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しおりを挟むレイモンドはその後も、デートをしてもミシェルを私邸には招くことはなく、キスも瞼や頬や指先にちょこんと唇を付ける程度で。
そんな日が続いたある日、ミシェルはとうとう我慢の限界が訪れてしまい、送ってくれたレイモンドを部屋に引きずり込んでしまった。
「お願い、レイモンド!!」
「どうしたの?」
「わかってるでしょ!? いい加減、抱いて欲しいの!!」
手を引き、ベッドにレイモンドを押し倒そうとして――できなかった。相手が大きすぎた。ミシェルも背が高く、領地の畑仕事で鍛えた筋肉はあるのだが。
一人格闘するミシェルを軽々と抱きとめて、レイモンドは貴公子の微笑みを浮かべる。レイモンドの強い香りと嫌味なほど長い睫毛に縁どられた綺麗なアイスブルーの瞳がミシェルの胸を焦がす。
「ミシェル。君のことがとても大切だから、俺は貴族らしく、結婚するまでは絶対に手を出さないと誓うよ」
「今さら!? それに結婚式なんて何か月も先じゃない!!」
「シッ。大きな声出すと、隣の部屋の人に勘違いされるから」
レイモンドの大きな手がミシェルの口を塞ぐ。
その指がわざとミシェルの唇を刺激するように動かされ、ミシェルはたまらない気持ちになってしまった。
「おやすみ、ミシェル。今度は観劇へ行こう。四年も友達だったのに、俺たちは観劇すらしてこなかったよね? もっと早く誘えばよかったな」
「お願いレイモンド、もう限界なの、お願い」
「うん。わかってるから言わなくていいよ。今までできなかったぶん、もっともっと、たくさん恋人らしいデートをしよう。婚約者っていいね。隠れてコソコソしなくていいなんて最高だよ」
じゃ、と軽く手を上げてレイモンドは部屋を出て行ってしまった。
取り残されたミシェルは、枕を抱きしめて叫ぶことしかできなかった。
(レイモンドのどエス!! 意地悪!! 鬼畜ーーーーーーーー!!)
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