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4-1.死にたい気持ちとヤリたい気持ち
しおりを挟む秋人からのプロポーズを一旦保留にさせてもらった。プロポーズを保留にする人って世界に何人いるのだろう。
というか付き合ってるわけじゃないし、しかもド変態性癖が発覚した直後のプロポーズって、フラッシュモブよりも大胆なサプライズだと思う。
ラブドールと一緒にプロポーズされた人はきっと世界中で私くらいだろう。まあ漫画の中だし。
秋人のことは嫌いじゃない。ストーカーな一面やド変態性癖があっても、やっぱり嫌いにはなれない。
いっそ嫌いになれたら、"気を持たせすぎ"なんて言われることもなかったんだろうけど。
とりあえずその日はもう秋人を休ませ、私は再び授業に戻ることにした。
大教室は男で溢れ返っている。
後ろのドアからそっと入る私に、皆の視線が釘付けになった。
···何で??私、なるべく音立てないように入ったつもりだったのに···。
一番後ろにいた男子が、「隣に来いよ!」と小声で話し掛けてくれた。
座ろうとしたところで、通路を挟んだ方の席から違う男子に手を伸ばされて「一門今日めっちゃ可愛いじゃん!」とお尻を軽く叩かれた。
あ、全然忘れてたけど、今日の私の格好、いつもと違うんだった。
そうだ、今日の私はジェンダーレスボーイだった。(言ってみたいだけ)
私が「何言ってんだよー」と照れ笑いをしながら席に座ろうとする。
でも私のお尻を叩いた男子が、その隣に座っていた男子に、思い切り頭を机に打ち付けられたのだ!
ドガアアッッン
と机が抉れる音が教室中に鳴り響いた。
「オイッ!!今お前、朱良の尻触ったろ?!!」
それは琉生の声だった。
やめたげてー···。私の尻触ったくらいでそこまでしないで···。私の心がいたたまれなくなるから。
机に打ち付けられたご本人は、とてもじゃないが話ができる様子ではない。
皆が呆気にとられる中、琉生よりもさらに声を荒げる人物がいた。
「皆藤!!またお前かッ!!!!」
先生だ。大事な経営学の授業を邪魔されて、血管が切れかかっている。
「何でお前はいつもいつもいつも授業の邪魔ばっかして大学生にもなって恥ずかしくないのか!!!!」
「でもコイツが朱良の尻に触ったのがわりぃんだよ!!」
「男が男の尻触っただけで備品破壊するやつがあるか!!出てけ!!!!」
尻々と言われて心を破壊されたのは私だった。
私は立ち上がると、琉生の服の裾を掴み、「外行こう」と教室から琉生を連れ出した。
私今日、この授業抜け出すの2回目なんですけど。
琉生は元々気性が荒いせいもあってか、私にちょっかいかける男に平気で殴りにいく。
おかしい···。漫画の中の琉生はこんなに子供っぽくはないのに。
『狼さんに食べられちゃう♡』の琉生は、もっとかっこ良いし、何より色気がある。
常にレイプ目の心陽が、随所随所でレイプされそうになるのは言わずもがな。
(※レイプ目とは黒目のないぼやっとしたレイプされそうな目のこと)
心陽が3人組の男にレイプされそうな現場に颯爽と駆けつけた琉生は、こんなイケメンなセリフを吐くのだ。
『好きだよ、心陽。お前の顔も、肌も、髪も声も匂いも。だから俺はお前の元にいつでも駆けつける。』
心陽が絶対絶命の状況で、悪党よりも心陽に愛の言葉を囁く琉生。
その吹き出しを見た瞬間、私は漫画をコンビニに拡大コピーしに行き、セリフを切りぬいて部屋の壁に貼った。
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