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しおりを挟むそういえば、私は前世の記憶があることや、ここが漫画の中の世界であることは、高梨先生以外には言っていない。
もし、R18のBLの世界だと教えて、それで皆にR18の火をつけてしまったらと思うと怖いから。BLの火はつけたいけど。
私はとりあえず蓮見先輩の巨チンの事実を、高梨先生に相談した。
「巨チンエッグいからな~。不思議だよなあ。巨乳は好かれんのに、巨チンは嫌われるて。」
「私はどうしたらいいんですか?もうムリです。いくらなんでもあそこまで巨チンの人とは付き合った経験ないですし。」
「朱南ちゃんには俺が教えたムエタイがあるやろ?もし襲われそうになったらお得意のキックで改心の一撃決めたれよ。的がデカいんやから!」
端からみたら下衆なやり取りにしか聞こえないが、この時、私にとっては大真面目に悩みの種だった。
しかも蓮見先輩は巨チンなだけでなく、柔道有段者。
....怖すぎる。とにかく生徒会室の前や3年生のクラスの前は通らないよう気をつけていた。それなのに....
ある日、私が風紀委員室で一人で本棚を整理している時だった。ノックが聞こえて声で招き入れると、なんと蓮見先輩が入って来たのだ。
本を抱えたまま固まる私。
「.....一門、ちょっと、話したいことがあるんだが....。」
「なななななんでしょう....。」
蓮見先輩は、何か分厚いファイルを持っていて、それを開くと私に見せて言った。
「一門.....お前、女、なのか?」
「っ!!」
そのファイルは生徒一人一人の簡単な個人情報が載っていて、生徒会室の隣の鍵付き書庫に保管されているものだった。
「先生に書庫の掃除を頼まれてな...。偶然、お前の情報を見つけてしまったんだ。」
ああ、終わった。
さよなら、お父さん、お母さん、短い人生でしたがお世話になりました。あなた方のお陰で、私の人生が短いものとなったことをよく覚えておいて下さい。
「.....どうなんだ、一門朱南ではなく、本当は一色朱南、なのか?」
蓮見先輩が私に一歩一歩近付いて来て、その度にビクビクと自分の身体が強張る。私は蓮見先輩のあまりの重圧感に、なんと涙を流してしまったのだ。
「ご、ごめんなさっ....親に、むりやり入れられて...ごめんなさぃっ」
いくら私がムエタイをやっていても、一抹の不安がイチモツの不安だったのだから、そりゃあ泣く。蓮見先輩はそもそも見た目からして背が高くガタイがいい。
この時私は、蓮見先輩にはきっと色々幻滅されたに違いないと思った。"不良を更正させた"なんて噂がある男が、実は女で泣き虫だったのだから。
でも、実際は....
「.....ち、違うんだ....、その、問い詰めてるわけじゃないんだっ。」
動きを止めた先輩が、必死に私をなだめようと慌て始めたのだ。
「なんだ、....あ、そうだ、ええと....っ、何が欲しい?!」
「え?」
「....あれか?!タピオカ的なやつか?!」
蓮見先輩は私(女)をどう扱っていいか分からなかったようで、そのまま扉から出て行ってしまった。
それから20分後、蓮見先輩の手にはタピオカ的なミルクティーが握られており、沈黙のまま差し出された私は、一言お礼を言ってそれを飲んだ。
女子をなだめるにはタピオカミルクティー。漫画の中だから流行りに時間差があるのは気にしないことにして、その日から私は蓮見先輩を見る目が変わった。
下半身の物差しばかりで人を測ってはいけないのだと。
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