庶民の家の生徒だから、蓮見先輩が特待生で入ってきた心陽を気遣い、優しく話し掛けるのだ。いじめられたり困ったことがあれば自分を頼ってほしいと。
それが、委員会には出席していたはずの心陽君があっという間に消えてしまったのだ。絶対におかしい。
私がどこかの展開を一つ変えてしまったことで、全部のシナリオが変わり始めているのかもしれない。
「一門、何か困ったことがあれば俺を頼れ。」
「は、はい.....あ、ありがとう、ございます....。」
お礼を言う私の声が小さくなったのは当たり前のこと。
秋人や琉生が守ってくれていたとはいえ、私はどうしても蓮見先輩の、ある部分に苦手意識を持っていた。
メインキャラの中では、登場から心陽にずっと優しく接している蓮見先輩だが、実は彼は近年稀にみる巨チンだ。
漫画の中では、欲情した蓮見先輩が心陽を生徒会室で犯そうとする。
その巨チンを見た心陽があまりのでかさに泣き出すが、泣き顔に煽られた蓮見先輩が心陽に改心の一撃を決めるのだ。
進撃の巨チンだ。
あんなに爽やかな、優しそうな笑顔を向けておきながら中身はとんでもない巨チン。なにかスイッチが入ってしまうと彼は自分を抑えられなくなってしまうのだ。
それに巨チンは女にとって嫌がられる要素の一つ。しかも今、この漫画において私は処女だから、どんなに優しい言葉をかけられても蓮見先輩が魔王にみえてしょうがない。
その日、寮までの帰り道、私は秋人の腕をしっかりと掴みながら帰ってしまった。
秋人は何度も眼鏡をかけ直し、私は足が震えっぱなし。始終顔を赤くした秋人と青ざめた顔をした私を見て、琉生が秋人に殴りかかりそうになったのは言うまでもない。
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